【2018年の話題5】ひと時代を飾った花形車両の引退
新しい車両が登場する一方で、入れ替わるように古参の車両が消えていった。2018年はひと時代を飾った花形車両の引退が目立った年でもある。
◆JR東日本E351系(2018年4月7日運転終了)
特急「スーパーあずさ」として1993(平成5)年12月23日に登場したE351系。JR東日本では初めて形式称号に「E」を付けた記念碑的な車両だった。翌1994年にはグッドデザイン賞にも選ばれている。
JR東日本としては唯一の制御つき自然振り子装置を付けた車両で、カーブが多い中央本線を高速で走り抜けた。導入してから25年と、それほど車歴が古いわけではなかったが、制御つき自然振り子装置というシステムが、老朽化を早めたのか、予想外に早い引退となった。保存されることもなく、すべての車両が4月上旬に廃車となっている。
◆小田急電鉄7000形LSE(2018年10月13日運転終了)
ロマンスカーといえば小田急電鉄の観光特急の代名詞ともなっている。そんなロマンスカーの3代目として1980(昭和55)年に登場したのが7000形だ。愛称のLSEとはLuxury Super Expressの略だ。
7000形LSEが登場した後に、10000形HiSEと20000形RSEが造られたが、10000形、20000形とも、ハイデッカー構造だった。そのため、2000年に制定された交通バリアフリー法に向いていない車両とされ、早めの引退を余儀なくされた。逆に床を平面にした7000形が“長生き”する結果になった。
10月13日に臨時運行されたイベント列車の最後に引退したが、先頭車のみ残され、2021年春に海老名駅に隣接して設けられる「ロマンスカーミュージアム」で展示される予定だ。
◆東京メトロ千代田線6000系(2018年11月11日運転終了)
6000系は東京メトロ(旧・帝都高速度交通営団)が、千代田線用に1968(昭和43)年から1990(平成2)年にかけて製造した車両だ。
前面に貫通扉を持ち、左右非対称という姿は登場当時、かなり異彩を放った。1次試作車にはじまり、7次量産車まで登場した。長い間には更新工事が行われ、車両のリニューアルが図られたが、最初の車両が生まれてすでに半世紀となる。後進の16000系に役目を譲り、11月11日の特別運転を最後に引退となった。
6000系は消滅したが、同車両のデザインを踏襲した有楽町線・副都心線用の7000系や、半蔵門線の8000系は今も走り続けている。さらに引退後の6000系が海を渡り、今もインドネシアで多数が活躍していることを付けくわえておきたい。それだけ名車両だったということなのだろう。
◆東急7700系(2018年11月24日運転終了)
東急池上線と東急多摩川線を走り続けてきた7700系。同車両の大元は7000系という日本鉄道界初のオールステンレス車両だった。7000系は1962(昭和37)年〜1966(昭和41)年にかけて製造された。この車両には冷房装置がなかったことから、冷房装置をつけ、また諸設備を変更改造したのが7700系だ。
元となった7000系が登場して以来、半世紀。さらに7700系に改造されてから4半世紀の時が経つ。それにも関わらず、ステンレス車両の劣化はなかったとされる。現在の通勤用車両の多くにステンレス車両が採り入れられている。その丈夫さが7700系を見ても良く分かるようだ。
7700系は東急の路線では引退となったが、うち15両(3両×5編成)が養老鉄道に輸送された。2019年2月ころから新たに養老線(岐阜県・三重県)を走り始める。全車両とも入念にメンテナンスされていたこともあり状態が良く、あと30年は養老線を走り続けるというから、そのタフさに驚かされる。
【2018年の話題6】三江線廃止で浮かぶ人口減少という重荷
2018年の鉄道を巡る話題で避けて通れないのがJR西日本の三江線(さんこうせん)の廃止だろう。三江線は広島県の三次駅(みよしえき)と、島根県の江津駅(ごうつえき)を結んでいた距離108.1kmの路線。2018年3月31日の運行が最後となった。
100kmを越える長い路線で廃止となったのは2006年4月21日の廃止された北海道を走る「ちほく高原鉄道」(路線距離140.0km)以来のこととなった。
地方の鉄道路線はその多くが人口減少、過疎化による利用者減少に苦しんでいる。2019年こそ廃線の予定は発表されていないものの、2020年にはJR北海道の札沼線、北海道医療大学駅〜新十津川駅間の廃止が沿線町村との間で合意された(2020年5月6日に廃線予定)。
今後、各地でこうした閑散路線の廃止が進むことが、避けられない時代と入っているのかも知れない。