文房具
筆記用具
2019/12/26 19:30

よく消えるのは当たり前!大人も欲しくなる、とにかく強靭な消しゴムと削ると富士山になる消しゴム

「よく消える」だけじゃない、個性的な最新消しゴム

消しゴムは、消す性能の話だけなら、“進化の頂点”にまでほとんど達してしまった文房具と言えるだろう。

 

鉛筆の筆跡をこすって消す能力を「消字率」という数字で表すが、これが各メジャーどころの消しゴムでだいたい95%前後。ならば安物やファンシー系がガクンと落ちるのかというと、そうでもなく、消字率80~90%ぐらいはあるだろう。ありていに言えば、「消しゴム」「字消し」として売られている製品であれば、どれを使っても間違いなく字は消せるのである。

 

要するに、今や「よく消える消しゴム」なんて、新商品の売り文句にならないのである。どんな消しゴムもよく消えるのだから。となると、現在の消しゴムは、消字力で選ぶのではなく、それ以外の性能で選ぶことになるわけだ。

 

例えば、特殊形状で常にカドを使って消せる(コクヨ「カドケシ」など)とか、軽くサラッとこするだけで消せる(プラス「エアイン」など)とか、そういった感じ。そこで今回は、よく消せるのが当たり前になっている消しゴムジャンルにおける、最先端消しゴムはいったい何を強みとしているのか、紹介したい。

 

折れ・割れ・カケに強いタフな消しゴム「モノタフ」

国産消しゴムのトップブランドとしてお馴染みの、トンボ鉛筆「MONO」。そのシリーズ最新アイテムとして登場したのが「MONO TOUGH」(モノタフ)だ。

トンボ鉛筆
MONO TOUGH
60円/100円(税別)
スリーブデザインは黒を基調として、お馴染みのMONOトリコロールは一部にあしらわれているのみ。

 

その名の通り、とにかくタフ。消しゴムをゴシゴシこすっていると発生しがちな折れ・割れ・カケに強い、というのが売りとなっている。

 

ほほう! それなら折れるまでやってやらぁ! とムキになるのは分かるが、止めた方がいい。すでに筆者がムキになってゴシゴシガシガシとやってみたが、まぁ駄目だ。まず折れないのだ。これ、わざわざ折ろうとして無茶な使い方をしない限り、消しゴム自体の破損はないと考えていいと思う。

↑消しゴム自体に強度があるため、力を込めて消しても、カドからポロリと割れることがない。意外とこれ重要。そして消字力も良好だ
↑消しゴム自体に強度があるため、力を込めて消しても、カドからポロリと割れることがない。意外とこれ重要。そして消字力も良好だ

 

そこまでタフな理由のひとつが、硬くしなりにくい消しゴム本体だ。スリーブを外した状態でノーマルのMONOと触り比べてみると分かるが、なるほど硬い。といっても金属的なカチンカチンとした硬さではなく、筋肉質な密度のある硬さである。

 

実際、従来と同じ樹脂製ながら8倍の強度があるとのことで、指でギュッと力を込めて押すと跳ね返されるような印象である。

↑従来のMONO消しゴム(左)は、側面から強く押すとグニッと曲がるが、「モノタフ」(右)はあまり変形しない。かなりの硬さだ
↑従来のMONO消しゴム(左)は、側面から強く押すとグニッと曲がるが、「モノタフ」(右)はあまり変形しない。かなりの硬さだ

 

さらに、スリーブにも工夫がある。そもそも消しゴムが割れる原因のほとんどは、ゴシゴシとこすってしなった消しゴムがスリーブの一点に食い込み、亀裂が発生することによるものだ。

 

そこで「モノタフ」は、スリーブの縁を斜めにすることで、手に持ってこすった際の圧力をフチ全体に分散させ、亀裂を防ぐ仕組みとなっている。また、スリーブに印刷された矢印マークに指を置くことで、消しゴムに負荷がかかりにくい最適位置を持てるよう、誘導しているのもポイントだ。

↑消しゴムの持ち方に合わせて、斜めにカットされたスリーブの縁(写真の赤い部分)。これにより消しゴムがスリーブに食い込む圧力を分散させている
↑消しゴムの持ち方に合わせて、斜めにカットされたスリーブの縁(写真の赤い部分)。これにより消しゴムがスリーブに食い込む圧力を分散させている

 

“消し感”は、方向性としてはサラッとしたタイプ。タフだから、とわざわざ力を込めて消したくなるのは分かるが、サラサラと軽くこするだけで充分に性能を発揮できるのだ。もちろん消字力そのものも、MONOの名を冠した製品で不満が出るはずはなし。2B~4Bの濃いめの鉛筆でも、確実に消すことができる。

 

ちなみに、折れない消しゴムとしては、すでにサクラクレパス「アーチ消しゴム」が先達として人気となっている。文房具マニアの中には、「より折れないのはどっちだ」と、気になっている人もいるのではないだろうか。

 

スリーブの工夫に関しては「アーチ消しゴム」の方が良くできているようにも感じるが、消しゴム自体は「モノタフ」の方が頑丈そう。で、総合的に見れば、どっちも普通に折れない。消字性能でも差は感じられないレベルでよく消えるわけだから、あとはもう体感的な部分(「アーチ消しゴム」よりも「モノタフ」のほうがややサラッとした消し味)で好きに選べばいい、といった感じである。

 

さて、もうひとつ紹介しておきたいのが、プラスの「エアイン 富士山消しゴム」だ。

待望の定番化! 消すと富士山になる人気の消しゴム「エアイン 富士山消しゴム」

もうひとつ紹介しておきたいのが、プラスの「エアイン 富士山消しゴム」。こちらは2019年の夏に限定販売されたものの、店頭に並んでいたのをほぼ見かけなかったほど爆売れし、このほどついに定番化を果たした、という人気の消しゴムである。

プラス
エアイン 富士山消しゴム
200円(税別)
限定販売時は赤富士バージョンもあったが、定番品では青富士のみ。

 

青い消しゴムの中に白い消しゴムが入った二層構造で、これを消す際に四方から均等に削っていくと、徐々に冠雪した富士山のような、雄大なフォルムが現れるというもの。ユーザーはだいたいとがったカドから使っていくものなので、特に意識しなくても自動的に富士山型になっていく仕組みなのは面白い。

↑消しやすいカドを使っていくうちに、自然と全体が削られていって……
↑消しやすいカドを使っていくうちに、自然と全体が削られていって……

 

↑このとおり、神々しい富士山のシルエットに(写真はちょっと丸っこいけど)!
↑このとおり、神々しい富士山のシルエットに(写真はちょっと丸っこいけど)!

 

性能自体は、プラスの人気消しゴム「エアイン」と同等で、多孔質のセラミックパウダーを配合して非常にサラッと軽い消し味。本当に撫でるぐらいの力で筆跡がきれいに消えるので、サラ消しタイプに慣れていない人は驚くのではないだろうか。もちろん消字性能もトップクラスなので、間違いなしだ。

↑サラサラッと軽くこするだけで、鉛筆での筆跡がきれいに消える。消し感は、かなりもっちりと弾力のあるタイプ
↑サラサラッと軽くこするだけで、鉛筆での筆跡がきれいに消える。消し感は、かなりもっちりと弾力のあるタイプ

 

スリーブは箔押しを使った和柄デザインで、なんとなくお守りのような雰囲気。もしかすると、受験生がお守り代わりにペンケースに入れておく、なんていうのもアリかもしれない。富士山の霊力を身近に感じられる、持ち歩けるパワースポットだ。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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