【八高線を走る車両】同路線独自の209系電車も走っている
八高線を走る車両をここで紹介しておこう。高麗川駅(こまがわえき)を境にして八王子駅方面へは電車が、高崎方面へはディーゼルカーが走っている。電車の大半が川越線に乗り入れ、八王子駅〜川越駅間を通して走っている。
走る電車は209系とE231系。ディーゼルカーはキハ110系が使われている。主流となる209系だが、八高線独自の車両も走っている。
◆209系3100番台
◆E231系3000番台
八高線の電車は他の路線で使われてきた電車が多数を占める。現在は、209系3500番台や、E231系3000番台のように、中央・総武緩行線を転用・改造した車両が多い。ほか早朝と深夜のみ、拝島駅〜高麗川駅間に中央線のE233系が乗り入れている。
【八高線の沿線模様1】さて拝島駅の構内を横切る引込線は?
八高線は筆者の出身地の近くを走ることもあり、少年のころからたびたび訪れていた。そのため本人としては良く知っている路線のつもりでいた。しかし、本稿をまとめるにあたり、再訪してみると、知らないことが多かったことに気付かされた。八高線は、意外に奥深さを秘めた路線でもあった。
起点の八王子駅から八高線の旅を楽しもう。
乗車した車両はE231系3000番台。八高線では新顔の車両だ。同車両には八高線へ転用するにあたりドア横に開け閉めのボタンが新設されている。中央・総武緩行線を走っていた当時にはなかった設備だ。
八高線は乗ってみると分かるのだが、単線区間が多いため、各駅での上り下り電車の待合せが多くなる。5分程度の待ち時間は当たり前で、寒い冬や暑い夏には、開け閉めボタンが、それこそ“必須アイテム”というわけだ。
八王子駅を発車した電車は、間もなく浅川を渡る。そして次の北八王子駅に到着する。平日の朝には、この駅で乗車していたほぼ半分の人たちが下車してしまう。駅近くに北八王子工業団地があり、大手企業の研究所などがある。この工業団地に通う人たちが多いためだと思われる。
次の小宮駅を過ぎて間もなく多摩川を渡る。河川敷が広々とした多摩川、橋の上からは奥多摩の山々、そして富士山が見通せる。
JR青梅線との立体交差ポイントを通ると拝島駅(はいじまえき)の駅舎が見えてくる。この拝島駅、北口を降りるとすぐ目の前に引込線が北東へ延びている。さてこの線路は何だろう?
この路線は「米軍横田基地線」と呼ばれる。拝島駅構内で、八高線と西武拝島線の線路をまたぎ、横田基地へ向け線路が延びている。東京都福生市と羽村市、瑞穂町に広がる横田飛行場に向けてジェット機の燃料輸送を行うための路線だ。
拝島駅へはJR鶴見線の安善駅(あんぜんえき)から南武線、武蔵野線、青梅線を経由して運ばれる。このジェット機燃料輸送貨物列車は、鉄道ファンから通称「米タン(べいたん)」の名で親しまれている。この輸送に使われる引込線だった。主に火曜、木曜に行われている輸送だが、臨時列車で、同曜日に確実に走るわけではない。なかなか見ることができないレアな列車となっている。