使い勝手を究めた“変形タイプ”のデスクオーガナイザーをレビュー
「デスクオーガナイザー」という単語を、最近あまり見かけないなーという気がする。デスクオーガナイザーとは、ざっくり言うと、ペン立てを中心とした機能をもつ“卓上小物入れ”のようなもので、これが1980~’90年代頃には“デキるビジネスマンのデスク必携ツール”とされるほど、やたらと人気だったのだ。
もちろん今でもAmazonなどで検索すれば、製品がいくつも出てくる。しかしほとんどが中国製の似たり寄ったりなものばかりで、正直最近、ジャンルとしてあまり盛り上がっている印象はない。
どうしてこんなに流行らなくなったのか……という理由は、いくつか考えつく。例えば、そもそも昔と比べるとデスクがPC中心になって、デスクオーガナイザーを置くスペースがなくなった、というのは大きいだろう。フリーアドレス制の導入も原因のひとつだろうし、人気ジャンルの“立つペンケース”系に取って代わられた説もあるだろう。
ただ、作業スペースで素早く文房具にアクセスできれば便利なのは、いつの時代でも変わらないはず。立つペンケース以外にそういったことが可能な卓上小物は、もうちょっと注目されてもいいんじゃないかなとは思うのだ。
そこで今回は、場所を取らずに文房具を設置できて高アクセス、かつ便利機能を備えた現代版デスクオーガナイザーを、2点紹介したい。
折り畳んで運べるナカバヤシ「オリパクト」
今の時代、結局のところ何が一番大事なツールかといえば、やっぱり間違いなくスマホだろう。オフィス内では内線・外線を問わず連絡に使われ、メールやアプリなどメッセージツールでのやりとりも必須、さらにクラウド上のデータを確認したりと、もうなんでもかんでもスマホが必要となる。
となれば、スマホに素早くアクセスできる置き場をデスクに設けるのは、当然の話とも言えるのではないか。
ナカバヤシ
デスクオーガナイザー「ori-pact(オリパクト)」Mサイズ
2100円(税別)
ナカバヤシの「オリパクト」は、まさにスマホ置き場を中心にしたシンプルなデスクオーガナイザーである。
スマホ立て、ペンスタンド、付箋などの小物置き場が一体化しており、設置スペースもスリムで必要最小限といった感じ。これなら、机の上にスマホを直に置くより場所を取らなそうだ。
スマホは充電ケーブルを挿したまま立てられるのは当然として、さらにそれ以外の部分もいろいろと気が利いた設計に感じられる。
ペンスタンド穴は、多機能ペンなど太めのタイプもきちんと入るように設計されているのが嬉しいし、その直下の空きスペースには、クリップ類をマグネットで貼っておけるのも面白い。一番下の空間には付箋ディスペンサーを置いたり、スマホ用のモバイルバッテリーを入れておくのもアリだろう。
実際に使ってみても、あまり細かい不満が出にくい作り込みがされているという印象だ。よくできている。
そして、なによりもすごいのが、この「オリパクト」は折り畳んでの収納・持ち運びが可能ということ。底部がマグネットでくっついているので、そこを外してから折り目を伸ばしていくと、あっという間に薄い板のようになってしまうのだ。
厚さはわずか9㎜弱で、これなら荷物がギチギチに詰まったカバンにも、スッと収まってしまうのではないだろうか。
使う時は、また三角になるように立てて底部をくっつけ、折り目を押し込めば、すぐ元通りのスタンドに変形完了。所要時間はわずか数秒というところだろう。
これならフリーアドレス席やコワーキングスペース、カフェのテーブルなど、どこでも手早く作業環境が整って、省スペースでも快適性は高い。まさに今の時代にマッチした現代版デスクオーガナイザーと言えるのではないだろうか。
デビカ「Put in Put」は付箋の活用に便利
もうひとつ紹介したいのは、デビカの「Put in Put」。持ち運びはとくに想定されていないであろう、自席に据置型のデスクオーガナイザー……というより“高機能ペン立て”といった感じのコンパクトな製品だ。
デビカ
フセンボード付きペンスタンド「Put in Put」
580円(税別)
収納できる物も、筆記具などをペン立てに入れたら、あとは付箋をストッカーに立てておける程度。単純にデスクオーガナイザーとして捉えると物足りない気もするが、それを補って便利なのが、ペン立ての横にあるフセンボード(写真の青い板)である。
要するに幅85㎜ほどの“板”なのだが、ここに伝言や備忘録メモ、スケジュールなどを書いた付箋を貼っておけるのだ。
そんなのPCのモニターに貼っておくからいいよ、という人もいるだろうが、モニターからびらびらと付箋がはみ出して貼られているのは、あまり見た目のいいものではない。なにより、付箋の端に手などが当たるとウッカリ剥がれ落ちてしまったりも。
それなら専用のボードに貼ったほうが安心だし、なによりボードと付箋ストッカーが一体化しているので使いやすいのだ。
ひとつ気になったのは、ペン立て部とフセンボードが凹凸で組み合わされているだけなので、簡単にスポッと分離してしまうということ(一応、ボードだけでも自立は可能)。もしかしたら、ペン立てだけを分けて別の場所で使う……ということもあるかもしれないが、普通に考えれば、あまり分離する意味はなさそうだ。
全体がプラ製で軽く、置いたときの安定性は、ほぼペン立てに入れた筆記具の重量に依存する構造なので、できればもうちょっとペン立てとボードがカッチリとハマるようになっていたほうが、使いやすかったかなと思う。
とはいえ、パッケージに「ありそうでなかった、フセンボード付きペンスタンド」と書かれているように、意外となかったし、なぜなかったのか不思議なほど、使いやすい組み合わせでもある。特に、一日のスケジューリングに付箋を使っているタイプの人は、かなり便利に使えるのではないだろうか。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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