卓上カレンダーとして常時表示させるのも便利
機能としてユニークなのは、「フリーノ」自体を据え置きのカレンダーとして使えるというもの。電子ペーパーは表示し続けるだけならほぼ電力を消費しないので、そういった使い方もできるのだ。
トップメニューからカレンダーを選んで、専用カバーの表紙を折り返して立てておけば、それでOK。ノートとしては小ぶりな「フリーノ」だが、このように卓上カレンダーとして使うとジャストなサイズ感である。
日付の枠をタップすれば、もちろん予定の書き込み・消去も可能。ここで表示される書き込み欄は「マンスリー枠」「枠外メモ」に分割されており、枠内に記入した内容はそのままカレンダーに反映される。
ただしかなり縮小表示となるので、カレンダー表示時だと、よく見ないと「あ、なんかチマチマっと書いてるな」ぐらいで、きちんと読み取るのは難しい。そのため、枠には予定の大見出しだけ書き込み、細かな内容は枠外メモに書いておく、という使い方が良さそうだ。
取り回しがよく便利なサイズ感
さて、10日間ほど「フリーノ」を使ってみての感想だが、この卓上カレンダーとしてジャストなサイズが、デジタルノートとしてはわりと便利かもしれないな、と感じた。筆者は普段、紙のノートとしてA5サイズのノートを使用しているが、持ち運べるページ数に上限がないなら、別に6.8インチ≒A6サイズでも問題ない。1案件につき1ノートファイルと決めてしまえば、検索性もさほど問題ではないわけだ。
それなら適度に読み書きできるスペースがありつつ、より可搬性の高いコンパクトサイズの方がありがたいのは当然だ。(本体+ペンの重量は約240g。ただし専用カバーがやや重いのが気にはなるが)
気になったのはWi-Fi接続下での消費電力
逆に気になったのが、Wi-FiをONにした際の消費電力の多さだ。ドキュメントを取りにDropboxにアクセスしていると、バッテリー残量がみるみる減っていくのである。消費電力の少なさがポイントの電子ペーパー搭載製品だけに、これはちょっと困る。いざ書きたいときにバッテリー切れで使えないノートでは、意味がないのだ。もちろん、今回試用しているのが完成前のサンプル機だから、ということもあるかもしれないが、少し気がかりである。
キングジムの「フリーノ」開発者に確認したところ、「現在、CPUやバッテリーなどの変更をしているので最終版とは仕様が異なります。ただしWi-Fi接続時に電力消費が高まるのはシステム面によるものなので、自動的にW-Fi関連無操作状態から5分後に自動的にオフとなる仕様にしています。また、Dropboxの連携とアップデートでしか使わないのでWi-
Fiの想定使用時間は少ないです。ついては、提示する電池寿命はWi- Fiとフロントライトはオフでの試算を予定しています」との回答を得た。(編集部注)
「デジタルノート」の食わず嫌いはもったいない。まずは試してみるべし
筆者は個人的にデジタルノートというジャンル全体に大きな期待を持っている。スマホなどのデジタルデバイスがここまで普及している現状で、やはり紙のノートや手帳ではできないこと(書いたノートや書き込み自体の検索などは、その際たる部分)が多いな、と感じているからだ。
もちろん今の時点で、デジタルノートが万人にとって紙のノートに取って替われるツールか? と問われると、残念ながらまだ難しい気がする。それは、やはり多くの人が、長年慣れ親しんだ紙の感触や使い方から離れることができないだろうなと思うからだ。
ただ逆に言うと、あくまでも慣れの問題、とも考えられる。例えば、幼い頃からタブレットにデジタルペンで書き込むことに慣れてきた世代にとっては、もうデジタルノートの方が便利! ということだって、あるかもしれないのだ。
「フリーノ」を始め「クアデルノ」(富士通クラウドコンピューティング)など意欲的なデジタルノートがあれこれ出始めている今こそ、「とりあえずデジタルノートも使ってみるか」ぐらいの感覚で、手を出してみてはどうだろうか?
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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