価格と維持費のリーズナブルさが魅力の軽自動車に、昨年からアスリート系モデルが続々と投入されています。ここでは、高い実用性能を備えたモデルをベースとし、遅れて追加されたスポーティ仕様のモデルを厳選。モータージャーナリスト・岡本幸一郎さんが、走行性能と特徴を比較しました。
私が採点しました!
モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん
スポーツカーやメカニズムへの造詣が深いモータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務めています。
クルマを操る楽しさを求める声にメーカーが対応
最近の軽自動車では、乗用車ベースのスポーティモデルが登場中。なかでも、スズキはトランスミッションで独自の取り組みを行っています。モータージャーナリストの岡本幸一郎さんは、同社の取り組みを次のように分析します。
「アルト ターボRSは『AGS』を搭載。これはクラッチ操作を機械が自動で行なう2ペダルMT(≒セミAT)です。CVT(無段変速機)と異なり、MTと同等の優れた伝達効率を誇り、CVTと同じようにステアリングのパドル操作で変速が行えます。ですがAGSは、操作から変速までにやや遅れがあり、上手く操るには慣れが必要なんです」
そこで、AGSよりももっと走りを期待するユーザーに応えて登場したのが、3ペダルMTを用意するアルト ワークスです。
「クルマを自在に操れる点では、昔ながらの3ペダルMTがベスト。アルト ワークスに3ペダルMTが設定されたのも、ユーザーからのニーズに応えてスズキが動いたからです」(岡本さん)
個性派ユーザーに応えた第3のスポーツデザイン
ダイハツ
キャスト スポーツ
162万円〜174万4200円
【スポーツトランスミッション:採用】
【ユース:日常】
【専用サスペンション:採用】
【専用ボディカラー:採用】
個性的なデザインと高い質感を持つキャストの3バージョンのひとつ。赤いアクセントカラーを用いたカラーリングや特徴的な内装デザインに加え、サスペンションのチューニングなどでスポーティさを強調しています。
【SPEC(スポーツ“SA Ⅱ”/2WD)】
全長×全幅×全高:3395×1475×1600㎜
パワーユニット:658cc直列3気筒エンジン+ターボ
JC08モード燃費:24.8㎞/ℓ
スポーティなデザインに定評があるMOMO社製のパドルシフト付きステアリングホイールを採用しています。
内外装はスポーティに仕立てられているものの、大人もゆったり座れる広い空間を確保しています。
【プロの5項目採点】
コンセプトは4人乗りのコペン
日常での扱いやすさ:16
コーナリング:12
加速力:16
シフトフィール:16
乗り心地:16
合計76点
「加速感はターボとしてはやや控えめながら、いたって乗りやすいです。足まわりも専用に強化されていますが、重心高がやや高めという印象。上質さでは他を一歩リードしています」(岡本さん)
レッドの配色やエアロパーツがスポーティさを演出。16インチのハイグリップタイヤも選択できます。
操る楽しさをセミATで追求したアルトのスポーティ仕様
スズキ
アルト ターボRS
129万3840円〜141万5880円
【スポーツトランスミッション:採用】
【ユース:日常】
【専用サスペンション:採用】
【専用ボディカラー:採用】
【SPEC(ターボRS 2WD)】
全長×全幅×全高:3395×1475×1500㎜
パワーユニット:658cc直列3気筒エンジン+ターボ
JC08モード燃費:25.6㎞/ℓ
メッキガーニッシュやカラードドアミラー、スポイラーなどを採用。デザインはベースモデルより存在感を高めています。
ベースエンジンを改良したVVTターボエンジンが力強い加速力を発揮。低中速域トルクを向上させています。
【プロの5項目採点】
軽快なフットワークAGSの改良に期待
日常での扱いやすさ:12
コーナリング:16
加速力:16
シフトフィール:12
乗り心地:20
合計76点
「走り味は軽快ですが、スポーティさを追求し過ぎておらず乗り心地は悪くありません。エンジンもそこそこパワフルなものの、AGSは変速時のフィールが気になるのが難点です」(岡本さん)
アルトとは差別化されていて、サスペンションとブレーキも専用チューニングを施しています。
ヘタなスポーツカーにも負けない本格的な操作&走行性能
スズキ
アルト ワークス
150万9840円〜161万7840円
【スポーツトランスミッション:採用】
【ユース:日常】
【専用サスペンション:採用】
【専用ボディカラー:採用】
アルトの派生モデル・ターボRSをベースに、さらに走行性能を磨き上げたスポーツモデル。新開発されたショートストロークの5速MTや、より強化されたターボエンジンが搭載され、スポーツ走行を自在に楽しめます。
【SPEC(ワークス 2WD 5速MT)】
全長×全幅×全高:3395×1475×1500㎜
パワーユニット:658㏄直列3気筒エンジン+ターボ
JC08モード燃費:23.0㎞/ℓ
高いホールド性能を発揮する専用レカロシートが、コーナリングなどで身体をしっかり支えてくれます。
同車のために専用開発された5速マニュアルトランスミッション。軽快なシフト操作を実現します。
【プロの5項目採点】
MTの醍醐味と本格的な走りを楽しめる
日常での扱いやすさ:12
コーナリング:20
加速力:20
シフトフィール:20
乗り心地:16
合計88点
「MTのシフトフィールは抜群! エンジンレスポンスも上々です。フットワークはターボRSよりもロールが小さく、より俊敏なハンドリングを楽しめます。乗っていて本当に楽しい!」(岡本さん)
かつて軽としては圧倒的なパフォーマンスを誇った「ワークス」の復活。旧型ファンも熱狂すること間違いなしです
【URL】
ダイハツ http://www.daihatsu.co.jp/
キャスト スポーツ https://www.daihatsu.co.jp/lineup/cast_sport/