筆者はノートを選ぶならリングノート派であり、さらに言うなら「LIHIT LAB.(リヒトラブ)のツイストノート激ラブ」派であり、もっと厳密に言うなら「とはいえリングが硬いのイヤだからコクヨのソフトリングノートも気になるのよね」派に属する者である。
初手からややこしい流れになりそうなので、ひとつずつ解きほぐしていこう。まず、リングノートに関しては、“折り返して使える”からというのが最大のポイント。取材など出先でノートを取る際には、紙面をフルに広げるスペースが確保できない場合も多いからだ。
ただ当たり前だが、普通のリングノートは金属のリングでがっちり綴じられているので、ページの抜き差しができない。そこで便利なのが、LIHIT LAB.独自のツイストリング機構によってルーズリーフ感覚でページを自由に編集できる「ツイストノート」である、と。
このツイストノートは非常に使いやすいので、もはや手持ちのノートはすべてこれで統一しているくらいなのだが……硬いリングに手が乗り上げると不快という、ほとんどのリングノートに共通するネガティブだけは残っている。
なので、樹脂製のぷにょぷにょ柔らかリングで手が痛くない、コクヨの「ソフトリングノート」も使いやすいよねー、と。ここまではご理解いただけただろうか。
夢にまで見た最強リングノート、爆誕
そういうこともあって、あちこちで「ぷにょっと柔らかいソフトなツイストリング機構があれば最強なんだけどなー」と言い散らかしていたのだ。もちろん、そんなことはありえないドリームだとは分かって言ってたのだが……。
その実現不能と思われた「柔らかいツイストリングのノート」が、いまここにある。
LIHIT LAB.(リヒトラブ)
CUBE FIZZ ソフティツイストノート
セミB5判・70枚タイプ560円/30枚タイプ330円(ともに税別)
LIHIT LAB.の「CUBE FIZZ ソフティツイストノート」(以下ソフティツイストノート)は、「柔らかいリング」と「編集可能なツイストリング」のふたつの機構を兼ね備えた、まさに“ぼくのかんがえたさいきょうリングノート”なのである。
リングに手を乗せても本当に痛くないのか?
なぜそんなことが可能になっているのか? というのは追々見ていただくとして、ひとまず最も気になるポイントである、本当にリングに手を乗せても痛くないか? を確認しておこう。
ファーストインプレッションは、「おお! 柔らかい……かな?」くらい。正直なところ、コクヨのソフトリングノート(リングが軟質樹脂製)と比べてしまうと、あきらかに「リングに手が乗ってるな」と分かる感じ。
とはいえ、従来製品と比べてみると、違いは明確。カッチカチな感触が当たって手が痛いツイストノートに対して、ソフティツイストは手を乗せると“むにっ”とリングが沈み込むのが認識できる。うん、そんなに痛くない。感覚的な柔らかさ比較になるが、食パンの白い部分(ソフトリングノート):食パンの耳(ソフティツイストノート):せんべい(ツイストノート)、くらいの差はあると思う。
では、従来のツイストノートと同様の開閉機構はどうなの? といえば、これがちゃんとパカパカと開くのである。
リングに近いページ上端左と下端右をつまんで引くと、すんなりとリングが開いて、用紙の抜き差しも問題なく行うことができた。閉じる際はリングの上3つと下3つを指で合わせて軽くつまんでやると、元通り。使用感はほぼ今まで通りのツイストノートだ。
とはいえ、手が痛くないほどにソフトな軟質樹脂では、リング同士がカチッと噛み合ってこそ実現する開閉機構は搭載できないはず……。どういう仕組みなんだろう? とよくよくリングを見てみると……なるほど! そういうことか!
「ソフティツイストノート」はなぜ手に“ソフト”ながら開閉できるのか?
噛み合って固定される硬いリングは、閉じる際に使った上3つと下3つ=計6つのみ。それ以外のリングは、ツメ状のパーツが左右から互いに覆い被さることでリング状に見えているだけなのだ。噛み合って固定されていないので、上から圧がかかると沈み込み、反発を吸収してくれる、というわけ。
おおおー、これはよく考えられている! 確かにこれなら、ぷにぷにの樹脂素材でなくとも柔らかさを演出できるだろう。すごいアイデア!
とはいえ残念ながら、気になる部分もないわけではない。まず、手を乗せたときに爪パーツの露出してる端がチクチクと当たることがあって、これはあんまり気持ちよい感触とは言い難いのだ。
あともうひとつ。ソフティツイストノートはリング径によって用紙30枚収容タイプと70枚収容タイプがあるのだが、70枚タイプの方は、噛み合っている硬いリングが上下の6つに加えて、さらに間に2つ存在する。これがちょっと邪魔。
増えた用紙が抜け落ちないよう支えるには、追加で硬いリングが必要だったのだろう。が、これも手に当たるとはっきりと「あ、硬いのが混じってるな」と感じられてしまうのだ。ツイストノートは用紙の抜き差しができるので、持ち歩く枚数はそんなに多くなくて良い。なので、リングの柔らかさを最大限に享受したいのであれば、30枚タイプを選択するのが正解だと思う。
残念なポイントも書いたが、それもこれも「柔らかいツイストリングのノート」に期待してのこと。現状でも、これが個人的に最強リングノートである、という認識に変わりはない。できれば、もうちょっとチクチクしなくなって欲しいなと思うけど。
あとは、筆者が常用しているA5判型のものが出て欲しい、というのもある。A5サイズが発売されれば、もういま使っているノートのすべてを、このソフティツイストに交換するつもりだ。なのでLIHIT LAB.さん、早いトコお願いします。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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