乗り物
2017/12/11 6:00

10年ぶりの新ロマンスカー「GSE」はディテールと新サービスこそ要チェックだ!

2017年12月5日、小田急電鉄の大野総合車両所内で最新ロマンスカー70000形がお披露目された。2018年の3月中旬から走り出す予定の新型ロマンスカー。すでにその概略はいろいろな媒体で紹介されているので、本サイトでは写真を中心に次世代ロマンスカーのこだわりの細部を見ていくことにしよう。

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↑2008年登場の60000形MSE以来ほぼ10年ぶりに、新ロマンスカー70000形GSEが誕生した

 

愛称はGSE! 当日、星野社長からその名が始めて明かされた

小田急ロマンスカーには、これまでLSE、VSE、MSEなどの愛称が付けられてきた。ところが、新車をお披露目する会場で報道陣に配布された資料類にその愛称が書かれていない。さて……。

 

記者発表のため登壇した小田急電鉄の星野晃司社長の口から、初めてその愛称が伝えられた。

 

愛称は「GSE(Graceful Super Expressの略)」。発表されたあとに初めてGSEに関してのニュースリリースが配られた。ちょっとしたことながら、小田急の意気込みが伝わってくるような記者発表の進め方だった。

 

新車70000形GSEのデザインはアーキテクチャーネットワーク代表の岡部憲明氏。50000形VSE、60000形MSEなどの車両をデザインしてきた岡部氏が、新車両では前面展望をいかに迫力あるように見せるか苦心したと言う。

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↑先頭部の支柱にはGSE70000と刻印されたパーツがさりげなく組み込まれている

 

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↑新ロマンスカーの登場とともに、乗務員用の制服、そしてアテンダントの新制服の導入も行われる。デザインはユマコシノ アソシエイツの小篠ゆま氏が担当

 

見るべきポイントが多い車体ディテール

新ロマンスカー70000形GSEは7両編成。これまでの50000形VSEに比べて42席ほど席数を増やした。車体は「ローズバーミリオン」を基調にし、屋根部分は深い赤い色「ルージュボルドー」を配色、帯にロマンスカーの伝統色である「バーミリオンオレンジ」をあしらった。基調となるカラーは、オレンジと赤のちょうど中間色といった印象。鮮やかな色で、沿線ではかなり目立つ存在となりそうだ。

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↑車体色はローズバーミリオン。自然のなかに咲くバラの色を元に選ばれた。車体先頭部に展望席があり、その上に運転席が設けられる

 

台車は電動油圧式フルアクティブサスペンションを搭載。乗り心地を重視した。フルアクティブサスペンションは東北新幹線のE5系にも使われる機能で、在来線用の特急車両7両すべての台車に搭載される。これはかなり贅沢な仕様と言うことができるだろう。

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↑70000形GSEの車体長は20m超と長いため、VSEなどに使われた連接台車は使われていない。すべての台車に電動油圧式フルアクティブサスペンションを搭載

 

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↑眺望を良くするため、50000形VSEの窓に比べて30cmタテ幅を広げ、タテの寸法を1mとした。先頭部はVSEに比べてやや立った形状とされた

 

運転開始後にぜひ使ってみたい車内専用Wi-Fiサービス

新型70000形GSEは次世代ロマンスカーらしいサービスも行われる予定だ。その代表が車内専用Wi-Fiサービス。8言語で使えるというシステムは外国人観光客の利用が多いロマンスカーらしい対応。さらにWi-Fiでは沿線情報、エンターテイメント、車内の案内以外に、鉄道好きにはたまらない展望ライブ映像も見ることができる。

 

先頭車、特に展望席の人気は、運行開始後は倍率も非常に高いと思われるが、車内専用Wi-Fiを使えば、展望席でなくとも車内のどの席でも展望ライブ映像が楽しめるわけだ。 さらにカメラは運転席に設けられている。運転士がいつも見ている映像が楽しめるのだ。これはぜひとも見てみたい。

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↑前照灯の上にカメラが設置された。このカメラが写し出す映像をWi-Fiを使えばリアルタイムで楽しむことができる。展望席よりもさらに迫力の展望ライブ映像が楽しめそうだ

 

席の下が荷物の置き場に利用できる

ロマンスカーは外国人観光客も多く利用する。箱根の温泉宿への宿泊を考えて乗車する利用者も多い。新車両には、大きな荷物を持つそんな観光客向けにありがたい仕組みが取り入れられている。なんと、全座席下に国内線機内持ち込みサイズの荷物が収納できるのだ。逆に荷棚は無く、視界が遮られない工夫が取り入れられている。

 

またトイレはすべて洋式で、温水洗浄機能付きの便座が付く。電動式椅子でも利用できるゆったりサイズのトイレも用意された。

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↑椅子に張られた生地は造形作家の岡崎乾二郎氏がデザイン。明るい印象の2列+2列のシートが並ぶ

 

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↑肘掛け部分に納まる折畳みテーブルを出した状態。その下に電源コンセント(全席に装備)が備えられる

 

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↑席の下に旅行バックの収納が可能(55cm×40cm×25cm以内)。これは旅行者にとって便利な仕掛けだ。ほかにも大型バック用のスペースも別に設けられている

 

最後に先頭車の展望席部分をチェック

70000形GSEの最大の魅力は前後の先頭部に設けられた展望席。計16席(後部の車両を含めると計32席)のみの至福の空間だ。新車では先頭座席を50000形VSEよりも先頭に35cmほど近づけ、より迫力の展望風景が楽しめる構造とした。16席以降の先頭車両の席も、広々した前面と側面の窓から展望を楽しめる構造。中間車両も側面の窓もタテ寸法を広くしたことで、沿線の風景を十分に楽しめることになりそうだ。

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↑1号車、7号車の先頭部に設けられた展望席スペース。計16席のみの“特等席”となる。従来通り特別料金が必要なわけではなく、先着順での指定席の販売となる

 

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↑最前部の席は車体の形状に合せてやや内側を向いての配置となった。50000形VSEよりも前に座席が配置され、迫力ある展望風景が楽しめそうだ

 

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↑展望席の後ろにあるのは運転席への入口。ここから梯子で運転席へ入る。今回の新車発表会では混乱を避けるため、運転席の公開は行われなかった

 

2018年3月中旬以降の運転予定は?

最後に70000形GSEの運転予定を見ておこう。小田急線は代々木上原〜梅ヶ丘間の複々線工事の完了に合わせて2018年3月中旬にダイヤ改正を行う。この改正に合せて走り始めるのが70000形GSEだ。

 

まずは新宿駅発、土休日の午前、9時、10時、11時発。平日の10時、11時発のスーパーはこね号に展望車両のある特急ロマンスカーが使用される。これらの列車に70000形GSEが組み込まれる予定。さらに複々線工事の完了で、現行よりも新宿〜小田原間が4分短縮、また新宿〜箱根湯本間が9分短縮され、それぞれの所要時間が短縮される。

 

なお、70000形の運行はその日で変わる。通勤時にも利用される予定。運行時刻はネットで事前に発表されるというから、楽しみに待ちたい。