眠気を消す、ゴム
朱肉カスなどの汚れを取るのは、まだ物理的な“消すためのゴム”として理解できる。しかし、目に見える汚れではなく、なんと人間の本能に即した“眠気”を消してしまおうというのが、ビバリー「ねむ消し」なのだ。
鉛筆で字を書くシチュエーションの最たるものは、勉強である。そして勉強というのは根本的に、眠気との戦いでもある。
ならば、字を消せる消しゴムで眠気まで消せたら最高じゃん? という話ではないか。ねむ消しは、やや硬めながら一般的なプラ消しゴムと同じPVC(ポリ塩化ビニル)製の塊なので、こすれば鉛筆の字だってちゃんと消せる。
しかし、それだけではこんな変な形をしている意味はない。このくさび状の形を使って、眠気をスッキリさせるツボ押しができるのだ。
勉強中にふわぁ~っと睡魔が襲ってきたら、まずねむ消しの尖った先端を親指と人差し指の付け根部分、骨が交わっている辺りにグッと押しつける。気持ちいいと感じるぐらいの強さで、やや強めに押す。
ここは“合谷(ごうこく)”と呼ばれる、ストレスで乱れた自律神経を整えるツボ。刺激することで眠気もすっきりするし、あとはテスト中などに緊張をほぐして平常心に戻す効果も期待できる。
もうひとつ、中指の爪の生え際よりやや下、人差し指側には“中衝(ちゅうしょう)”というツボもある。ここもグリグリと押すと眠気を消す即効性があると言われている。
プラや木製のツボ押しだと硬すぎて、手など繊細な部分には刺激が強すぎることもある。やや硬めの消しゴムというのは、なかなかに具合が良いのだ。
さらに、ねむ消しの先端にはザラザラとした梨地加工が施されており、押し当てた時に滑らず肌当たりも良い。これまでにもいろんな消しゴムを見てきたが、肌当たりを考慮した消しゴムというのは、初めてである。
全体に刻まれたタテのギザギザは、握ったり、両手のひらでこすり合わせることで刺激が得られ、こちらも眠気を解消したり気分をリフレッシュさせる効果がある。これもかなり気持ちが良い。
手の血行も良くなるので、冬場に手が冷えて鉛筆が握りにくかったり、緊張して冷や汗をかいている時なんかにも効きそうだ。
さらに徹底しているのが、ねむ消し自体にはさわやかなミントの香りが練り込まれていること。会議中など人前で露骨にツボ押しとかやりにくい場合には、こっそり嗅ぐだけでも多少は気分をスッキリさせることができそうだ。
鉛筆やシャープペンシルなどを常用していない人でも、いざという時に役立つコンパクトなツボ押し器として、筆箱に放り込んでおいてはどうだろうか。