【和田岬線の魅力4】踏切で昭和のレトロな風景がよみがえる
全線が地上を走る和田岬線。当然のごとく道路と交差するポイントには踏切が設けられる。その数、計7か所。そこを103系が通過する。
近年、都市部では路線の高架化が進み、車やバイクが踏切待ちをする風景が少しずつ減ってきている。さらに103系という昭和を代表する鉄道車両。103系が通り過ぎるこの路線では、昭和の風景が今でも息づいているように感じた。
【和田岬線の現状】黒字路線なのに廃止論議が浮かび上がる不思議
現在、和田岬駅はJR和田岬線の和田岬駅と、2001(平成13)年に開業した神戸市営地下鉄海岸線の和田岬駅がある。
地下鉄海岸線の開業でJR和田岬線の利用者が3割、減った。それでも和田岬線の1日の乗車人数は約1万人とされている。朝夕のみの運行と、利用者に合わせ効率的な列車の走らせ方をしていることもあり、本数の少ないローカル線ながら立派な黒字路線となっている。
一方で、2010年に「運河の中央部をまたぐ和田岬線が船の航行を阻害し……」という理由から、神戸市議会が和田岬線の廃止を求める要望をJR西日本へ提出した。地元の神戸市では兵庫運河を利用した「ウォーターフロント計画」を進めている。その計画を立てる上で和田岬線の和田旋回橋があることで、観光船を通すことができない、と邪魔もの扱いされたのである。
黒字路線なのに廃止を、と訴えた例は国内では皆無ではないだろうか。早ければ2012年度には廃止を、という話まで浮かびあがった。その後、路線が走る地元や利用者からは廃止反対の声が巻き起こり、また市民からも多くの反対意見が寄せられた。
JR山陽本線を通勤に利用する人が和田岬駅近くの工場へ通う場合に、和田岬線を使えば圧倒的に便利だ。市営地下鉄は乗換えが不便と、敬遠する人も多い。
現在は、廃止論議が納まりつつあるものの、沿線にある川崎重工業の経営悪化という問題もあり、この先、和田岬線がどうなっていくのか注目される。