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2020/11/9 19:15

この新機構を待っていた! 先駆者ゼブラが「シャーボNu」で多機能ペンの不便を解消

おそらく40代以上の人にとって、“もっともメジャーな多機能ペン”(多機能ペン=多色ボールペン+シャープペンシル)といえば、ゼブラの「シャーボ」だろう。

 

我々の脳には「右へ回すとシャープペンシル、左へ回すとボールペン」のテレビCMが染み込んでしまっているのだ。「1本でシャープとボールペン、これから本当の勝負です」という、星野仙一バージョンも懐かしい。

 

1977年に発売された初代シャーボは、回転式でシャープペンシルとボールペンが切り替わるという、これまでになかった機能性と、その機能を端的に表した製品名で大人気となった。当時は、入学・卒業時の贈り物としても活用されていたので、「もらったシャーボを長らく使ってた」という人も多いのではないだろうか?(実際、先のCMも春先に集中して放映されていた)

 

ただ、今となってはもう、筆記具メーカー各社から多機能ペンは発売されているし、「シャーボ」というブランド自体もかなり影が薄くなっていることは否めない。正直、今の今までシャーボの存在そのものを忘れていたんじゃないだろうか?(地味にリニューアルしたり、けっこう頑張っていたんだけど……)

 

ところが、その忘れられかけていたシャーボの新製品が、2020年11月24日に発売される。しかも、驚きの新機構を携えて。

 

新シャーボ「Nu」はシャーボ“中興の祖”となるか!?

その新製品というのが、ゼブラ「シャーボNu(ニュー)」だ。

 

黒・赤の2色ボールペン(エマルジョンインク)+0.5mmシャープペンシルという、最近の多機能ペンとしてはごくベーシックな構成である。

ゼブラ
シャーボNu
1800円(税別)

 

ここまでは、まずなんの変哲もない製品としか思えないし、見た目も、後軸がやや太くなっているかな? 程度の印象。驚くべきは、シャープ芯が軸後端から入れられる独自の“トップインシャープ機構”を持っている、ということなのだ。

 

芯を軸後端から入れるって、そんなのシャープペンシルなら普通では? と思った人は、おそらく多機能ペンを使ったことがないか、使い慣れていないのだろう。多機能ペンでのトップインは、普通に考えれば不可能なのだ。

↑シャーボNuの、画期的なシャープ芯トップイン。初めて見たときに「えっ、そんなこと可能なの?」と驚いた
↑対して、こちらは従来の多機能ペン。軸を分解してシャープユニットを抜いて……と、いちいち面倒くさい。でも、これが普通だった

 

従来の2+1タイプ多機能ペンを輪切りにすると、円(軸の外装)を中心から3分割するような形で、2色のボールペンリフィルとシャープユニットが存在する。これを、ノックなり回転繰り出しなりで選んで、押し出すことによって筆記している。

 

ところが、それでは軸の中心にシャープユニットが来ないので、構造上、芯を入れる際はいちいち軸を分解→シャープユニット引き抜き→芯入れ→逆手順で復帰、という手順を踏まなければならなかったのだ。

↑多機能ペンのユニット配置比較。シャーボNuは、シャープユニットが軸の中心に固定されているからこそ、トップインが可能になる

 

ところが「シャーボNu」は、シャープユニットを中心に、ボールペンリフィルを左右に振り分けて配している。これなら問題なくトップインで芯入れができるというわけだ。

 

具体的な手順としては、軸後端のキャップを45度ひねってはずし、露出した消しゴムユニットを引き抜けば、あとは開いた穴に芯を滑り込ませるだけ。戻して後端ノックで芯が出るので、普通のシャープペンシルのように何の違和感もない。これは、多機能ペンとしてはおそろしく画期的だろう。

↑シャープペンシルは、ふくらんだ後軸全体を押し込んでノック

 

ちなみに、ゼブラが行ったアンケートによれば、多機能ペンユーザーで週に1度以上の頻度でシャープペンシルを使う人は、全体の80%以上とのこと。さらに、その80%の人が感じる、多機能ペンに対する不満の第1位が、「芯の補充が面倒」というのも、さもありなんという感じである。

 

正直なところ、筆者は「補充が面倒だから、使わなくて済むなら使わないようにしよう」とすら思っていたくらいだ。それが、「シャーボNu」の登場によって、ようやく「これなら気軽にシャープペンシルが使えるな〜」という気持ちになれたのだ。

 

↑ペン選択は回転式。使用中のユニットは、透明窓に色で表示される

 

ボールペンユニットは、ゼブラ独自の書き味の良いエマルジョンインク0.5mmを搭載。リフィル自体はお馴染みの4C規格なので、これは自分の好みで入れ替えても問題ない。

 

というか筆者は、後ろ重心の強い多機能ペンとなめらかエマルジョンインクの組み合わせに苦手意識を持っている(挙動が大きすぎて字が汚くなってしまう)ので、いち早く大好きなゲルインクリフィルに差し替え済み。これなら、より快適に書くことができそうだ。

↑シャーボNuのボールペンユニットは金属製の4Cリフィル。ただし、ゼブラのリフィルはわずかに太いので、他社製のものを入れると多少グラつくかもしれない

 

とはいっても、やはり「シャーボNu」のメインはシャープペンシルが使いやすい! というところ。多機能ペンユーザーで、特にシャープペンシルを使う機会が多い人であれば、導入すると面倒がかなり減るはずだ。少なくとも、「芯の補充が面倒」と感じたことがあるのなら、まずは試してみて欲しい。

 

 

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