新しい分野で活躍しているのは、独学がうまい人です。
たとえば、いまや数千万円~数億円の年収を稼ぐといわれているYouTuber(ユーチューバー)は、当然のことながら「ユーチューバーの学校」を卒業していません。新興ジャンルに体当たりで飛び込んで、動画編集やパフォーマンスを「独学」で身につけた人ばかりです。
独学力は、競争に勝つための武器です。独学ノウハウをまとめている『生き残るための、独学。』(千田琢哉・著/学研プラス・刊)という本を紹介します。
なぜ、独学力が必要なのか?
「元エリートたち」には “独学力” がなかった(中略)幼少の頃から完璧な環境で、最高に効率の良い勉強術を享受してきたため、最適なやり方を一から考える習慣が身につかなかった。
(『生き残るための、独学。』から引用)
一流大学を卒業した「エリート」と呼ばれる人でも、落ちぶれることがあります。進学校や学習塾のカリキュラムに頼りきってしまい、独自の勉強法(独学力)を身につけなかったからです。
教科書どおりの模範解答では通用しないことがあります。競争社会で勝ち残るには、変化に対応し続けるための「独学力」が必要なのです。
「初歩」と「基礎」の違い
何か新しい分野の勉強を始めようと思ったら、「基礎」の前の「初歩」が大切になる。(中略)理解できるかのチェックが「初歩」であり、それを使いこなせるかのチェックが「基礎」である。
(『生き残るための、独学。』から引用)
学習とは、そのときの理解度に合わせた「知識」や「技術」を身につけることです。自分自身で「理解度チェック」を適切にできるかどうか。それが、独学のコツです。
たとえば、いま流行している「AI(人工知能)」や「機械学習」の仕組みを理解するためには、高校数学の知識を求められます。高校数学(初歩)がおぼつかなければ、テクノロジーの使い方(基礎)を身につけることはできません。
高校数学の理解がおぼつかないのならば、恥ずかしがらずに中学生の数学ドリルを復習します。『生き残るための、独学。』の著者によれば、オトナが地頭を鍛え直すためには「中堅中学校の入試問題」が最高のトレーニングになると述べています。思考力を問われる問題が多いからです。
ところで、プロフェッショナルになるためには「1万時間の練習」が必要と言われています。じつは、10%地点の「1000時間」で成果があらわれ始めます。
独学は「1000時間」で成果が出る
1日だけ10時間の勉強をすることは、ほとんどの人ができるだろう。だが、毎日1時間の勉強を10年間欠かさず継続できる人は、きっと1%に満たない。
(『生き残るための、独学。』から引用)
「1000時間の独学」は、毎日3時間ずつ勉強すれば1年間で達成できます。フルタイムで働いている人にとっては厳しい時間割です。だからこそ、わずか「1000時間」を継続するだけで、競争相手のほとんどが脱落してくれます。
残りの「9000時間」は、自分との戦いです。プロフェッショナルの1万時間に達するためには、毎日3時間ずつ精進しても10年間かかりますが……1000時間を乗り切ったときの気持ちを忘れなければ、あとは「9回」繰り返すだけ。1000時間を耐え抜けたならば、あなたには「デキる人」の素質があります。
独学で得られる「重力」とは?
「お金は低い場所から高い場所に流れる」(中略)あなたが仕事で一応、給料をもらえるのは、その仕事においてはお客様よりも詳しい専門家であり、「知識やスキルでは、あなたのほうがお客様よりも ”上” 」ということになっているからである。
(『生き残るための、独学。』から引用)
知識やスキルの場合は、それを使いこなせる人が「上」です。知識のない人たちが「下」ということになります。つまり、知識やスキルに支払われる対価(お金や尊敬)は、下の人から上の人に向かって流れていくわけです。
水は、高いところから低いところに向かって流れます。重力があるからです。わたしたちの社会では、知識やスキルが「重力」として作用します。「専門知識」がそなえている重力にしたがって、お金が引き寄せられます。
あなたが行使できる「重力」を強くするためには、まさしく「独学力」が役に立ちます。これまで紹介した『生き残るための、独学。』には、学習改革をするための「49の方法」が収録されています。お試しください。
【書籍紹介】
生き残るための、独学。
著者:千田琢哉
発行:学研プラス
環境に恵まれなくても、自由な時間がなくても、十分なお金がなくても、ひとり根気よく勉強を続けることで人生はランクアップできる! 20代ビジネスパーソンのカリスマ・千田琢哉が、独学でゆるぎない教養と知的戦闘力身につけ社会で生き残る方法を説く!