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2019/1/14 17:30

関東平野の最西部を縦断するJR八高線 — 米軍基地に眺望がすぐれた橋、合流する他社線など見どころ満載

【八高線の沿線模様2】緊張感ただよう基地、トンネルの跡を通る

拝島駅の次の駅、東福生駅と箱根ヶ崎駅間は、八高線の中で車窓が最も気になる区間だ。

 

東福生駅を過ぎるとすぐにフェンスに覆われた異質の空間が広がる。在日米軍の横田基地だ。2012年から航空自衛隊の司令部も置かれているが、所有は在日米軍のまま。フェンスの中は、日本でありながら、日本人が入ることができない異国なのだ。

 

↑東福生駅のすぐ北側から在日米軍が管理する横田基地となる。写る線路の左側はすでに基地内、右側も数100m先から基地となる。電車はスピードを落とさず通り抜けるため、基地内をのんびり眺めるというわけにはいかない

 

このアメリカの基地内を八高線は通過している。右側も左側も基地だ。こうした米軍の基地内を通る路線は日本国内ではここだけ。非常に珍しい。さらに基地内には1か所、八高線を渡る踏切が設けられている。

 

「連合軍第3踏切」がその踏切の名前。何とも仰々しい名の踏切だが、この踏切は米軍関係者しか通ることができない。日本人は日本にありながら渡れないという不思議な踏切だ。八高線と平行して通り、八高線と同じく基地を横切る国道16号の基地の入口からも遠くに見える。ただしカメラを基地内に向けようものなら大変なことに。ゲートからすぐに係が飛び出し「撮らないでください」ときつく言われる。

 

横田基地は常にそんなピリピリしたムードが漂う異質の空間でもある。

 

↑東福生駅〜箱根ケ崎駅間にある旧横田トンネル。壁が線路の両側にそそり立つ。滑走路の延長線上に設けられた施設で、電化される前までは天井が取り付けられていた。箱根ケ崎駅側の出口には横田トンネルという表示も残っている(写真左側)

 

横田飛行場を右手に眺めつつ走る八高線。その先にコンクリートの壁が100mほど続く場所がある。横田トンネルと呼ばれるトンネルがあったところ。滑走路の先にあり、滑走路の延長工事に備え、また上空を飛ぶ飛行機が夜間飛行する際に列車の光が邪魔にならないようにトンネルが設けられた。

 

非電化の時代にはトンネルだったものの、同区間の電化工事するにあたって天井が低く、架線工事に支障があったことから、天井部分のみ取り外された。ちなみに、八高線は丘陵を多く走っているが、珍しいことに全線にわたりトンネルはない。この横田トンネルは、かつて八高線唯一のトンネルだった。

 

 

【八高線の沿線模様3】埼玉県に入り茶所の狭山丘陵を走る

箱根ヶ崎が東京都最後の駅で、この先は埼玉県へ入る。圏央道の越えると左右に畑地が広がる。茶畑も多い。狭山丘陵の西端にあたるこの地域は、狭山茶の産地としても名高い。

 

埼玉県の最初の駅、金子駅に近づく手前に八高線の最高所がある。最高所といっても標高158m。関東平野をひたすら走る八高線ならではの特徴でもある。最高所は低いものの、金子駅〜東飯能駅間に広がる加治丘陵(かじきゅうりょう)、東飯能駅〜高麗川駅間にある鹿山峠など勾配20パーミルのアップダウンがあり、風景の変化が楽しめることも、八高線の魅力となっている。

↑金子駅近くの八高線最高所付近を走る209系3000番台電車。付近は畑地や茶畑が広がっている。このあたりは狭山茶の産地としても名高い

 

↑河岸段丘のような形状となった加治丘陵の北側に入間川が流れる。高い位置に橋が架けられることもあり、橋の上から見る眺望が素晴らしい。この先(左側)で西武池袋線をまたぎ東飯能駅へ電車は走る

 

途中、東飯能駅で西武秩父線と合流し、その一つ先の高麗川駅で川越線と分岐する。八王子駅〜高麗川駅間の列車はほぼ30分間隔で運転。高麗川駅から先は朝夕をのぞき1時間〜1時間30分間隔と列車は大幅に減る。事前に時間を確認した方が賢明だ。連絡が良い電車を選べば高麗川駅での乗継ぎもたやすい。

 

ただし、八王子方面からの列車は大概が3番線ホームに到着。八高線の高崎方面行きは2番線ホームで、跨線橋、もしくは連絡地下道を使っての移動が必要となる。

 

↑八高線と川越線の分岐駅、高麗川駅。川越駅行きの電車は右側の3番線から、八王子駅行きの電車は左ホームの1番線から発車することが多い。一方、八高線の高崎駅行き列車は2番線から発車する。手前の川越行き電車は八高線の線路を平面交差して川越線へ入る
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