画期的な機能が盛り込まれた文房具は、年間に数百点ほど発売されます。それらは誰がどのように考えて誕生したのでしょうか? 話題の新製品を生み出した「キングジム」の開発者のこだわりと情熱に迫ります!
※こちらは「GetNavi」 2022年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
ペラペラめくって見られるクリアーホルダー収納「シン・綴じ具ファイル」
キングジム
ホルサック クリアーホルダーファイル
550円(6枚収納タイプ)、726円(12枚収納タイプ)
書類を入れたクリアーホルダーを挿し込むだけで冊子状にまとめておける収納ファイル。ページをめくるように閲覧できるので検索性が高く、書類の出し入れもスムーズに行えます。ホルダーをまとめてスッキリ持ち運ぶにも使いやすいです。
ビジネスから〝推し活〟まで万能ホルダーファイル
書類をサッと収納しておける、と言う気軽さにおいて、クリアーホルダーに勝るツールはないかもしれません。しかし、どのホルダーにどの書類が入っているかを探すのは意外と手間。閲覧性の悪さはストレスだ、と開発者の後藤さんは考えました。
「クリアーホルダーをポケットファイルのページみたいに綴じられたら、収納と閲覧が両立できそうだなと思ったんです」(後藤さん)
ただ、これまでにない商品で綴じ具の形状が独特なため「使い方がわからない」というクレームもあるのでは……と、発売当初は心配もあったそう。しかし、フタを開けてみれば懸念していたトラブルはほぼなし。問題なく、ユーザーが求める書類/クリアーホルダー管理のニーズにマッチしたようです。
「実はこちらが考えていたビジネス用途だけでなく、イラストの保管、アニメやアイドルグッズの図柄入りクリアーホルダーを保存するファイルとしてもお使いいただいていると聞いています」(後藤さん)
開発者も想定していなかった使い方も加わることで、さらに人気は高まっています。
開発者
挿し込んでカンタン収納
表紙を留めてラクに携帯
ホッチキス留め感覚で書類がめくれるファイル
キングジム
ナナメクリファイル
418円
左上のクリップで書類の角を固定することで最大約20枚までファイリングしつつ、ホッチキス留めしたように書類を斜めにめくって閲覧できる。書類がバラつかないよう右下で固定もできるため、持ち運びファイルとしても活躍。
一点綴じで書類がめくれる
折れるクリップで快適さを追求
地味に効果的な指掛けもあり
プロトタイプを特別公開!
折り紙のような綴じ具構造
開発者
面倒臭がりが開発したラクにめくれるファイル
複数枚に渡る書類をまとめて閲覧する際、最も取り扱いが簡単なのがホッチキス留め。直感的にペラペラめくれるし、書類に直接書き込めるのも便利です。
ただ、ことあるごとにガチャガチャと綴じる作業が必要になるのはやっぱり面倒でしょう、と自称“面倒臭がり”の戸上さんは言います。
「書類のファイリングと、ホッチキス留めの斜めめくりを合わせたらラクかも……、というのが開発のきっかけです」(戸上さん)
試作を繰り返すなかで、斜めめくりをスムーズに行うには、書類をしっかり固定するのはもちろん、クリップが後側に折れる(倒れる)ような柔軟性も重要だとわかったそう。
「ヒンジはとてもこだわりました。紙の反発力で手前に戻ってこないよう、クリップや書類の厚みも計算して作っています」(戸上さん)
ポリプロピレンに筋を入れたヒンジは、自社製品で多く使われている手法。しかし紙1枚の重量でも戻らない柔らかなヒンジを作るためには、何度もテストを行う必要があったそうです。使用する際はぜひ、この部分に注目を。
プロトタイプを特別公開!
書類留めクリップが進化
約1世紀で劇的に進化! キングジムファイルヒストリー
1927年
人名簿
創業者である宮本英太郎が作った、キングジム最初の製品。ハガキの差出人欄を切り抜いて貼ることで名簿ができるアイデアがポイント。ハガキ切り抜き用のテンプレートも付属。
1954年
キングパイプファイル
大量の書類をまとめて保管できる、日本初のパイプ式ファイル。それまで書類は厚紙表紙と紐で綴じるのが定番でしたが、以降は抜き差しが簡単なパイプ式ファイルが定着していきます。
1964年
キングファイルG
パイプファイルの綴じ具を改良し軽量化した現在のファイルの原型モデル。これが大ヒットし、黒枠に青窓のキングファイルはオフィスにおけるスタンダードツールとしてその後定着していきました。