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2017/9/2 22:00

MJブロンディがボルボ・V90を徹底解剖!「さすがの設計思想だ」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回試乗したのは、ボルボの象徴でもあるワゴンのフラッグシップモデル。最新の安全性能に迫ります!

 

【登場人物】

MJブロンディ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっている。

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のクルマ】ボルボ V90

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664万〜899万円

SPEC【T6 AWD Inscription】●全長×全幅×全高:4935×1890×1475㎜●車両重量:1840㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCターボ&スーパーチャージャー●最高出力:320PS/5700rpm●最大トルク:40.8㎏-m/2200〜5400rpm●JC08モード燃費:12.5㎞/L

 

「ボルボの自動ブレーキは凄いな」

安ド「殿!このボルボ、カッコいいっすね!」
MJ「そうでもないぞ」
安ド「ガクー!ワゴンなのにこんなにワイド&ローなんて、カッコいいじゃないですか!」
MJ「確かにやたら幅は広いな。ただこれは、カッコのためというより、衝突安全性のための役割が大きいだろう」
安ド「なるほど! “安全性のボルボ”ですもんね」
MJ「それが困る」
安ド「は?」
MJ「安全性というヤツは、乗っただけではサッパリわからん」
安ド「言われてみれば」
MJ「見た目とか加速とかコーナリングとか乗り心地とかは、見て乗ればわかるが、真の安全性はぶつけようとしてみなければわからんのだ」
安ド「確かに」
MJ「しかし、ぶつけようとしてみるわけにもいかん」
安ド「確かに!」
MJ「つまり、メーカーの言うことを鵜呑みにするしかないのだ」
安ド「V90のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は使いやすかったですよ!ボタンを1度押すだけで設定できますから」
MJ「確かに使いやすかった。前走車がいれば、それを検知して停止までやってくれる。ウィンカーを出さずに車線をはみ出せば、自動的にハンドルを戻そうとしてくれる。それくらいはテストできるが、そこから先はわからん。安全性を実際に確かめられないのは、評論家として歯がゆい限りだ」
安ド「歯がゆいですね……」
MJ「実は先日、他誌でそれをやったのだが」
安ド「やったんですか!?」
MJ「厚紙のパネルに向かって突進してみたのだが、ボルボの自動ブレーキは凄いな」
安ド「どういうところが?」
MJ「シートベルトの巻き取りが凄い」
安ド「は?」
MJ「自動ブレーキがかかる前、まず警告音が出て、シートベルトがギューッと巻き取られるのだが、それが実に強烈だった。助手席の女子は『絞め殺されるかと思いました』と言っていた。さすがボルボ」
安ド「それは、他社のクルマよりもですか?」
MJ「いちばん強かった。自動ブレーキも、いよいよぶつかる!という寸前まで我慢する」
安ド「なぜでしょう?」
MJ「最後の最後までドライバーが自分で操作する余地を残すためだろう。さすがの設計思想だ」
安ド「さすがボルボですね!」
MJ「あの強烈な締め付けを思い出したら、2度と自動ブレーキを働かせたいとも思わんしな」
安ド「うーん、V90はすばらしいですね!」
MJ「テストしたのはセダンのS90だがな」
安ド「V90じゃないんですか!」
MJ「許せ。安全装備は共通だ」

 

【注目パーツ01/LEDヘッドライト】

ハンマーをモチーフにしたデザイン

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ライトの中に浮かび上がるのは横になった「T」の文字。これは北欧神話に登場する雷神(トール神)が持つハンマーをモチーフにしているそうです。こういうウンチクはマニアックなファンが喜ぶのでいいと思います。

 

【注目パーツ02/フロントグリル】

顔の中心からゴージャス感を演出

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「アイアンマーク」と呼ばれるボルボのエンブレムを中央に配置したグリルです。縦にズラッと並べられた格子の真ん中に入った斜めのラインがとてもいいアクセントになっていて、高級感と力強さが感じられます。

 

【注目パーツ03/ラゲッジルーム】

相応の広さだが新機能は特になし

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このV90は、ボルボのエステート(ワゴン)のフラッグシップモデルです。ラゲッジスペースは広くて使い勝手も良さそうですが、これといった新機能はありません。フラッグシップなのに目新しさがないのは残念です。

 

【注目パーツ04/エンジン】

コンパクトでも力強い新世代パワートレーン

全機種でターボを採用するボルボの新世代パワートレーン「Drive-E(ドライブイー)」エンジンはコンパクトな4気筒。高い環境性能と不満のない走行性能を両立しています。プラグインハイブリッドも9月以降に登場します。

 

 

【注目パーツ05/リアライト】

複雑な造形もマッチするスマートなリアスタイル

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ライトだけ切り抜くと、よくわからない複雑な造形に見えます。しかしシンプルなようでいて繊細なディテールを持つリアスタイルに当てはめてみると、非常にマッチ。他車にない存在感を持った素敵なデザインだとわかります。

 

【注目パーツ06/センターディスプレイ】

先進性を感じさせるタッチパネルとデザイン

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9インチの大型ディスプレイはタッチパネル式。指紋がつくのはタマにキズですが、使いやすいです。左右にはエアコンの吹き出し口がありますが、こちらも縦長のディスプレイに合わせて縦長形状を採用。

 

【注目パーツ07/ローレット加工スイッチ】

まるでダイヤのような高級感

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センターコンソール上のエンジンスタートスイッチやドライブモード選択ボタンには、ダイヤモンドのような“ローレット加工”が施されています。国産車がやるとチープになりがちですが、V90では高級感を醸し出していてGood。

 

【注目パーツ08/ウッドパネル】

独自のラグジュアリー感を体現

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高級車で採用されがちなウッドパネルも当然搭載されていますが、なんだかイヤミがなくていい感じです。写真のリニアウォールナットウッド以外にダークフレームバーチウッドも選べるほか、アルミやカーボン素材も設定されています。

 

【注目パーツ09/プレミアムサウンド・オーディオシステム】

極上のサウンドは世界トップクラス

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英国の高級オーディオブランド「Bowers&Wilkins」がオプションで設定されています。そのお値段なんと45万円! どの席でも極上のサウンドを実現するために、合計19個のスピーカーが配置されているとのこと。探すのも大変そうです。

 

【これぞ感動の細部だ!インテリセーフ】

世界初の安全技術を2つ搭載

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ボルボでは先進安全・運転支援技術を「インテリセーフ」と呼び、もちろんこのV90にも装備しています。道路上に大型動物を検知すると警告を発して衝突被害を軽減する「大型動物検知機能」や、道路を逸脱しそうなときに自動で逸脱を回避する「ランオフロード・ミティゲーション」は世界初搭載です。前者はいかにもスウェーデンらしい機能ですね。