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2022/1/27 18:00

ドライバーの常識を覆す究極の1本! テーラーメイドがカーボンフェースウッドを発売

「新しい時代の幕開けです」と、テーラーメイドゴルフの高橋信忠ハードグッズプロダクトディレクターは開口一番、高らかに宣言しました。昨年発売した「SIM2ドライバー」の完成度が高く、今年はどのような進化を遂げるか期待を持って説明会に望みましたが、その冒頭でのこの発言。どんな驚きの新製品が飛び出すのでしょう。1月中旬に都内で開催されたテーラーメイド2022新作発表会の模様をレポートします。

↑「2022年がドライバー新時代のスタートラインです」とテーラーメイドゴルフの高橋氏

 

テーラーメイドが実現したカーボンフェース

「新製品はフェースにカーボン素材を使用しているのが最大の特徴です。今日を境に、今後発表するフラッグシップドライバーはすべてカーボンフェースになります」と高橋氏。1979年にテーラーメイドが世界で初めてステンレス製メタルウッドを開発し、それまで100年続いたパーシモンウッド(柿の木)の時代に終止符を打ちましたが、その後、チタンに取って代わるものの、この50年間は金属フェースの時代が続いてました。そして今度は、金属時代を終わらせるのです。

 

新ドライバーの名前は「STEALTH(ステルス)」。2月4日から発売となります。このネーミングには理由があります。実はテーラーメイドがカーボンに目をつけたのは2000年。20年以上も前に金属フェースの次はカーボンだと予測し、この間、どこにも漏れることなく、誰の目にもとまることなく水面下で密かに開発を続けてきたのです。だから「ステルス=隠密」。

↑ステルスドライバーのフェースの色は赤。新時代の幕開けにふさわしい、情熱的な赤を採用したとのこと

 

↑クラブを構えると、真っ黒なクラウンに情熱的な赤いフェースがチラリと見え、高揚感が高まります

 

開発に20年もの歳月をかけたのは、カーボンフェースの実現が困難を極めたからです。カーボンの利点は軽く、強く、自由に成形できること。その利点を活かし、既にシャフトやドライバーヘッドのクラウン(ヘッド上部)、ソール(ヘッド下部)などにカーボンが使われています。ただ、強度が高いといっても引っ張り方向に対しての強さであって、1点にかかる強い衝撃には比較的弱いという特性があります。そのままではボールが当たるフェースには採用できないため、カーボンの上からチタンを貼ったり、ポリマーコーティングをしてみたりと強度を上げるべく様々な方法を試したものの、打ち出すボールのスピン量が安定せず、ボールを打ち出す初速もチタンに比べると遅かったりと、実用には適さないものばかりでした。

 

そこでまず、カーボン自体の強度を上げるため、60層のカーボンシートを採用。地面に衝突して強い衝撃を受けることがあるソールでさえもカーボンシートは9層にとどまっていますが、それを遥かに上回る枚数です。60層の中には星型にクロスしたシートを3層組み込んであります。これにより中心が肉厚になり、スイートエリアが拡大する効果が生まれました。

↑60層ものカーボンシートの組み合わせ。3組の星型シートを組み込むことで中心が肉厚になり、スイートエリアが拡大する効果が得られました

 

強度は得られましたが、そのままでは、フェースが乾いた状態の時にはスピンがかかりすぎ、濡れた状態では逆に大きくスピン量が激減してしまうと現象が起こりました。そこで、フェースの表面にポリウレタンコーティングと、ナノレベルの微細な表面加工を施すことでドライ・ウエットの両方の状態でも最適なスピン量を維持することが可能になりました。

↑カーボンシートの一番上にポリウレタンコーティングとナノレベルの微細な加工でスピン量が安定

 

これらの結果、チタンフェースに比べて44%の軽量化に成功しています。しかも、チタンに比べてフェース面積を20%拡大してなおの軽量化。フェース面積が大きくなるということはスイートエリアが拡大し、よりミスヒットに強くなるということです。

↑60層ものカーボンシートを採用してなお、チタンフェースに比べて大幅な軽量化に成功

 

↑フェース面積は、チタンフェースの初代SIMドライバー(2020年モデル)に比べて20%も拡大

 

カーボンを採用したのはただ単に軽量化するためだけではなく、慣性モーメントを高める狙いがありました。慣性モーメントが高いと、芯を外した時にヘッドのブレが少なくなり、ボールの曲がりや飛距離のロスを防ぐことができます。つまり、優しいクラブとなるのです。慣性モーメントを高めるには長いシャフトに重いヘッドをつければよいのですが、それではスイングしづらくなります。ステルスドライバーは、カーボンの採用によってフェースを軽量化できたことで相対的に後ろのボディ部分が重くなり、ヘッドの重量を変えることなく慣性モーメントが高めることに成功したのです。

↑ドライバーヘッドの全体重量のうちフェースが占めるのはわずか10%。残り90%の重さを持つボディによって慣性モーメントが高まり、安定したボールを打ち出せる

 

フェースの軽さはエネルギーの伝達効率も向上させました。ボールにインパクトした瞬間、軽いフェースと重いボディの間にはスピードの差が生まれます。軽いフェースの後ろから重いボディが強い力で押し出し、一瞬遅れたフェースがその力を利用してボールを弾き出すのです。「その結果、チタンでは絶対に成し得なかった高いエネルギー伝達効率を生み出し、圧倒的なボールの初速を生み出します。チタンフェースは既に進化の限界にきていました。カーボンフェースにはさらなる未来が待ち受けています。今日がそのスタートラインです」(高橋氏)。

↑従来のチタンフェースに比べて圧倒的なボール初速を生み出す

 

なお、カーボンフェースというとインパクト音が気になるところです。ドライバーショットの爽快感は飛距離だけでなく、音と打感が伴ってこそのものですが、テーラーメイドではステルスドライバーのためだけに米サンディエゴ本社にサウンドエンジニアリングチームを組織して、徹底的に研究したそうです。その結果、打った時の手応え、音ともに従来のSIMドライバーに匹敵する爽快感となっており、言われなければこれがカーボンフェースだとは気づかないほどです。

↑ステルスドライバーのラインアップ。新製品はモデルによって性格がかなり異なるため、店頭で試打をして自分に合ったモデルを見つけましょう

 

ステルスドライバーは4種類の発売となります。プラスマイナス2度調節可能な“ロフトスリーブ”を搭載したアベレージゴルファー向けの「STEALTH」は8万6900円(税込)〜。ロフトスリーブ、左右スライディングウエイト(10g)を搭載したハードヒッター/アスリート向けの「STEALTH PLUS+」はテーラーメイド・セレクトフィットストア限定で9万200円(税込)〜。高弾道でよりつかまりのよい、初心者向けの「STEALTH HD」もロフトスリーブ搭載で8万6900円(税込)。女性向けの「STEALTH Women’s」は8万6900円(税込)。いずれもテーラーメイド独自のミスヒットに強い“ツイストフェース”機構、ヘッドの空気抵抗を減らしてスイングスピードを上げる“イナーシャジェネレーター”を搭載しています。

 

 

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