【きだてたく文房具レビュー】機能性か遊び心か、両極端な2冊のノート
今年の春、『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)という書籍を出させてもらった。タイトルそのまま、この10年のうちに発売された文房具の中で、最も社会的に影響力のあった文房具は何か? を考える、ちょっと変わった内容の文房具本である。文房具に興味がある方なら興味深く読める本なので、ぜひご覧いただきたい。
で、そういった重要度とは別で、この10年でいちばん“多様化した文房具”ってなんだろう? と考えた時、まず思い浮かんだのは、紙のノートだ。
ただ何かを書き留めるだけの紙を束ねた冊子として、長年使われていたノートだが、2000年代後半に東大合格者のノートを分析して作られた「ドット入り罫線ノート」(コクヨ)以降、ただ書くだけでなく、勉強しやすい・デジタル化しやすい・暗記しやすいなど、さまざまな局面に特化して使いやすくしたノートが、数多く生まれてきた。
まさにこの10年は、ノートにおけるカンブリア爆発の時代だったのだ。
……と、やたら大げさな書き出しになってしまったが、本稿でそんなマクロな話をするつもりはない。もうちょっとシュルシュルと視点を縮めて、その多様化したノートの最新アイテム2点を紹介したいだけなのである。
快適+検索性アップのソフトリングノート
2015年にコクヨから発売された「ソフトリングノート」は、リングノート最大の欠点である“筆記時に手がリングに乗り上げると痛い”という不快感を、ぷよぷよした柔らかな樹脂製リングで解決した、画期的な製品だった。
そのソフトリングノートがさらに進化し、紙面の検索性をアップさせたのが、発売されたばかりの最新版「ソフトリングノート Biz エッジタイトル」だ。
「エッジタイトル」とは、コクヨが2009年に発売した特殊な罫線のこと。紙面をよく見ると、一般的なノートの上部にあるタイトル・日付記入用スペースが、紙面両サイドの縦方向に配置されている。つまり、ページのエッジ部分にタイトル欄があるから、エッジタイトルというわけだ。
ノートに書き込みをする際に、1案件がきっちり1ページ単位で書ききれる、というのは実はかなりのレアケースである。逆に、会議の議事録をとろうとしたのに無駄話ばかりで、書き込んだのは結局数行だった、なんてことはよくあること。で、もったいないからそのページの続きにクライアントとの打ち合わせの内容をメモする、というのもよくあるだろう。
しかし、そのページのタイトル欄に「○月○日 営業会議議事録」なんて書き込んであったら、もう大変だ。打ち合わせの内容を思い出そうとページを繰っても、なかなか見つからない。
そこで便利なのが、エッジタイトルなのである。わずか数行の議事録のエッジ部分に「○月○日 営業会議議事録」、その直下から始まる打ち合わせメモの横には「▲月▲日 打ち合わせ」というように記入する。
内容ごとのタイトルと日付がインデックスのように書き込めるわけで、これならページをペラペラめくるだけで、探している内容にすぐアクセスできるという仕組みだ。
快適さですでにファンの多いソフトリングノートに、検索性が高く使いやすいエッジタイトル罫がプラス。仕事用ノートはもはやこれ一択でOK、というレベルに進化した、究極にオススメのビジネスリングノートである。