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2018/12/14 17:00

サーキット走行、キャンプ泊、工場見学ーーCOPEN(コペン)を愛してやまない編集長が振り返るCOPENの5年とこれから

コペンはダイハツを象徴するモデルである。軽自動車規格ながら、2シーターのハードトップで走りは軽快。現在は3つのスタイルをラインナップし、老若男女に愛される一台――私、ヤマダもまさに魅了されたひとりだ。

そのコペンも発売から早5年、初代の発売期間が10年だったことを考えるとライフサイクル的に熟成期に入ってきているといえるだろう。そのうえ、12月3日に謎のティーザーサイトが立ち上がり、19日には何かが発表される模様だ。2019年に向けて、様々な動きがありそうなコペン。それを前に本記事では、コペンを愛してやまないGetNavi web編集長・ヤマダとモータージャーナリスト・岡本幸一郎さんの目線で、同車の5年を振り返っていきたい。

 

【12月3日に公開されたティーザーと言いつつほとんど情報が載っていない謎の予告サイトはコチラ

 

【今回紹介するモデル】

ダイハツ
コペン(写真はコペン ローブ)
185万2200円〜212万7600円(税込)
2012年の初代モデル終売から2年経って発売された2代目モデル。軽自動車でありながら、オープンの開放感+スポーツの楽しさを共存させている稀有なクルマだ。骨格だけで車体剛性を高めた「D-Frame」構造を採用。これより、外板で強度を補強する制約から解放され、エクステリアを様々にデザインできるようになった。

現在、デザインは3種類あり、躍動感や流麗さ、繊細な曲面が特徴の「Robe(ローブ)」、タイヤハウス部に大胆な意匠を施しSUVのようなタフ&アグレッシブな印象を持つ「XPLAY(エクスプレイ)」、初代を思わせる丸目でかわいく、親しみやすさを感じる「Cero(セロ)」をラインナップ。なお、「セロ」と「ローブ」間では、外装を購入後にも変更可能だ。

●SPEC【ローブ CVT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1280㎜●車両重量:870㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS/6400rpm●最大トルク:9.4㎏-m/3200rpm●JC08モード燃費:25.2㎞/ℓ

●ディテール(写真をクリックすると詳細な説明が見られます)

 

GetNavi web編集長が振り返る「コペン」の印象的な思い出

【その1】えっとココはリアルなカフェ? コペン ローカルベース 鎌倉

コペンが既存ユーザーや未来のユーザーとのリアルな接点を作るべく、オープンしたのがカフェスタイルの「コペン ローカルベース 鎌倉」。由比ヶ浜にほど近い位置にあり(当時)、ロケーションは抜群。ヤマダは発表・発売から10日ほど経って行われたオープニングセレモニーに参加した。あの日は確かどんよりとした曇り空だったが、コペンがローカルベースから走り出すと、一気に華やかな雰囲気に。コペンの持つ、人を何かワクワクさせる力は健在、というよりむしろ一層磨かれていると感じた。

↑オープンセレモニー時の様子

 

↑現在は鎌倉駅徒歩4分のところに移転(神奈川県鎌倉市御成町4番10号)。取材日は平日だったが、ランチタイム後も人が絶えない人気ぶりだった。ダイハツ車の情報発信基地である以上に、地元に密着し愛されている憩いの場という印象を受けた

 

【その2】コペン、サーキット走行の実力のほどは?

2014年10月号(8月24日発売号)では、コペンのスポーツ走行の楽しさを探るべく、サーキット走行を実施。舞台は都心からも1時間程度で行ける袖ヶ浦フォレストレースウェイ。モータージャーナリストの岡本幸一郎さんにリポートしてもらい、同乗もさせてもらった。その感想は、「いや、これ本気のスポーカーじゃないですか!?」。もう少しちゃんと言うと、低速からの加速が鋭くて、コーナーでもヨレるような印象はなく、とにかく楽しい。「サーキットも攻められるクルマ」を体感できた取材だった。

 

↑試乗した岡本さんによると、「エンジンはレスポンスがよくパワフル。MTが選べるので、MTを操って走れるのもポイントが高い。コーナーではハンドリングが軽快で、コンパクトで軽量な軽自動車だからこそ、自分の手の内で意のままに操れる感覚がある。剛性感も十分にあって、スポーツカーとしてしっかり作り込まれている」と振り返ってくれた

 

↑サーキット取材時の動画

 

↑こちらは本記事の取材日に改めて江ノ島付近を試乗したときの様子。街中を走っているときも、実に操りやすい車で、スポーツ性に寄せたモデルにはない快適性がある。スポーツカーとしても街乗りクルマとしても両方楽しめる1台で2台分オイシイクルマなのだ

 

↑江ノ島試乗時の写真をもう1点。鎌倉から江ノ島付近は一方通行が多いうえ、非常に細い道が多いが、コペンならそんな道も余裕で走り抜けてしまう。オープンカーらしく開放的な風景がとても似合う

 

【その3】コペンでオートキャンプはできるのか?

2014年8月にサーキット取材をした週末、今度はコペンでオートキャンプに出かけてみた。行ったのは、千葉県市原市にある一番星ヴィレッジ。こちらも都心から1時間程度で行けるオートキャンプ場。ルーフクローズ時のコペンは積載性に優れたクルマに変わり、テント/寝袋/イス/テーブルまでもトランクルームに積みこむことが可能で、助手席に妻を乗せて走ることができた。夫婦のふたり旅には最高で、さきほど一台で2台オイシイと言ったが、アウトドアも満喫できるから1台で3台分のおいしさを味わえるクルマだと確信した。

 

【その4】工場見学で見た、ダイハツのモノ作りの矜持

2018年の3月にはダイハツ本社内にあるコペンの工場「コペンファクトリー」を訪れた。ここは、コペンオーナーだけでなく、一般のユーザーも見学できる施設で、熟練スタッフがコペンを組み立てていく生産ラインを見ることができる。取材では特別にライン内に入らせてもらい、間近で組み立てられていく様子を観察。傷などがないかはもちろん、アライメント調整まで徹底的に行われ、ダイハツのモノ作りの熱さを感じることができた。「コペン ローカルベース 鎌倉」もそうだが、コペンはユーザーとの接点を持つことを非常に大切にしている。

 

コペンがこの5年でやってきたユーザーとのつながり、そして、これからの目標については次の項目で明らかにしていこう。冒頭でも触れたが、12月3日には謎のティーザーサイトが立ち上がっており、5周年を迎えて何かが起こりそうな雰囲気だ。

 

【12月3日に公開されたティーザーと言いつつほとんど情報が載っていない謎の予告サイトはコチラ

【その5】コペンのいままでとこれからについて、担当者に色々聞いた

コペンには、ダイハツのフラッグシップカーという側面、ダイハツのスポーツカーという側面、ダイハツのモノ作りを象徴する側面など、多面的な特徴があるが、最も特徴的なのは、ユーザーとの厚い信頼関係である。コペンはこの点、先代よりももっと踏み込んでユーザーとの接点を探っており、この5年で様々な成果が生まれてきている。コペンは今後ユーザーとどのような関係を築いていくのか? イベントなどユーザーとのコミュニケーション作りを担当している榊原康政さんに、【その2】でも登場した、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんがコペン ローカルベース 鎌倉で話を聞いた。

コペンの登場以降、ダイハツではユーザーとの接点を設けるため、かつてない活動を行なってきた。その中心人物であるダイハツ工業 国内マーケティング部の榊原康政さんは、自身もコペンオーナーだったことから、当初はダイハツ全車の販促に携わっていたところ、コペンの専任として、件の役目を任されたという。

 

「コペンはダイハツのシンボルであり、フラッグシップとしてブランドをPRしていく役割を担っているクルマです。そこで2代目コペンの登場を機に、お客さまとのコミュニケーションの機会をもっと増やしていこうと考え、様々な新しいことにチャレンジしてきました。お客さまとの距離の近さというのがコペンのよさでもあり、ひいてはダイハツブランドの目指すところでもあります」(榊原さん)

 

大きく行なったことは2つで、「リアルでの接点作り」と「ウェブサイトでの情報発信」。まずリアルでの接点作りについて掘り下げていこう。

 

「現行のコペンになってからは、メーカー公式のイベントに力を入れてきました。これまでダイハツの主催で、コペンオーナーのみを対象に、2014年、2017年、2018年と長野・岡山・秋田で“星空鑑賞”を中心としたイベントを3回実施。さらに、コペンのみにとどめるのはもったいないのでオールダイハツ車に広げるとともに、人口の多い首都圏や大阪圏だけでなく、『LOVE LOCAL』をテーマにして、各地域のお客さまを大切にしていくことを念頭に、2017年以降熊本、千葉、愛媛でイベントを実施しました」(榊原さん)

↑2014年長野県阿智村で開催された「Panorama Drive with Achimura」の様子
2017年10月、岡山県井原市美星町で開催された「LOVE SKY PROJECT #1 STAR DRIVE@美星町 by COPEN 15th ANNIV.」の様子
↑2018年9月、秋田県東成瀬村で行われた「#4 Starlight Viewing@東成瀬村 by COPEN FANS」の様子

 

「その中では、コペンに乗っていらっしゃるお客さま同士の交流を深めていただくのはもちろん、ダイハツ関係者とのコミュニケーションの場を設けたり、お客さまにデザインを公募したりして、それを実車化するプロジェクトも行うなど、これまでにないチャレンジをしてきました。とはいえ、お客さまとのつながりという意味では各地の販売会社(ディーラー)さんのほうが私たちメーカーよりも強固。全国の販売会社さんでも『LOVE LOCAL』を旗印に独自に開催しているイベントもあるので、私たちとしてはそれもしっかりバックアップしてダイハツ車を愛用するユーザーをメーカーとディーラーが一体となって、より大切にしていく取り組みも進めています」(榊原さん)

 

イベントの参加者アンケートでは常に評価が高く、今後も続けるべきかという問いに対して、これまでNOという回答をもらったことは一度もないそうだ。そして同時に、「コペン ローカルベース 鎌倉」や「コペンファクトリー」などのリアルな場所の接点作りにも注力している。

 

「ディーラーというのは基本的にはクルマを買うために意思を持っていく場なので、どうしても敷居を高く感じがちです。そこで、ダイハツ車に乗っていようといまいと関係なく、敷居を低くして気軽にダイハツに触れていただけるようにするためにはどうすべきかを考えました。それが形になったのが『コペン ローカルベース 鎌倉』。一見するとカフェそのものですが、来店されたお客さまとの会話でメーカーの代弁者としてダイハツのよさや思いを伝えてもらうような研修をスタッフに行っています。これによって、クルマに対する印象も変わるかもしれないし、実際に購入につながったケースもあります。

 

また、ここはコペンの拠点として月に1回オフ会を開催しているほか、ここを会場にオーナーズクラブのミーティングが行われることもあり、駐車場がコペンだらけになるときもあります(笑)。コペンが好きなみなさまにとって聖地のような場として認めてもらえるといいなという思いがあります」(榊原さん)

 

一方で、イベント自体はそう頻繁には開催できないのも実情。そこで榊原さんのチームではウェブコミュニティを構築することで、ユーザーとのコミュニケーションを発展させることにも取り組んできた。

 

「ウェブサイトはお客さまとダイハツがいつでもコミュニケーションをとることのできる場です。また、お客さま同士も地域を越えて交流することができます。そのための場としてコミュニティサイト『LOVE LOCAL COMMUNITY』を立ち上げました。実際にやってみると、書き込みに対する反応が想像以上にすごくて驚かされることもあります」(榊原さん)

とりわけ昨年実施した、ユーザーが愛車と風景をからめて撮った写真をカレンダーにするという「カレンダープロジェクト」の反響は相当なものだったという。

 

「本当に写真が集まるのかと疑心暗鬼で、応募期間を4か月設けていて先着順にしていたところ、わずか2日で12枚×12か月分の応募枠がいっぱいになってしまい、うれしい悲鳴が出たほどでした」(榊原さん)

 

リアルな場、バーチャルな場、両方で接点を作ってきたコペン。理想とするユーザーとの関係性とはどんなものなのか?

 

「メーカーとユーザーの理想的な関係性とは、単に売る側と買う側の間でのお金のやりとりではなく、『心』のやりとりができる、本当の意味でお互い親身になっている状態だと思います。一例を挙げると、とある販売会社さんでイベントを行なう人手に困っていたので、ユーザーの方にお声がけしたところ、多くの方が協力を申し出てくれたというエピソードがあります。ユーザーの方々との関係性は近すぎてもいけないとは思いますが、お互いが信頼関係にあって、よりよい空間を作っていける、そんなつながりをもっともっとできるように私としては今後も様々な施策を行っていきたいと考えております」(榊原さん)

 

【12月3日に公開されたティーザーと言いつつほとんど情報が載っていない謎の予告サイトはコチラ

 

【まとめ】

榊原さんは非常にさらりとお話してくれたが、コペンが掲げる理想は非常に高いものだ。とはいえ、個人的にはコペンはもはや単なるクルマという存在を超え、人生の幅を広げてくる領域に足を踏み入れていると感じる。単に移動範囲が広がるだけではなく、コペンを通じてこれまでできなかった体験ができる。星を見るイベントなどはその最たる例だろう。

さて最後に、このところ新しいニュースのなかったコペンだが、ひさびさに何かが起こるようだ。冒頭と中盤で何度も触れたように12月3日にティーザーサイトが立ち上がったが、書かれているのは、「2018年12月19日 COPENに何かが起こる!」という文字とカウントダウンの表示のみ。

コペンのダイハツ公式Facebookには多くの憶測コメントが寄せられているが、ティーザーサイトというと、シルエットを見せたり、一部をチラ見せしたりするのが一般的。果たして、今回の発表はどのようなものなのか? 12月19日と今後の情報、そしてこれからのコペンに期待が高まるばかりだ。

 

インタビュー/岡本幸一郎 撮影/小関一尚