文房具
2020/6/3 19:00

社会人が知らない「ノートの最新進化」ーーコクヨとナカバヤシの「特殊罫ノート」を見ると絶対驚く!

社会人になるとどうしても、ノートとの縁が薄くなりがちだ。せいぜい、リングノートで横罫派と方眼派に分かれる程度で、学生の頃に使っていた綴じノート(お馴染み「キャンパスノート」など)が今、どういう進化をしているか、なんて知らない人が多いだろう。

 

例えば、そのコクヨ「キャンパスノート」が、横罫に等幅(とうはば)刻みでドットが入った“ドット入り罫”バージョンを発売したのが2008年。縦方向に文字を揃えやすいなどのメリットがある特殊罫で、「キャンパスノート」ユーザー内の比率で言えば、もはや普通の横罫よりも販売数で逆転するほどの、超人気製品だ。

 

また、翌2009年には、ナカバヤシが横罫の間をドット横罫で分割した“ロジカル罫”のノートを発売。こちらも今や、学生ノートの定番と言えるほど普及している。

 

“ドット入り罫”とか“ロジカル罫”という名称、いま初めて聞いた……という人がいたとしたら、失礼ながらインプットされた情報がかなり古い。すでに10年以上前から、綴じノートにおける横罫と方眼はレガシーと化しており、現代の学生用綴じノートは、機能性の高い特殊罫の時代に移り変わっているのだ。

 

そこで今回は、社会人があまり知らない特殊罫の綴じノートをいくつか紹介してみたい。

 

最新「ロジカル罫」は特殊罫がある条件下で浮上する仕組み

“学生の間での特殊罫ノートの定番”として先にも述べたのが、ロジカル罫の「ロジカル」シリーズ(ナカバヤシ)。今回まず紹介するのは、その最新版として2019年12月に発売された「ロジカル・Tラインノート」だ。

ナカバヤシ
ロジカル・Tラインノート
200〜400円(税別)

 

最初に説明しておくと、“ロジカル罫”とは、横罫の行をドット罫で3分割し、さらに等幅でタテにもドット罫を入れたというもの。考え方としては、横罫とドット方眼を混ぜたようなもの、と言えるかもしれない。

↑こちらが通常のロジカル罫。横罫を分割するように入っているドット罫が特徴的
↑こちらが通常のロジカル罫。横罫を分割するように入っているドット罫が特徴的

 

この行の3分割をうまく使うことで、英文の大文字・小文字をきれいに揃えたり、読みやすく行間を空けたり、タテのドット罫まで使って図表を作成したりと、万能に使える罫線として評価が高い。

 

そして最新版の「ロジカル・Tラインノート」では、ある特殊な方法で印刷することで、「必要なときは見えるけど、不要なときは見えない」という、不思議なロジカル罫を実現した。

↑この角度から撮影するとほぼ見えないが、実はたしかにロジカル罫を使って書いている
↑この角度から撮影するとほぼ見えないが、実はたしかにロジカル罫を使って書いている

 

実はこの「ロジカル・Tラインノート」は、ロジカル罫における横罫以外の部分を白インクで印刷しているのだ。

 

白い紙に白インクだから、通常通りに見る限りはうっすらとして、ほとんど目に入ることはない。ところが、斜め方向からデスクライトなどの照明を当てると……

 

 

 

 

 

 

↑このように斜め上から照明を当てると……
↑このように斜め上から照明を当てると……

 

この通り、光を反射して浮かび上がるという仕組みなのだ。(ただし角度がけっこう微妙なので、ライトの向きや角度は調節する必要はある)

↑光を反射して、白いロジカル罫がうっすらと浮かび上がっているのが分かるだろう
↑光を反射して、白いロジカル罫がうっすらと浮かび上がっているのが分かるだろう

 

書き込むときには、この白ガイドラインを使えば記入しやすく、見返すときやノートをスキャンする場合は気にならない。使いやすさだけでなく、後からの見やすさにまで配慮されたノートだと言えるだろう。

 

また、表紙もかなりシックで落ち着いた雰囲気なので、ビジネスシーンでも浮くことは少なそうだ。大人も気負わず使える特殊罫ノートとして、おすすめしたい製品である。

 

次のページでは、文系/理系の教科に合わせて使い分けられる特殊罫をもつノートシリーズを紹介する。

「ドット入り罫線」を理系と文系で使い分ける時代

対して、現在の特殊罫ノートブームの先駆けであり、そもそも学生ノートの王者とも言えるほどの人気を誇るのが、コクヨの「キャンパスノート(ドット入り罫線)」シリーズだ。

 

その中でも特に注目なのが、理系科目に最適化された「キャンパスノート(ドット入り理系線)」と、文系科目に便利な「キャンパスノート(ドット入り文系線)」である。

コクヨ
キャンパスノート(ドット入り理系線/文系線)
各170円(税別)

 

まず理系線の方は、メインの横罫に行幅と同じ(A罫は7mm、B罫は6mm)間隔でドット刻みが入っている。ここまでは従来のドット入り罫と変わらないが、さらに罫線と罫線の間に行を4等分する細かい3列のドット(作図ドット)が印刷されているのだ。

↑理系線の紙面。ドット入りの横罫+行の中の細かいドットが特徴だ
↑理系線の紙面。ドット入りの横罫+行の中の細かいドットが特徴だ

 

この作図ドットを基点にすることで、グラフや図表、回路図なども美しく描きやすい、という仕組みである。

 

従来であれば、そういった作図は方眼で行うのが基本。とはいえ、方眼は後から見返すときにどうしても方眼のマス目が目立ってしまい、鉛筆やシャーペンの線が見づらいという欠点があった。

 

対してドットであればさほど気にならず、かつ描きやすい。もちろん板書などの文章はメインのドット入り罫を使えば、横罫と変わらぬ使い心地となるのだ。

↑ドットを目安にすることで、曲線グラフもずいぶん描きやすくなる
↑ドットを目安にすることで、曲線グラフもずいぶん描きやすくなる

 

対して文系線は、まずメインのドット入り罫からして少し特殊なA+罫(7.7mm)、B+罫(6.8mm)という行幅のもの。なぜそうなっているかというと、+で少し増えている分を使って、行の上側を点線罫で区切っているのである。

↑文系線は、広めの行間を区切るドット罫がポイント
↑文系線は、広めの行間を区切るドット罫がポイント

 

普段文章を書く場合は、この点線を罫線の上辺として使うことで、行間が少し空くことになる。それによって、文章がみっちり詰まっている状態より読みやすくなるというわけ。

 

ちなみに章見出しなどは行をフルに使えば、少し大きな文字となって目立たせることもできる。

 

ノート使いに慣れた人間ならば、行間空けはこれまでも無意識にやっていること。だが、それを誰でも最初からきちんとできるように罫線の機能としてインストールしているのは、なかなか面白い。

↑行間空けを意識しやすいので、あとから読み返すのが非常にラク
↑行間空けを意識しやすいので、あとから読み返すのが非常にラク

 

他にも、英文であれば点線で空いた空白を使って発音記号や単語の意味を小さく書き込んだり、縦書きにして漢文のレ点・返り点を書いたり、という使い方も可能。

 

行を一部だけ区切ることで、多用途に情報を詰め込めるようになっているのである。

↑行をタテに使えば、漢文の送り仮名やレ点なども苦労せずに書き込める。情報密度が濃くなっても読みやすさを損ないにくいのだ
↑行をタテに使えば、漢文の送り仮名やレ点なども苦労せずに書き込める。情報密度が濃くなっても読みやすさを損ないにくいのだ

 

最初に紹介した「ロジカル・Tラインノート」と比べると、やや見た目に学生っぽさは否めないが、機能的にはビジネスシーンでも充分便利に使えるはずだ。

 

なにより、学生だけにこういう便利な罫線を独占させておくのはもったいない。まずは”綴じノートだから“と避けずに、一度使ってみて欲しい。ホント、よくできてるから。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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