文房具
2018/10/11 18:00

楽しみは“集める”から“使う”へ!「マスキングテープ」の待機ツール2選

【きだてたく文房具レビュー】お気に入りのマスキングテープを使いやすくするグッズ

どんなに世事に疎いオジサンでも、「女子の間で“マステ”(マスキングテープ)が流行ってるらしい」ぐらいは、聞いたことがあるだろう。

 

実際のところ、およそ女性なら机の引き出しにマステの10個や20個は入っているのでは? と想定されるレベル。“マステ好き”を名乗るなら、最低でも100個は手元にあって……という話なので、流行っているどころの話ではない。

 

とはいえ、女性がマステをそれだけ持っていて何に使うのかと言うと、実は確たる用途があまりない。

 

もちろん、手帳などの持ち物をデコったり、友達への手紙の封に使ったりと使われてはいるのだが、基本的にはロールのままかわいい柄を集める、コレクタブルなアイテムとして成立しているのが現状である。だから10個20個と手元に溜まるのだ。

 

ただ、それが最近、ちょっと変わりつつある。「さすがに溜め込むだけじゃねえ……」という声もマステファンから出始めたのか、業界全体の雰囲気が「溜める」→「使う」にシフトしてきているのだ。

 

そして、機に聡い文房具メーカー各社が、マステを使いやすくするためのツールを発売し始めている。今回は、そんなマステを消費するための、ネクストステージな文房具を紹介したい。

 

お気に入りのマステをペン形状で持ち歩ける

たっぷり溜め込んだマステも、自宅の机やストッカーにしまいっぱなしでは使えない。それよりもお気に入りの柄のマステを持ち歩けば、何かと使う機会も増えるのではないか。

 

ということでカンミ堂が発売したのが、ペンケースに入れて持ち歩けるマステホルダー「maco(マコ)」だ。

↑カンミ堂「maco」669円(コマキ芯5個付き)

 

細長いペン型のホルダーに、マステを4柄まで収納することができる。とはいえマステといえば、セロハンテープのように紙芯のロールに巻かれたもので、そのままではこのホルダーには入らない。

 

じゃあどうするかというと、専用の“コマキ芯”にテープを巻き直すのである。

↑小巻き器を押さえて、テープをぐるぐる回転させるとスムーズに巻ける

 

まず、macoに付属の小巻き器にコマキ芯をセットして、テープの端を水平に貼り付ける。あとは小巻き器の両端を指で押さえつつ、テープをぐるぐると回転させて芯に巻き付けていくのだ。

 

この時のコツは、小巻き器を中心軸にして固定し、テープをそれに沿うように動かして巻いていくこと。最終的に小巻き器キャップ(ギア状のもの)と同じぐらいの太さまで巻けたら、テープ長が約1mほどの小巻きマステが完成である。

 

コマキ芯はベーシックな15㎜幅テープ用だが、カンミ堂のサイトには幅広な18㎜・20㎜テープのオプショナルな巻き方も動画で紹介されているので、参考まで。

↑テープ長約1mの小巻きマステ、完成。ちっちゃくてかわいい

 

できあがった小巻きテープの端を、maco本体ホルダーのスリットから出しつつセットすれば、あとは小巻き器を放り込んだキャップをパチンとしめて作業完了。これでペンケースにマステを入れて持ち運べる、という次第である。

 

ホルダーにはマステカッターも付いているので、使う時は中から好きなだけ引き出してカットすればOKだ。

↑maco本体の側面はテープカッターになっている

 

実は個人的には、この小巻きマステを作る作業がめちゃくちゃ楽しかった。慣れるとものの1分足らずでスイスイと巻けてしまうし、なにより、できあがった小巻きが妙にかわいいのだ。

 

マステコレクターの間では、紙片にコレクションを巻き直して知人とトレードする、ということも行われているが、今後はmacoの小巻きがトレード用の1単位としてファンに流通していくのかもしれない。コマキ芯だけ別売も用意されているあたり、メーカーもそこを見越しているのだろうか。

↑追加のコマキ芯は10本入りで259円

 

↑巻くのが楽しすぎて、気がつくと大量に巻いてしまう

 

結局のところ、使うつもりが小巻きマステが溜まっていく……という始末になる気もするが、まあ、従来の紙芯よりはかなりコンパクトになるし、そのままmacoにセットして持ち運べるし。

 

気軽にマステを使える卓上ストッカー

外に持ち出すだけでなく、机上でもうちょっと気軽にマステを使いたいというなら、また別のツールがある。サンスター文具のマステホルダー「KIRUNO(キルノ)」だ。

↑サンスター文具「KIRUNO」1058円

 

見た目はやたらとシンプル。ほぼ、スタンド付きの棒というところだ。

 

使い方ももちろんシンプルで、この棒の部分に輪投げ感覚でマステをそのままぽいぽいと放り込んでおくだけ。15㎜幅のマステなら6個、収納しておくことができるようになっている。

↑ぽいぽいっとマステタワーの完成

 

これだけなら単なる棒を使えば済む話じゃないか、と言うなかれ。実はこの棒、上から引き抜くとペン型のハサミになっているのだ。

 

マステをデコレーション用途に使う場合、テープ端をきれいにカットしたり、柄だけを切り抜いたりと、ハサミは必須。つまりマステホルダーとハサミが一体化していれば、使いやすいのである。

↑芯棒を引き抜くと、スティック型ハサミに

 

↑薄いテープでもサクッと切れる、かなりの切れ味。刃の側面についた段差のおかげで、粘着材が残りにくいのも快適だ

 

ハサミ自体は、サンスター文具から発売中のペン型ハサミ「スティッキール」とほぼ同様のもので、切れ味は間違いなし。さらに、刃の部分は段差の付いた“3Dグルーレス”仕様になっており、テープの粘着材が付着しないよう工夫もされている。刃がベタベタしてきたな、と感じても、ウエットティッシュなどで拭えば、すぐにきれいになるのである。

↑とりあえず手元に積み上げておけば、ちょっとした機会にでもお気に入りのマステを使うことができるだろう

 

100個レベルでマステを持っているコレクターだと、専用のストッカーや箱に溜め込みがち。それだと、取り出すのが面倒でなかなかマステを使おうという気にはなれない。机の上に常にお気に入りの数柄だけでも備えてあれば、膨らむ一方のマステコレクションも、もう少し気軽に消費していけるんじゃないだろうか。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。