2019年は、大変だ。30年続いた平成が終わるのはともかく、政府は新元号をギリギリまで発表しないわ、いきなりゴールデンウィークを10連休とか言い出すわで、手帳・カレンダー業界は完全にパニックである。だいたい、秋口にはすでに来年のカレンダーなんかほぼ刷り上がっているわけで、その被害や心労を想像するだけで、こちらの胃もキリキリと痛むほどだ。
そんな騒動の中でも、従来になかったような新しい機能性カレンダーが、クラウドファンディング発で色々と発売されている。
わざわざ画面を表示させなければ見られないスマホのカレンダーと違い、壁掛け・卓上タイプのカレンダーは常に視界に入る。つまり日常的に日付や予定を確認する際、まず最初に使われるものだ。そういうツールが機能的であれば、わりと簡単に日常生活が便利になるのである。
1年が1枚のロールになったカレンダー
壁掛けタイプのカレンダーといえば、1か月ごとの表示を月替わりのタイミングで破ったりめくったりして更新するのが一般的。つまり、その当月しか日付が見られないのだ。もちろん、ちょっと気の利いた製品なら前月・翌月の表示もついていたりするが、だいたいは小さく記載されているだけなので役に立ちにくい。
そこを面白いやり方で解決しているのが、MetaMojiの「ロールカレンダー」だ。
クラウドファンディングサイトのMakuakeで出資を募って作られた(達成金額417%)このカレンダーは、1年=12か月の月表示が長いロール状になっている、という製品だ。つまり月表示は、ロールを巻きつつ進めて更新する、という仕組みなのである。
表示する期間は、巻物のように巻いたり伸ばしたりすることで、最大6か月間まで自由に変えることができる。もちろん、半年分も伸ばすと縦方向にかなり長くなるので、実用的な感覚としては当月を含んで前後の2~3か月が丁度良い感じだろう。
スペースの関係で1か月分ぐらいしか表示できない、という場合でも便利なのがロール方式の面白いところで、月半ばぐらいになったら巻き進めて、当月の残り+翌月の前半を表示する、という使い方もアリだ。
さらに、紙面はホワイトボード仕様になっており、ボードマーカーでの書き込み・消去が可能(ただしマーカーは付属しないので自分で用意のこと)。
壁掛けカレンダーは、枠の中に予定を書き込むという使われ方も多いが、これならスケジュールが1か月ごとに途切れることなく、連続して表示・確認することができるというわけ。カレンダーをめくった瞬間に翌月初の大事な用件(しかもうっかり忘れてた)がバン! と出てきて慌てる、みたいなこともないだろう。
常に1週間が見渡せる日めくりふせんカレンダー
同じくクラウドファンディングを達成して作られたカンベビジュアル/ケープランニングの「himekuri」は、卓上タイプの日めくりカレンダーだ。
日めくりカレンダーと言うと、当日のみの1日表示と思われがちだが、himekuriは横長の1週間表示となっている。
1日が終わるごとにペリッと日付をめくると、下から色違いで翌週の同曜日が現れるので、常に「今日から1週間後」までが見渡せる、という仕組み。卓上カレンダーとしてはコンパクトで設置しやすく、かつ1週間分の日付までは確認できるというのは面白い。
さらに、1日ずつが付箋になっているのもポイント。剥がした日付を手帳に貼ったり、作り置き総菜のタッパーに貼って作った日付表示にしたり、という使い方がメーカーから提案されている。他にも、アイデア次第でいろいろと使えそうだ。
実はこの製品、2018年版から製品化されているのだが、2019年版から登場した新柄が、いま文房具業界でちょっと話題になっているのだ。その新柄が、この文房具柄とねこ柄である。
どちらもかわいくて和み度の高いこの文房具柄とねこ柄、実は365日すべて被りなく違うイラストが入っているのだ。それぞれ1週間横つながりのイラストになっているため、週の境目も分かりやすい。
ちなみに監修は、愛猫家でも有名な文房具プランナーの福島槙子氏(GetNavi webで連載をもつ「毎日、文房具。」の副編集長でもある)、イラストは文房具専門誌で連載も持つイラストレーターの萩原まお氏、とくれば、文房具マニアなら「おっ」と思われる方もいるかもしれない。
もちろん日付の裏面は通常版と同じ付箋になっており、使い終わった日付を貼る楽しみはグッとアップ。というか、このかわいいイラストを毎日使い捨てにするのはもったいない(なにより、イラストレーターの労力を思うと……)ので、個人的には再利用をおすすめしたい。
もちろんメーカーも再利用前提でいるらしく、なんと使い終わったhimekuriを貼る専用のスリムタイプノートまで、同時に発売しているのである。これに日付を貼って、1日1ページ日記や、いま手帳関係で流行中のバレットジャーナルとして使おう、ということのようだ。
ノート自体も、女性の小さいカバンでも持ち歩きしやすいA5スリムサイズで、高品質で書き味の良いトモエリバー紙を180度きれいに開く糸かがり製本で仕上げた高品質なもの。しっとり・スルッとした紙質は筆記具を選ばないが、特に万年筆との相性が良いように思う。
一日の終わりに好みの万年筆でゆったりと書き込んで、最後に日付を貼ってページを仕上げる、というのはホビーとしてもなかなか楽しそうだ。