フリクションボール多色/フリクションボールスリム用の、「替芯4本セット 限定ケース付き」である。
名前のとおり、フリクション多色用の替芯(黒×2、赤、青)4本セット売りなのだが、数量限定で替芯用のケースがオマケについている、というもの。
そもそもフリクションボール自体が、フローの良さからインク消耗が早いという印象の強いペンなのだが、さらに芯が細い多色タイプの場合、替芯も一緒に持ち歩くのがフリクションユーザーの心構え、みたいな話にもなっている。
単色替芯と違ってキャップのない多色替芯は、できればこういうケースに入れて持ち運べるとありがたい。そして、さらにこの替芯ケースが、地味に良くできているのだ。
替芯4本がちょうど横並びに入る、薄いポリスチレンのケースなのだが、横から見るとキャップパーツの途中が大きく凹んでいる。
この凹部は、指をかけてつまんでキャップを外す役にも立つのだが、それだけではない。替芯を収納してキャップを閉めると、この凹部と替芯の口金手前の段差が干渉して、逆さにしても替芯の芯先がキャップの天井に触れないようになる。つまりこの凹部は、持ち運び中の振動や衝撃でも、芯先を傷つけないための工夫なのである。
芯先のボールは、傷つくとインクの出が悪くなったり、場合によっては書けなくなることもあるので、できればきちんと保護したい。もちろん新品の替芯には保護用の樹脂玉がついているが、これだって何かの理由でポロッと外れてしまう可能性もある。
そういう心配なく替芯が持ち運べる工夫が施されたケースというのは、まさにユーザーの心情にフィットした心憎いオマケではないか! やってることは、すごい地味だけど。
【著者プロフィール】
きだてたく
最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。