昨年、50年続いた金属製フェースの時代に終止符を打つべく、満を持してカーボン製フェースドライバー「STEALTH(ステルス)」を発売し、ゴルフ界の話題をさらったテーラーメイド。2023年モデル「STEALTH 2」のカーボンフェースドライバーはさらに磨きをかけ、より遠く、より優しくなりました。今年もテーラーメイドの新年発表会に参加してきましたので、その模様をレポートします。
やさしく・遠く「FARGIVENESS」が合言葉
「2022年はテーラーメイドにとって信じられない1年になりました。ステルスドライバー発表後の最初の週末において、ドライバー販売部門で市場シェア80%を獲得という前例のない記録を打ち立て、年間でもハードグッズジャンルで販売シェア1位となったのです」と、冒頭あいさつに立ったマーク・シェルドン-アレン社長は興奮気味に話します。
そこまで大人気となったステルスドライバーが今年はどう進化したのでしょうか。「テーラーメイドは2023年、“ファーギブネス(FARGIVENESS)”を提唱します」と高橋伸忠ディレクターは高らかに宣言します。この聞き慣れない言葉はテーラーメイドによる造語で、遠くを意味する“FAR”と、やさしさ・寛容性を意味する“FORGIVENESS”をかけ合わせたものです。つまり、より遠くまで飛び、よりやさしく扱いやすいクラブへと進化したのです。
ステルスドライバーはカーボン化によってボールが当たるフェース面が軽くなり、エネルギー伝達効率が向上しました。フェース面を軽くなることはすなわち、ボディに重量を割り振ることができるので、インパクトの瞬間、遠心力で加速してきた重いボディが後ろからフェースを強い力で押し出し、ボールをより遠くに飛ばすことができるのです。
新ゴルフクラブ「ステルス2」
2022年のステルスドライバーは2021年のチタンフェースドライバーに比べて重量を40%も削減することに成功しています。しかし、新発売のステルス2シリーズは前年比2gの重量削減にとどまっています。「たかだが2gかと思うでしょうが、昨年に43gから26gに大幅削減したものをさらに絞るのはボクサーの減量並みに大変なことでした」(高橋氏)。
今年の場合、重量よりも構造の変化に注目です。ステルスツーではフェースのカーボン積層を改良しています。中心部をやや厚く、周辺部をやや薄くすることで、ボールの初速を上げるホットゾーンが昨年モデルより広くなっているのです。これらにより、前モデルに比べてより遠く飛び、よりやさしくなったのです。
ステルスツーシリーズは3種類を用意。前年モデルも3種類を用意していましたが、今年はモデルごとの差異をはっきりとさせ、より自分に合ったクラブ選びがしやすくなっています。
まずはショップ限定で販売する「ステルス2 プラス ドライバー」(9万6800円~11万6600円、税込)。これはスコア90を切り、ストイックにゴルフを追求するアスリート向けモデルです。ロフト角を調整できる「FCTロフトスリーブ」、いわゆるカチャカチャは3モデル全てに搭載しますが、ヘッド左右方向の重心位置を調整できる「15gスライディングウェイトシステム」はこのモデルのみの搭載となり、より自分のスイングに合った、自分が目指したい軌道に調整できます。
「ステルス2 ドライバー」(9万3500円~11万3300円)は、100前後のスコアで安定してラウンドするアベレージゴルファー向け。ソールのウェイトをややヒールよりにすることで、ドロー傾向をやや強くしています。
「ステルス2 HD ドライバー」(9万3500円)のHDはハイ・ドローの略で、高弾道でつかまりやすく、ミスヒットに対する寛容性の高い、やさしいクラブ。シャフトを1/4インチ短くしており、前モデルに比べてスイートスポットが広がっていることも併せて、扱いやすく、100切りを目指すゴルファーのよき相棒となるでしょう。
なお、前年モデルは3タイプともに同じライ角でしたが、今年は2度ずつ変化をつけています。ライ角が大きいほどにボールがつかまりやすくスライスがしにくくなるため、スライスに悩む初心者にとってHDモデルはより扱いやすくなっているのです。
フェアウェイウッド・レスキュー・アイアンにもHD
ドライバーと併せて、フェアウェイウッド、レスキュー、アイアンも発表されました。フェアウェイウッドはドライバー同様にスイートエリアが拡大し、ミスヒットに対する寛容性が向上しています。
アスリート向けの「ステルス2 プラス フェアウェイウッド」(6万500円~8万300円)はソール部分にウェイトを前後に調整できる「スライディングウェイト50g」を搭載し、ロフト・ライ調整機能との組み合わせでボールの打ち出し角とスピン量を自分好みに調整できます。
新たにラインアップに加わった初心者向けの「ステルス2 HD フェアウェイウッド」(5万8300円)はドライバー同様にハイ・ドロー弾道の“上がってつかまる”クラブで、テーラーメイド史上最も優しいフェアウェイウッドとなっています。
レスキューに関しては、従来のアイアン型の新製品「ステルス2 プラス レスキュー」とウッド型の新製品「ステルス2 レスキュー」に加え、こちらもHDシリーズが新たにラインアップしました。ハイロフト設計、ボールが上がりやすく左右のミスに強いシャローヘッド設計、および低重心化でより高く大きく飛ばすことができます。
さらに、アイアンにもHDシリーズが加わりました。テーラーメイドでは米国、日本、欧州さまざまな地域でたくさんのゴルファーに対して「アイアンではどんな球を打ちたいか」というヒアリングをした結果、高い弾道でつかまりがよく、スピンがかかって、グリーンに落ちた時に転がらずに止まる球を打ちたい、というのは万国共通の願いでした。このニーズに答えるべく今回、アイアンでもHDシリーズを新たに導入したのです。
「ステルス HD アイアン」(6番~PWの5本セットで13万7500円/12万1000円)は、ソールの幅が拡大したワイドソールを採用、重心を低く、後ろにもっていくことで、高弾道でバックスピン量の多い打球を打ち出せるようになっています。また、継続販売となる上位モデルの「ステルス アイアン」に比べて5番からピッチングまでのロフト角を大きくし、高く“上がる”ようにしています。なお、アイアンもHDモデルはシャローヘッド設計を採用しています。
テーラーメイドではビギナー・エンジョイ層向けには「ステルス グローレ」シリーズを展開していますが、ステルスシリーズの中でも比較的やさしいHDシリーズがドライバーからアイアンまで揃ったことで、ステップアップ意識の高いユーザーを幅広く取り込めるようになりました。
少し前まではゴルフ人口の減少が危惧されていましたが、新型コロナウイルスの流行で若者たちが密にならないアウトドアアクティビティに興味を示し、ゴルフでも若年層のプレイヤーが急激に増えています。中にはステルスドライバーを手に持つ若者もいます。うかうかしていると若者にあっという間に抜かれてしまうので、もっと練習しなければ(笑)。
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