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2016/6/15 20:45

クルマを洗って30年! 「洗車の極意」をガソリンスタンド界のカリスマ店員に聞いてきた。

 

飯倉片町から六本木一丁目に行く途中、左手にエネオスがある。このガソリンスタンドは自動車メディア界隈では知らない人はないという、名物サービスマンがいるお店だ。彼の名前は片岡 勇さん――この道30年のベテランで、多い日には40台ものクルマを洗車。しかも、洗うのは大衆的なクルマではない。六本木という土地柄、メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、アウディなど高級車ばかり。そこで鍛えられた「洗車技術」は超一流だ。本記事では、洗車の達人である片岡さんに洗車哲学を聞きながら、「洗車の極意」を伝授してもらった!

 

【知る人ぞ知る洗車のプロ】

片岡 勇さん

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東京都港区六本木にあるエネオス(田中燃料)に勤務。独特の誘導スタイルが話題を呼び、名物サービスマンとして人気を集めている。この道30年の大ベテラン。

 

 

【洗車の極意01】

洗車は「大きな視点」で作業を始めること!

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「洗車は決して難しいものではありません。週末の洗車場などでは、一生懸命にクルマを洗っている方も多いようですが、みなさんは細かい部分から手を付けていませんか? 洗車の基本は『クルマ全体を見ること』が重要になります。まず、最初はボディ全体の汚れを把握し、大きな汚れを専用のスチームやホースを絞った強い水流で落としましょう。この作業を怠ると、効率よく洗車をすることができません。泥はねや鳥のフンなどを水流で落とさず、局部的にゴシゴシと擦ってしまうことでボディにキズが付いてしまうことも少なくないのです

 

 

【洗車の極意02】

洗車用のシャンプーは決まった濃度で使う

「洗車用のシャンプーは説明書の通りに薄めて使ってください。濃い方が落ちそうに思いがちですが、塗装膜に影響を与えることもあるので注意が必要です。シャンプーをしっかりと泡立て、ゴシゴシとこすらないように柔らかいスポンジを使うのがコツ。スポンジが汚れたら、バケツに入れたきれいな水で絞るように洗い、スポンジの穴に溜まった汚れを落としてください。砂やホコリで汚れたスポンジはサンドペーパーのようになり、塗装の表面に傷を付けてしまいます。最近ではワックス効果やコーティング効果を発揮するシャンプーが数多く市販されているのでオススメ。フェンダーやドア、ステップの隙間など、手が届かない部分にも簡単にワックスをかけられることができるので便利です」

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↑ワックス&コーティングのシャンプーを使えば、手では届かない場所も簡単にワックス効果を得られる

 

【洗車の極意03】

洗車場のスチームを上手に利用するコツ

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「洗車場で利用できるスチームは、ノズルの向きを変えると平たい水流が使えます。その平たい水流を使ってバンパーやドア、フェンダーの隙間に溜まった汚れを落としましょう。隙間の汚れをシッカリと落とさないと、流れ出した汚れが筋状の跡になってしまうからです。また、タイヤハウスなども、平たい水流を使えば簡単に落とすことができます。ただし、スチームの水圧は強烈なので、ステッカーやキズが付いた塗装膜を剥がしてしまうこともあるので注意。ドアガラスはノズルを近づけ過ぎると、室内まで水が浸入してしまうこともあるのでやりすぎ注意です」

 

【洗車の極意04】

効率の良い洗車は「上から下に」が基本!

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「ホイールハウスの内側に溜まった汚れも忘れずに落としましょう。ホイール用のクリーナーを先に吹きかけ、浸透させている間にルーフから洗って行きます。洗い落とした汚れは下に向かって流れて行くので、洗車は一般的な掃除と同様、『上から下に』が基本になるのです。ボディを洗うと同時にフロントガラス、リアガラス、サイドガラスとともにミラーも忘れないようにしましょう。その時、ミラーを覆うカバーの隙間に溜まった汚れも水流を使って落としてください。最後にクリーナーを浸透させていたホイールとタイヤを洗えば洗車作業は終了です」

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↑ホイールは洗いはじめる前にクリーナーを付けておくと効率的

 

【洗車の極意5】

拭き上げは大きなタオルを使うと素早く作業が進む!

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「ボディに付いた水分が蒸発する前にしっかりと拭き上げましょう。水滴のまま蒸発してしまうと染みになることもあるからです。拭き取り作業は大き目のタオルや吸水性の高いウエスなどを使うと良いでしょう。この場合も、表面を撫でるように優しく作業すること。ゴシゴシとこすらず、軽く叩くように表面の水分を吸い取るように拭き取ってください。ボンネット、ドア、トランク、給油口を開けて、内側に残った水分を拭き取ることも忘れずに。走り出した瞬間、溜まった水が流れ出せば、そこにホコリや汚れが付着してしまいます

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↑水滴を残したまま走り出して、水シミがついてしまうのは洗車あるある。細かい部分までふき取りを!
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↑片岡さんの作業風景。美しいふきあげも見所だが、それ以上に特筆すべきは他のガソリンスタンドよりも圧倒的に作業スピードが速いこと。2~3台待ちでも、このエネオスなら待ち時間は少ないイメージ

 

 

【洗車の極意06】

室内のクリーニングは荷物を出してから!

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「室内の清掃は意外と面倒なもの。自宅の駐車場にコンセントがあれば家庭用の掃除機を使うことができるのですが、ほとんどの場合はガソリンスタンドか洗車場を使うことになります。掃除機をかける場合には、室内やトランクの中の荷物を全て出してから作業しましょう。空の状態であれば作業を効率的に進めることができ、細かいところまで掃除機をかけることができます。室内清掃のテクニックはシートを前後に動かして掃除機を掛けること。シートを動かすことで奥まで掃除することができるのです。シートレールに溜まったホコリや汚れは、可動トラブルの原因になるのでしっかりと掃除しておきましょう」

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↑溝などの細かい部分まで清掃

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【洗車の極意07】

タイヤのワックスは最低限に留めること

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「最後にタイヤのワックス仕上げは最低限に留めることが重要。ビカビカにしたい気持ちは分りますが、表面に残ったワックスはタイヤの遠心力で後方へと吹き飛んでしまい、ホコリが付着することですぐに汚くなってしまうのです。ワックスを塗布した場合には、表面の油分をしっかりと拭き取ることもポイントのひとつ。また、タイヤハウス内側の汚れを落とすことでボディとのコントラストが映え、新車のように美しく演出することができるのです。洗車は決して難しいことではありません。コツと順番を守れば効率よく作業ができ、美しい状態をキープできるのです」