ここ数年の内に発売された機能性ペンケース(ペン立てやトレーに変形するなどの機能を持つもの)は、学生を想定して作られているのか、容量が筆記具10本以上という大ぶりなものが多かった。ラインマーカーやカラーペンを大量に携行する学生にはそれが正解なのだろうが、筆記具が数本で事足りる社会人にとっては明らかなオーバースペックと言えるだろう。
また、学校と自室が主な作業空間である学生と違って、社会人は外出先などさまざまな場所でペンケースを広げることが想定される。つまり、学生と社会人では、ペンケースに必要とされる容量と機能が全く別物なのである。では、社会人に便利なペンケースはなにか? というと、まずは低容量コンパクト。さらには、さまざまな局面で広げやすい機能も欲しいところだ。
ジャストサイズの「こういうのが欲しかった」ペンケース
冒頭で述べたとおり、便利な機能性ペンケースはどうしても大容量になりがち。そんななかで2023年5月に発売されたナカバヤシ「neoformマルチペンケース」は、ペン数本+αぐらいの必要充分容量ながら便利な機能が盛り込まれた、「そうそう、こういうのが欲しかったんだ」的な製品なのである。
ナカバヤシ
neoform マルチペンケース
2200円(税別)
4色展開
まずありがたいのが、本体の薄さ。ケース自体のマチ厚が約15mmと、ペンを入れても手帳とさほど変わらない程度の厚みだ。これなら、パンパンに膨らんだ仕事カバンにでも、なんとか隙間に詰め込めるのではないだろうか。
薄いだけあって、収納力はペンが横一列+定規のような薄物が入っていっぱい、ぐらい。使用感は、ペン5本と定規を入れて少し余裕があるぐらいがジャストの印象だ。縦型ポーチ形状なので、消しゴムやシャー芯といった小物類は、底に沈まないように専用スペースに通しておくと使いやすい。
使う場所に合わせてマルチに展開
このペンケースがユニークなのは、あちこちにマグネットが仕込まれている、というところ。まず平置きして使いたい場合は、ジッパーを開けて前面フタ(小物スペースのある側)を折り返す。すると、内蔵されたマグネットでピタリと開けっ放しに固定され、フタが生地の弾力で戻ってくることがないので、常に安定すると言う仕組みだ。
また、背面フタも折り返しながら真ん中で山折りにすると、これもマグネットでくっつくことで自立する支えとなってペンスタンドに変形完了。平置き時に比べて、底面シルエットが半分ぐらいに減るので、狭い机でもコンパクトに展開できるわけだ。
自立中に小物スペースを引き出してスマホを乗せると、スマホスタンドにも早変わり。作業しながらビデオ会議に参加したり、休憩中に動画を観たりするときなど、これもわりと「あると嬉しい」系の機能だと思う。
コワーキングスペースなどで周囲にパーテーションがある環境なら、このペンケース自体をマグネットで壁面にぺたりと貼ってしまう、という使い方もできる(もちろん金属パーテーション限定だが)。宙に浮かしておけばもちろん最強の省スペース化なので、これもまた便利である。
トレー/スタンド/吊り下げ、と3タイプに展開できることで、作業スペースをかなり有効活用できるのは間違いない。そもそもコンパクトだから小回りも効くし。なにより、「ペン数本でいいんだよ」というライトユーザー層向けに作られた機能性ペンケースは、これまでほとんど無かったので、「機能性ペンケース、デカすぎるよ~ッ」とはまってなかった層にとって、今後注目されるジャンルになるかもしれない。