文房具
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2020/5/8 19:00

タフで書類を傷つけず、渡して恥ずかしくない! コクヨとプラスのちょっとイイ「クリアホルダー」

恥ずかしながら、クリアホルダーが好きだ。いや、好きなら好きで堂々としていればいい話で、恥ずかしながら、なんて付ける必要はない。ただ、クリアホルダーの極端なまでの地味さが、どうしてもそう言わせてしまうのである。

 

数ある事務用品の中でも雑兵感があり、明らかに主役の器じゃないなコイツ……という雰囲気。それがクリアホルダーの社会的な(大勢を占める)評価だと思う。

 

仕事をしていると手に触れる機会はやたらと多いが、あくまでも主役は中身の書類。クリアホルダーは、せいぜいお菓子の包み紙程度の興味しか払われない。例えば、外部から送られてきた書類がクリアホルダーに入っていたとしよう。もちろんあなたは興味があるのは書類の方で、クリアホルダーは「なんとなく」といった感じで机の引き出しに放り込むだろう。そうしたらあとは、何回か目立たない社内の連絡用に使い回され、ヨレや折れがついた辺りでポイと廃棄だ。そんな廃棄予備軍のクリアホルダーが、全国の引き出しにどれほど溜め込まれているか? 想像するだにせつない。

 

もちろん、そういう道具だから仕方ない、と言えばそうかもしれない。ただ、書類の包み紙もそれなりのプライドをもって働いており、さらには、これまで以上にあなたのお役に立とうと進化しているのだ。なんとも健気ではないか。

 

そんな“ビジネスパーソンの忠臣”ことクリアホルダーの便利なヤツを知ったら、もう二度と地味だの雑兵だの言えなくなるに違いないのだ。

 

自分専用のタフなクリアホルダーならコクヨ「ハードクリヤーホルダー<モッテ>」

ところでクリアホルダーには、大きく分けて2つの用途がある。ひとつは先から述べている“書類の包装紙”というもの。要するに、他人に渡す書類を保護するラッピング。もうひとつが、自分が書類をカバンに入れて持ち歩く際の“保護ケース”役である。

 

つまりは他人に渡すか渡さないかの差であるが、だいたいにおいて自分用のほうが乱雑に扱われ、よりハードな環境におかれがち。ならば自分用クリアホルダーは、多少値段がお高くとも(他人に渡さないから)頑丈で便利なものがいいだろう。

コクヨ
ハードクリヤーホルダー <モッテ> A4サイズ
230円(税別)

 

タフユースに耐える保護ケース的クリアホルダーは、各メーカーからいくつも発売されているが、ここ最近で特に筆者のお気に入りなのが、2019年夏にコクヨから発売された「ハードクリヤーホルダー<モッテ>A4サイズ」。

 

こちらは、クリアホルダーをまとめて収納する「クリヤーホルダーブック モッテ」、ページポケットに直接書類を保管する「クリヤーブック モッテ」に続く、モッテ兄弟の末子ということになる。

 

↑端をつまんで持ち上げても、わずかにたわむだけ。下敷き並みの硬さである
↑端をつまんで持ち上げても、わずかにたわむだけ。下敷き並みの硬さである

 

“ハード”クリヤーホルダーの名の通り、通常のクリアホルダーと比較すると、ハッキリと硬い。そして本体の硬さはそのまま、“守備力の高さ”に直結する。カバンの中に入れておいても、内部で揉まれて書類ごと折れたり曲がることなく、確実にガードしてくれるというわけだ。クリアホルダーにとって、硬さ=正義なのは間違いない。

 

本体の構造は、中心に硬いプレートを挟んで、表裏にそれぞれカバーがついた両サイドポケットとなっている。クリアホルダーで複数ポケットをもつものは珍しくないが、異素材を挟んで両面がホルダー、というのはなかなかレア。しかもこの方式が、思った以上に使いやすいのである。

↑表裏で2ポケット、中心には硬いプレートという構造
↑表裏で2ポケット、中心には硬いプレートという構造

 

通常の複数ポケットのホルダーに書類を分類して入れた場合、取り出す時に「あれ、どのポケットに入れたっけ?」と分からなくなることがある。客前であわててポケットをさぐるのもみっともないし、その間に次の訪問先で使う予定の書類を見られてしまう、なんてこともありうるだろう。

 

ところが、この表裏ポケットであれば、とりあえず表を見て裏を見て、で書類の所在は確実。取り出す時に違う書類を相手に見られる心配もない。

 

もうひとつ便利なのが、モッテシリーズお馴染みの、書類の脱落を防ぐストッパー。これは本体上端にナナメに配置されたベルトで、ここにホルダーの表紙端を差し込むことで、中に収納した書類がすべり出るのを防止する役割をもっている。

↑モッテシリーズ独自の脱落防止ストッパー
↑モッテシリーズ独自の脱落防止ストッパー

 

持ち歩く際に、カバンの中でクリアホルダーから書類がはみ出し、そのはみ出し部分が折れている……なんてケースは意外と多い。そんなトラブルを事前に防いでくれるのはありがたい。また、ホルダーを持ち上げたときに書類がバサバサと落ちた、なんて恥ずかしいうっかりミスもこれでガードだ。

 

↑この状態なら、カバンに入れて持ち歩いても書類にダメージを与える心配は最小限度に抑えられるはず
↑この状態なら、カバンに入れて持ち歩いても書類にダメージを与える心配は最小限度に抑えられるはず

 

ハード&はみ出し防止の防御力と、両サイドポケットの使いやすさは、今のところ不満なし! と言い切れる便利なもの。雑兵どころか、よくできた執事みたいなもんである。

 

もし今までの人生で、客前で折れた書類を出して恥ずかしい思いをした、という経験があるなら、まずはこれを使ってみるべき。

 

気合いの入ったラッピングとしてのクリアホルダーならプラス「クリアーホルダー 厚口(角R)」

もうひとつ紹介したいのは、他人に渡す方のクリアホルダー。こちらは、あくまでも書類の包み紙役に徹してもらいたいので、あまり特殊な見た目や機能があると少々困る。できるだけ普通のクリアホルダーで、なおかつ防御力は高い方がありがたい。

 

その条件を満たしているのが、これも筆者が絶賛愛用中のプラス「クリアーホルダー 厚口(角R)」だ。

プラス
クリアーホルダー 厚口(角R) 20枚入り
オープン価格(実勢価格950〜1000円)

 

ご覧の通り、パッと見にはまったく普通のクリアホルダーである。だが、一般的なクリアホルダーと比べてみると、その差は一目瞭然。垂直に立ててみても、ほぼたわまない。あきらかに硬い!

 

なにしろ、厚みがまったく違う。一般的なものがだいたい厚み0.2mmなのに対して、厚口の方は0.5mmと、倍以上の厚みがあるのだ。

↑一般的なクリアホルダー(左)との比較。厚口はピンと立つほどに硬い
↑一般的なクリアホルダー(左)との比較。厚口はピンと立つほどに硬い

 

さらに嬉しいのが、四隅の角マル加工である。クリアホルダーの角は基本的に尖っているもので、これが指に当たると地味に痛い。また、カバンにニットと一緒に入れておくと、尖った角が編み目を引っかけて、ほつれの原因になったりする。

 

角マルになっているだけで、そういったトラブルから解消されるのだから、地味だけどいいよね、という話なのだ。そもそも、こんな硬いホルダーの角が尖っていたらと思うとゾッとする。

↑刺さると痛い、意外にも面倒なクリアホルダーの角。やはり角マル加工された厚口(右)の方が、安心感が高い
↑刺さると痛い、意外にも面倒なクリアホルダーの角。やはり角マル加工された厚口(右)の方が、安心感が高い

 

問題は、価格だろう。あくまでも他人に渡す前提……消耗品である。クリアホルダーは安いからこそ気軽に使い捨てできるわけだが、こちらは実勢価格で1枚あたり50円前後。安ければ100枚で800円ほど(1枚8円)が一般的な値段なので、確かに気軽にホイホイと配るには躊躇してしまう。

 

いささかみみっちい話だが、筆者も“気合いが入った書類”を渡す時に限定して使っているぐらいだ。

 

ただ、手で触ったときにあきらかに感じる高級感(表面は梨地加工!)も含めて、もらった側も「お、なんかいつもと違うな」とは分かってくれるはず。当然、気合いの入った書類なら折れるなんてもってのほか。そういうのをやり取りするなら、これぐらいのコストは払ってもいいんじゃないだろうか。

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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