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筆記用具
2021/6/9 18:00

一番気持ち良いのはどれだ?コクヨ「ペルパネプ」でペンとノートのマッチングを堪能した結果

“紙と筆記具の組み合わせ”を考えるようになったら、文房具好きとしてもなかなかの上級者と言えるだろう。そして、組み合わせについては2つの面がある。“実利”と“官能”だ。

 

実利とは「この手帳にこのペンだと裏抜けするから」だとか、「あのノートは水性ペンがやたらと滲む」といった、性能的な相性のこと。要するに、単純に使いやすい組み合わせか否か、という部分である。

 

対して官能は、「ツルツルした紙に濃いめの鉛筆を走らせるのが気持ちいい」など、感覚的な相性の話だ。

 

例えば、筆者の知人には「画用紙に『Vコーン』(つゆだく系の水性ボールペン)のインクがダバーッと滲んでいく感触がエロい」と断言する者もいるほど。個人の感覚や嗜好によるものだけに、一度この官能性にハマると、抜け出し難いほどに魅力がある。実のところ、先の“画用紙にVコーン”のように、実利に反してでも気持ちよさを優先するケースだってあり得るのだ。

 

……と、話だけ聞いたところで、まだピンとこない人もいるだろう。“紙とペンが気持ちいい”ってなんの話かと。であれば、試してみるのが一番早いのではないだろうか。

 

紙と筆記具の組み合わせを堪能できるノート&ペン

その“紙と筆記具の官能性”を味わうために作られたのが、コクヨの文具シリーズ「PERPANEP(ペルパネプ)」である。

 

3種類のA5サイズノートと3種類のペンがラインナップされており、互いを組み合わせることで書き味の違いを楽しめるというから、まさに官能性を確かめるために作られた製品と言える。

コクヨ
ノートブック<PERPANEP
TSURU TSURUSARA SARAZARA ZARA
各900円(税

 

↑罫線は5種類。A5の紙面だと、4mm方眼とドット方眼がほどよいサイズ感でいい

 

まずノートは、「TSURU TSURU」「SARA SARA」「ZARA ZARA」という、まったく紙質の異なる紙が3種。

 

どのような違いかというと、まさに名前そのまま、紙の表面がツルツル、サラサラ、ザラザラとした紙質になっている。紙質が違えば、当然ながら筆記具の走り方や、書いた時の感触が全く違ってくるというわけで、いろいろと組み合わせを探して楽しむことができるのだ。

↑紙の表面を顕微鏡で拡大。こうして見ると、紙繊維の密度がまったく異なることが分かる

 

そして筆記具の方はというと、水性の極細サインペン「ファインライター」、ゲルインクの「サラサクリップ」、コスパ最強の万年筆として知られる「プレピー」の3種類。

↑筆記具は、上から「ファインライター」「サラサクリップ」「プレピー」の3種。白軸にグレーのロゴがオシャレだ

 

ファインライターPERPANEP
200円(税別)

サラサクリップPERPANEP
130円(税別)

プレピーPERPANEP
400円(税別)

 

この中で、ファインライターはコクヨのオリジナルだが、それ以外はご存知の通り、サラサクリップはゼブラ、プレピーはプラチナ万年筆の製品。特別な白軸仕様でPERPANEPブランドとして発売されている。

 

なかなかに珍しい展開の仕方ではあるが、ノートへの書き味を比べるための“基準筆記具”として納得のチョイスではあるし、なかなか面白いやり方だと思う。

 

●TSURU TSURU×ファインライター

↑ツルツルした紙の上をなめらかにペン先がすべる感覚は、うっとりする気持ちよさだ

 

TSURU TSURUはまさに高平滑度のツルツルスベスベ紙。手で触れても毛羽立つ感触はゼロだ。紙の繊維密度が非常に高く、コシも強め。よほど筆圧をかけないと、ペン先が沈み込まない。

 

これに、コクヨ推奨の組み合わせであるファインライターで書いてみると、ツルツルツルーッ! とどこまでもペン先が走るのだ。そもそもサインペンは筆圧を必要としない筆記具なので、このツルツル感を楽しむにはうってつけと言えるだろう。

 

個人的には、このスケートリンクの如きツルツル感は、コントロールしにくくて苦手なのだが、気持ちよさだけに焦点を当てれば、納得の組み合わせだ。とても気持ちいい。

 

●SARA SARA×サラサクリップ

↑かすかな摩擦感はありつつ、サラッと軽い書き味も魅力的

 

SARA SARAはそこまでピーキーな特性はないが、普通に“書きやすい紙”という印象だ。実際、コクヨのキャンパスルーズリーフ(「さらさら書ける」タイプ)と同質の紙とのことで、つまりは“間違いのないヤツ”である。

 

手触りも確かにサラッとしており、同じくサラサラした書き味でお馴染みのサラサクリップと組み合わせるのが、コクヨ推奨ということになっている。慣れ親しんだ感触なので、特段の官能性を感じることはないかもしれないが、安定感は抜群だ。

 

●ZARA ZARA×プレピー

↑ザックリとした感触が独特で、慣れるとこれはクセになりそう

 

今回の3種のノートの中で、最もユニークなのがZARA ZARA。なにせ表面を撫でるとハッキリと凹凸がわかるほどのザラザラ具合である。透かして見るとムラが視認できるほどに繊維の密度も低く、厚みがある分だけ、筆圧をかけるとペン先の沈み込みが体感できるほど。

 

とは言っても、ノートとしての使いにくさを感じるほどではないので、そのあたりのバランスはうまく取れているように思う。

 

ちなみに組み合わせとして推奨されているプレピーで書いてみると、ニブが凹凸を乗り越えるザリザリというかすかな振動が指先に伝わってきて、非常に心地よい。

 

↑特殊なフラット製本により、どこで開いても中央に段差が発生しにくく、書きやすいのも特徴だ

 

メーカー推奨の組み合わせはもちろんイイのだが、せっかくなら自分だけの組み合わせを見つけてみたいもの。次では、そんなチャレンジを敢行してみたい。

“気持ちいいノート&筆記具”探しチャレンジ

メーカー推奨の組み合わせはもちろんイイのだが、しかし、せっかくなら自分にとって書き味の官能性が高い組み合わせというのも確認してみたい。ということで、ひとまず目の前にあった筆記具を、3タイプのノートにあれこれ組み合わせて使ってみた。

 

●「TSURU TSURU」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑TSURU TSURUオススメは、ダクダク系の「Vコーンノック」。まさに官能的と言いたくなるしっとりツルツル感がたまらない!

 

すべりが良いTSURU TSURUは、やはり筆圧少なく書けてツルツル感を堪能できるものが楽しい。

 

ファインライターに加えて、インクフロー良好なダクダク系の「Vコーンノック」(パイロット)や「サラサR」(ゼブラ)は、確実にテンションの上がる書き味だ。ただし、平滑度の高い紙はインクを吸いにくいので、ダクダク系は乾くまでにかなり時間がかかる、というのは憶えておいたほうがいいだろう。

 

また、元からすべりの良さがポイントの低粘度油性インクとの組み合わせは、さすがに行き過ぎだなという感じ。

 

●「SARA SARA」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑SARA SARAは、なめらかさよりもむしろシャリ感のある書き味が似合うような気がする

 

平均的に良くできている優等生タイプのSARA SARAは、割と何でも上手く受け入れてポテンシャルを発揮させる傾向にある。なので、個人的な筆記具の好みというのがダイレクトに出るようだ。

 

筆者が最も愛用している「ユニボール シグノ RT1」(三菱鉛筆)の書き味も、細めのペン先がショリショリと走る感じがとても気持ちいい。しっかり書き比べることで、あらためて「惚れ直したな」という気分である。

 

●「ZARA ZARA」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑思わず「うわー、これ気持ちいいわ」と声が出たZARA ZARAと「モノグラフライト」のコンビ。これはしばらく使い続けてみたい

 

そして、実は今回の書き比べで最も気持ち良かったのが、まったく予想外だったZARA ZARA×「モノグラフライト」(トンボ鉛筆)の組み合わせである。

 

低粘度油性インクのなめらかさと、ザラザラした紙質がいい感じに噛み合って、好みの安定したコントロール感になるのもいいし、ニードルチップが、繊維密度の低いフカッとした表面を彫るように進む振動も気持ちいい。筆圧をかけやすいグリップも、この気持ちよさを味わうのに関与しているような気がした。

 

どれくらい良かったかというと、「しばらく手書きはZARA ZARA×モノグラフライトの組み合わせでいこう!」と決心したほど。

 

ともあれ、自分が気持ち良く書ける組み合わせを探るのはかなり楽しいので、機会があればぜひ試してみて欲しい。

 

 

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