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2018/12/31 17:00

2018年の「鉄道」トピックを総ざらい!「鉄道ゆく年 くる年」【ゆく年編】

新車&引退車両、災害の被害など 〜〜2018年鉄道の話題〜〜

2018年もあとわずかとなった。2018年は、鉄道の世界もまさに悲喜こもごも。続々と新車が登場する一方で、長年親しまれてきた人気車両が消えていった。災害で複数の路線が大きな被害を受け、一本の路線が廃線となり消えた。

 

「鉄道ゆく年、くる年」。まずは、2018年鉄道を取り巻く話題を振り返りってみよう。

 

 

【2018年の話題1】豪雨による多大な被害を受けた西日本の路線

2018年の今年の漢字は「災」だった。まさに鉄道もさまざまな災いが襲った。とくに中国地方の路線は豪雨による被害が甚大で、復旧まで長い時間を要した。

↑JR西日本呉線の水尻駅(みずしりえき)。平成30年7月豪雨の際には濁流が駅を襲い、駅施設と線路が泥水に浸かった。駅の目の前を通る国道31号を行き来していた複数の車両も濁流に飲み込まれた。写真は2016年12月に撮影した水尻駅

 

2018年の6月末から7月8日にかけて降り続いた「平成30年7月豪雨」は中国地方の鉄道網に壊滅的な被害をもたらした。東西の大動脈である山陽本線をはじめ、多くの線区が被害に遭い、長期にわたり路線が不通となった。

 

上記の呉線も大きな被害を受けた路線の一つ。同路線が復旧したのは12月15日のこと。全線復旧まで163日の月日を要した。ほか福塩線(ふくえんせん)が12月13日に運転再開、芸備線の備後落合駅〜備後庄原駅間が12月20日に復旧と、12月になり復旧した路線が目立った。

↑山陽本線も大きな被害を受け、旅客とともに貨物列車が運休を余儀なくされた。8月末から1月間、山陰本線を迂回する貨物列車を走らせるなどで対応に苦慮。9月末に列島に上陸した台風により、さらなる運休が続き、10月中旬、ようやく平常時に近い輸送に戻った

 

それでも、まだ全線復旧とは行かず、芸備線は現在も三次駅(みよしえき)〜狩留家駅(かるがえき)間が不通となっている(2019年秋ごろに復旧の予定)。ほかJR九州の筑豊本線桂川駅〜原田駅間も「平成30年7月豪雨」以降、不通となっており2019年3月末までに復旧の見込みとされている。

 

振り返れば2017年7月の「九州北部豪雨」、2016年4月の「熊本地震」など大規模な自然災害の影響を毎年のように受け続けている。そのたびに尊い人命が失われ、鉄道路線の不通区間が生まれてしまう。

 

2019年こそ大きな災いが日本列島を襲うことなく、つつがない日々がおくれることを切に願いたい。

 

 

【2018年の話題2】大手私鉄を中心に新車が続々と登場

次は2018年に走り始めた新車の話題に移ろう。

 

ここ数年、新車の登場が相次いでいる。2020年に行われる東京五輪に備え、また急速に増える海外から訪れる人たち向けに、多言語で車内の案内表示ができるなど、新しい時代に合わせた車両が増えている。

 

加えて1980年前後に大量に造られた車両が、ちょうど代替わりの時期を迎えていることも、新車が続々と生まれる一つの要因となっている。

 

2018年に運行を開始した新型車両を、順に見ていこう。

 

◆相模鉄道20000系(2018年2月11日運行開始)

2019年度にJR東日本の東海道線と、さらに2022年度に東急線との相互乗り入れを開始する予定の相模鉄道。20000系は、東急の路線との乗り入れように用意された車両だ。

 

「YOKOHAMA NAVY BLUE」と名付けられた紺色塗装。これまでの車両にはない個性的な正面デザインを採り入れている。まさに新時代に賭ける相模鉄道の意気込みを伝える車両となっている。

 

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◆小田急電鉄70000形GSE(2018年3月17日営業開始)

小田急電鉄の看板列車である「ロマンスカー」。70000形GSEは、60000形MSE登場以来、ちょうど10年ぶりの新車として登場した。車両の前後に展望席がある車両は50000形VSE以来、13年ぶりの新車登場となった。

 

最新車両らしく車内限定の「Romancecar Link」を導入。展望席に乗らなくとも、展望シーンが楽しめる展望ライブカメラ映像や、現在地マップ、沿線の観光情報などを、スマホやタブレット端末で楽しむことができる。2018年に登場した新車の中で最も注目度が高い車両となった。

 

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◆とさでん交通3000形(2018年3月27日運行開始)

高知市内を走る軌道線・とさでん交通の新車3000形。愛称はハートラムⅡだ。とさでん交通としては、2002年に導入した100形(愛称ハートラム)以来の新車導入となった。乗り降りがラクな超低床形車両で、低床車両の100形とともに、運行時刻がホームページに掲載されている。

 

◆東急電鉄2020系(2018年3月28日運行開始)

2020系は東急田園都市線用の新型車両。同路線では5000系投入以来、16年ぶりの新車導入となった。

 

車両は丸みを帯びた「やわらかみのある顔」が特徴だ。田園都市線では1975(昭和50)年に生まれた8500系が今も主力車両となっているが、2020系の登場で、この8500系、8590系といった昭和生まれの車両は徐々に減っていくことになりそうだ。

 

この2020系と同じ日に導入されたのが大井町線用の6020系。おもな仕様は2020系とほぼ同じだが、田園都市線を走る2020系が10両編成であるのに対して、6020系は7両編成となっている。

 

さらに秋からは6020系にオレンジ色の車両が1両のみ連結されるようになった。「Q SEAT」と名付けられた有料座席指定サービス用の車両で、同サービスは12月14日から実施されている(詳細後述)。

 

◆都営浅草線5500形(2018年6月30日運行開始)

5500系は都営浅草線用の新車。浅草線の5300形が走り始めてから30年近いことから置き換え用に投入された。

 

車両デザインは歌舞伎独特の化粧法である隈取(くまどり)をイメージしたもの。側面の乗降ドアも個性的なデザインとなっている。相互乗り入れを行う京浜急行本線や、京成線、北総線もすでに走り始めている。

 

2021年度までに27編成を導入の予定で、既存の5300形すべてがここ数年の間に入れ替わる予定だ。

 

◆大阪モノレール3000系(2018年10月21日運行開始)

大阪市周辺をほぼ半周するように路線が走る大阪モノレール(大阪高速鉄道)。日本一の路線距離を誇るモノレール路線でもある。これまで1000系と2000系が走っていたが、1000系がすでに導入してから20年以上の歳月が経つことから、置き換え用に新車3000系が導入された。

 

丸みを帯びた正面のデザイン。運転席後ろにキッズスペースを用意、幼児が運転士の背中越しに前面展望が楽しめるように、踏み台部分を高くするなどの細かい工夫が取り入れられている。

 

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