文房具
2019/3/18 20:00

知っておきたい「カッター刃の規格」と間違いない万能カッター、オルファ「ハイパーM厚型」

【きだてたく文房具レビュー】とりあえず1本あればいい人と、こだわりたい人のためのカッターナイフ

紙工作が好きな人間にとって、カッターナイフは“愛刀”である。用途によって刃の切れ味はもちろん、長時間の作業でも疲れにくいバランスや握りやすさなどに、人それぞれのこだわりがあるから、一度これ最高!と思い極めたカッターナイフ(ボディ+刃の組み合わせ)は、本当に愛おしく感じるのだ。

 

例えば筆者だと、以前にこの連載でも紹介したOLFA(オルファ)のボディ「ハイパーAL型」+替え刃「スピードブレード」が愛刀と言える。ダンボール工作なんかだと、もはやこれ以外に使う気になれないぐらいの切れ味と使いやすさで信頼し、溺愛している存在だ。

最強のカッターナイフはホームセンターに売っていた! 常識を覆す切れ味で疲労度極少
https://getnavi.jp/stationery/89144/

 

↑ダンボール工作には、もはや欠かせない切れ味のスピードブレード
↑ダンボール工作には、もはや欠かせない切れ味のスピードブレード

 

とはいえ、世の中のほとんどの人は、カッターナイフなんて年に1~2回使えば多い方じゃない?という感じだろう。カッターナイフに特にこだわりはないし、そもそもこだわるほどヘビーに使うこともない。

 

ところが、実はそういう人のカッターナイフの方が、選ぶのが大変だったりするのだ。なにせこだわりがないから、使う状況次第でコピー用紙を切ったりダンボールを切ったり木製の棚のささくれを削ったり……と様々な用途に駆り出されてしまう。つまり、これ一本でなんでも使える“万能性”を要求されてしまうのである。

↑これさえあれば……という万能カッター、OLFA「ハイパーM厚型」509円(実売価格)
↑これさえあれば……という万能カッター、OLFA「ハイパーM厚型」509円(実売価格)

 

つい最近、まさにそういう超万能カッターナイフが出たので、今回はそれをご紹介したい。1月末に発売されたOLFAの「ハイパーM厚型」は、「一家に一本、これがあればだいたい切るのはイケる!」という優れものだ。

↑3タイプの刃幅比較。M厚はパッと見た印象だとSとほぼ同じサイズだが、刃厚はLに近い
↑3タイプの刃幅比較。M厚はパッと見た印象だとSとほぼ同じサイズだが、刃厚はLに近い

 

カッターナイフの刃は大まかに分類すると、一般的な「S刃」(刃幅約9㎜・刃厚0.38㎜)と、大きい「L刃」(刃幅約18㎜・刃厚0.5㎜)の2種類がある。※幅25㎜の特大H刃もあるが、あまり一般的ではない。

 

これらは、JISなどで規格化されているわけではないが、互換性を持たせるためにどこのメーカーも同じサイズで作っている。そんな中でOLFAが2009年に独自規格として出したのが「万能M厚刃」だ。

↑ちょっと長めに刃を出して切っても、しならないので安心感がある
↑ちょっと長めに刃を出して切っても、しならないので安心感がある

 

万能M厚は幅が12.5㎜とS刃に近いため、曲線切りなどの取り回しがしやすい。そこへ刃厚は0.45㎜とほぼL刃と同じなので、ダンボールなどの厚物にも刃がしならず切り込んでいける、力強さを併せ持つ。その上、ペン立てに立てておいても邪魔にならないサイズだし、とオールマイティな性能の万能カッターなのである。

 

で、この万能M厚刃をプロ仕様のハイパーXボディに搭載したのが、今回のハイパーM厚型だ。

↑L刃用ハイパーAL型(上)とハイパーM厚型(下)。ゴムグリップや後端の爪など機能はほぼ変わらないが、サイズはぐっとスリムに
↑L刃用ハイパーAL型(上)とハイパーM厚型(下)。ゴムグリップや後端の爪など機能はほぼ変わらないが、サイズはぐっとスリムに

 

ハイパーXボディは、軍手越しに握っても滑りにくいラバーグリップ付きで、グッと力をかけての作業には最適。やや丸みを帯びた形状も手にフィットして握りやすいということで、主にL刃用ボディとして現場作業のプロに愛用されてきたシリーズである。

 

なので、L刃と同様に力をかけて切る作業にも使える、万能M厚刃とハイパーXボディとの相性は、最高のひと言。ラバーグリップを活かしてシェイクハンドグリップで握れば、ベニヤ板なんかにもグイグイと切り込んでいける刃のパワフルさが、フルに発揮できる。

↑S刃では刃折れが怖くてできない、木材への切り込みも問題なし
↑S刃では刃折れが怖くてできない、木材への切り込みも問題なし

 

逆に細かな曲線切りをする場合は、スリムなボディをペングリップで握ってスイスイとカット、なんてことも可能なのだ。

 

さらにハイパーM厚型のありがたいポイントが、ボディ後端の“爪”。これがやたらと頑丈なスチール製なので、何にでも使えるのだ。

↑爪だけでも、作業工具として欠かせない存在感がある
↑爪だけでも、作業工具として欠かせない存在感がある

 

紙に折り筋をつける・ペンキ缶の蓋を開ける・付着した塗料をひっかいて削り取る・ダンボールオープナーとして開梱作業に使う……と万能。一度この爪の使い勝手を覚えてしまうと、何か作業する際には手元にないと不安になるほど、便利なのである。(筆者がL刃用ボディとしてハイパーAL型を使っているのも、この爪の存在が大きい)

 

何でも切れる刃+握り方自在のボディ+マルチパーパスなスチール爪の組み合わせは、まさに万能。日常的にカッターの使用頻度があまり高くない人にこそ備えておいて欲しい、便利すぎる万能刃物なのだ。

 

……と、本来ならここで紹介を終えるところだが、今回はもうひとつ。

カッターにこだわる人なら「特専M厚黒刃」がおすすめ

カッターにこだわりのない人なら、ハイパーM厚型+万能M厚刃の組み合わせで間違いないのだが、こだわっている人のためには、ぜひこちらも紹介しておきたい。

↑OLFA「特専黒刃M厚」(20枚入り)586円(実売価格)
↑OLFA「特専黒刃M厚」(20枚入り)586円(実売価格)

 

ハイパーM厚型ボディと同時に発売された「特専黒刃 M厚」は、切れ味重視のM厚刃。OLFAの特専黒刃シリーズは、従来の刃よりも鋭角に研磨されているため、とにかく切れ味がシャープ。S刃・L刃ともに良く切れる刃が欲しいなら、まず特専黒刃を選べ、というぐらい高品質なものだ。

 

ところが、なぜか万能M厚刃には特専黒刃がラインナップされていなかったため、ヘビーなM厚ユーザーは10年間ずっと、OLFA本社のある大阪方向へ向けて「黒刃を出せ……出せ……!」と念を送り続けていたのである。それほど切望されていたM厚の特専黒刃が、今回ようやく発売されたのだ(本当に待ってた!)。

↑紙をまとめてカットしたいなら、特専黒刃の方が圧倒的に作業効率が高い
↑紙をまとめてカットしたいなら、特専黒刃の方が圧倒的に作業効率が高い

 

さすが特専黒刃を名乗るだけあって、切れ味はお見事。スーッと軽く引くだけで、コピー用紙8〜9枚重ねをきれいにカットできるほどの能力を持っている。

 

その切れ味に加えて、M厚刃の頑丈さもあるので、薄いダンボールぐらいなら、刃をひねりながらのなめらかな曲線切りも自由自在だ。

↑ダンボールを削ぎ切りしても、切り口が潰れない。この切れ味の鋭さは、さすが特専黒刃だ
↑ダンボールを削ぎ切りしても、切り口が潰れない。この切れ味の鋭さは、さすが特専黒刃だ

 

ただし、特撰黒刃は鋭角に研磨されているだけあって、どうしても刃が鈍りやすい、という弱点がある。サクサクと気持ちよく切っていると、あっという間に切れ味が落ちてしまうのだ。

 

そのため、作業中は細かく何度も刃を折ることが必須となる。感覚的には、5カットしたら刃を折る、ぐらいの頻度だろうか。

↑特専黒刃を使うなら、「ポキ」などの刃折り器は当然の備えと言える
↑特専黒刃を使うなら、「ポキ」などの刃折り器は当然の備えと言える

 

カッターの使用頻度が高くない人はどうしても、刃をこまめに折る習慣が身についていないので、そういう意味で特専黒刃は向いていない。

 

逆に、刃を常にポキポキ折れるほどカッターを使い込んでいる人なら、ハイパーM厚型と特専黒刃M厚の組み合わせは間違いなくおすすめ。あなたの新たな愛刀になれるポテンシャルは、確実に持っているはずだ。