アディダス ジャパンから、初めて“駅伝”をその名に冠したランニングコレクション「ADIZERO EKIDEN COLLECTION(アディゼロ エキデン コレクション)」が登場。11月10日には、その発表会が東京都内で開催され、新製品と戦略の説明、そしてゲストに國學院大學陸上競技部の前田康弘監督、平林清澄選手(3年)、上原琉翔選手(2年)を迎えてのトークセッションが行なわれました。
メジャーマラソン優勝者の着用率は50%! 国内でも大きな存在感
2008年、ハイレ・ゲブラセラシェ選手が男子マラソン世界記録(2時間3分59秒)を更新したのを皮切りに、「アディゼロ」は、数々の偉業を支えてきました。21年は7つ、22年は2つの世界記録更新に貢献し、23年9月ベルリンマラソン2023では、ティギスト・アセファ選手が最新ランニングシューズ「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1)」で女子世界記録を大幅更新(2時間11分53秒)しています。
また、22年を通じて開催されたメジャーマラソンにおいては、優勝者の「ADIZERO ADIOS PRO 3(アディゼロ アディオス プロ 3)」着用率が50%を突破。このようなグローバルレースでの成功を踏まえて近年、日本でもシリアスランナーへのアプローチを強化してきた同社ですが、今後に向けては、はたしてどのようなビジョンを思い描いているのでしょうか。
学生長距離界では、12年に青山学院大学とパートナーシップを結び、22年に國學院大學との取り組みを開始したアディダス ジャパン。24年1月は、予選会を勝ち上がった大東文化大学、東京農業大学もスリーストライプスを纏って大会を走ります。
同社調べによると、箱根駅伝出場チームのアディゼロ着用率は、今年初めの時点で全体2位の20%。ただ、同社の山本氏は、「これに決して満足していない」と語り、「まず着用率50%を中期的なベンチマークとし、我々は引き続きこのランニングカテゴリーを強化してまいります」と力を込めました。
「グローバルイノベーション、大学との強力なパートナーシップ、日本に特化した商品やコミュニケーション。3つのアクションを通じて、我々は50%のシェアというところに向けて邁進してまいります。まずは来年1月の100回目となる箱根駅伝、ぜひ我々の3本線を纏っている選手の活躍を期待して見ていただければと思います」(山本氏)
朝日に照らされた「赤富士」 がデザインコンセプト
「日本が世界に誇るスポーツ文化、駅伝に新たな彩りを」。そう力強く宣言したのは、同社アディダス マーケティング事業本部 スポーツマーケティング シニアマネージャーの山口智久氏です。今や世界に知られるロードレースとなった日本の駅伝。記念すべき第100回箱根駅伝が約1か月半後に迫るなか、アディダス ジャパンは新たな取り組みを通じて、ランナーやチームのサポートに力を注いでいきます。
「駅伝ランナーの日常から本番までパフォーマンスを支え、そして駅伝自体の魅力を高め、より多くの人々を魅了させることで、来年、日本のスポーツ界全体が盛り上がることへつながってくれると強く信じています」(山口氏)
アディダスを代表するレーシングシリーズ、アディゼロ。今回のアディゼロ エキデン コレクションは、可能性と希望に満ちた大胆なスカーレットレッドと、輝かしい伝統と栄光を表すゴールドの彩り。この配色は、富士山が朝日に照らされて赤く染まる「赤富士」がデザインコンセプトになっています。
今回のコレクションは、赤富士を纏ったフットウェア全7モデルをラインナップ。そしてアパレルは、100のドットで赤富士が表現されたアニバーサリーアイコンをデザインした、全12モデルのアパレルアイテムが登場します。速さと軽量生にこだわり抜いたシャツやショーツ、ジャケット、パンツなど。どれも12月1日より順次発売される予定で、発表会当日はフットウェア5モデルが展示されていました。
アディゼロがサポートする國學院大學陸上競技部。箱根に向けて“気合い十分”
現在、駅伝界で強い存在感を放っている大学の一つが、今年1月の箱根駅伝で4位に入った國學院大學です。11月5日の第55回全日本大学駅伝では、3位という結果に終わり、前回大会の2位に続く2大会連続の表彰台入り。しかし、この成績を前田康弘監督は、十分だと考えておらず、まだまだ上を見据えています。
「チーム目標に表彰台というのを掲げて臨んだ大会でしたので、それは達成できたんですけど、心のどこかで悔しさを感じた部分もあります。これで終わりではなく、次の箱根駅伝でもう一回チャレンジできる機会がありますので、もっと上を目指して頑張っていきたいという気持ちになっています」(前田監督)
もちろん並々ならぬ意欲を示しているのは、監督だけではありません。1年時よりチームの主力として三大駅伝すべてに出走してきた3年の平林清澄選手は、「区間賞を一つ取れて自信になりました」と収穫を明かし、「チーム目標としての3位は取れたので、これからまだ箱根に向けて上がっていけるのではないか」と強気な表情を見せています。
また、「前半の大事な区間(3区)を任されたということでとても緊張していた」と話す2年の上原琉翔選手は、「自分の走りができて、区間も目標にしていた3番以内が取れたので、いい全日本大学デビュー戦になったかなと思います」と内容を振り返っており、約1か月半後の大舞台へ向けても充実した状態にあるようです。
平林選手、上原選手が語るシューズへの“こだわり”
実際に駅伝ランナーたちは、どのような基準でシューズを選んでいるのでしょうか。今回のトークショーでは、チームの主軸として活躍する2人がそれぞれ“こだわり”を教えてくれました。
まず、「ADIZERO TAKUMI SEN 9」を愛用している平林選手は、シューズ選びの重要な点として、「自分が求めているちょうどいい厚さ」を挙げています。「自分の足の感覚を大事にしているので、地面を使う感覚であったりだとか、走る時に反発に頼りすぎず、自分の足の力を使って走れる部分があってお気に入り」と自身との相性を分析しました。
一方、ADIZERO ADIOS PRO 3を着用する上原選手は、「厚底のシューズが好き」とのことですが、トレーニングではADIZERO SLをメインに使用しているようで、「レースでは柔らかさ、反発を求めており、トレーニングでは強化という部分で硬さ重視」と使い分けのポイントを説明。これには、平林選手も次のように同調しています。
「僕もトレーニングシューズに関して言えば、やっぱり安定性を大事にしていて、僕は足首が柔らかいので、グラついてしまうことがあります。だから安定性を意識してシューズを選んでいるし、軽さと足の感覚を大事にした走りをしています」(平林選手)
はたして記念すべき第100回箱根駅伝大会は、どのようなレースとなるのでしょうか。その力を疑う余地なく証明してきたアディゼロ、そして日本の頂点を目指す駅伝ランナーたちの熱い走りから目が離せません。
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