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クルマ
2018/10/2 17:00

クルマはどうやって海を渡るのか? 「自動車専用貨物船」のひみつ

貨物船の内部にはトレーニングルームも!?

一連の積み込み作業を見学したあとは、貨物船の内部を見ることができた。

 

まず足を踏み入れたのが総排気量3400リッターという巨大エンジンを収めたエンジン室だ。そのエンジンは、ドイツMAN-B&W社のライセンスで韓国メーカーが製造した6気筒2ストロークディーゼルエンジンで、シリンダーの大きさは直径60cmにもなる巨大なもの。出力は1万3560kw(1万8000馬力)ものビッグパワーを発揮し、これはフォレスター(2.5リッター)の約100倍に相当するパワーになるという。このメインエンジンが103rpmでプロペラを回転させ、船を前へと進めているのだ。

↑1万8000馬力もの巨大パワーを発揮する6気筒2ストロークディーゼルエンジンを搭載する

 

↑直径60cmもの巨大ピストン。スペアとして準備されていた

 

航行に携わる乗組員は20名ほどで、航海士は4時間ごとに交代して見張りや操舵を行うが、エンジンには監視システムが用意されているということで、緊急時以外、勤務時間は8時から17時まで。夜間は基本的に無人になるという。

↑操舵室の全景。中央にいるのが「バイオレット・エース」の船長

 

2週間ほど寄港なしで公開が継続されるため、トレーニングルームや娯楽室なども準備。食料も寄港地で積み込んで、料理人も専任で乗船している。

↑階級が上の人たちが使う食堂。クラス分けは想像以上に厳しいようだ

 

↑トレーニングルームも用意されている

 

↑医師は常駐しないものの、医務室も備えられていた

 

↑屋外のコートにはバスケットコートもあった

 

また、船長と機関士長は各上の部屋が用意されるが、広さや設備などに違いはあるものの船員全員に個室が与えられていた。説明では船の持ち主がギリシア人ということで、欧州スタイルが取り入れられていることが大きいという。

↑船内の執務室。プライベートで使う部屋とは別に用意されている。この辺りが欧州スタイルなのだという

 

このレポートを書いているのは9月23日。この記事が公開されている頃には、バンクーバー港に入港され、新型フォレスターがアメリカ本土に陸揚げされていることだろう。多くの人の手を介して日本を旅立っていった新型フォレスターが、北米の人たちの手に渡る日も間もなくだ。

 

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