スマホ予約で迎車? ロボット犬が荷物を運ぶ? 驚きの提案も続々
自動車メーカーに部品を供給するサプライヤーも様々なMaaSを意識した車両を展示をしていました。
パナソニックが展示していたのは、自動運転機能を備えたEV「SPACe_C」です。前回のCESから電動パワーユニットの出力を高めて小型化し、スペース効率を大幅に高めたタイプを出展。シャシーとボディを分離でき、必要に応じて載せ替えられるコンセプトはほかと同様です。
今回の展示では野菜が入った冷蔵ケースを出展し、スーパーや病院などで利用できることを想定するなど、自動運転で展開される先のサービスまで踏まえた展示に注目が集まっていました。
ハーマン・インターナショナルのプライベートエリアでも「リンスピード」が同様のコンセプト「マイクロ スナップ」の出展を行っていましたが、注目はそのデザインの良さです。
スイス生まれのエンジニアリング会社の同社は、ハーマン・インターナショナルの傘下に入ってからも斬新なコンセプトカーを発表してきました。今回は昨年出品したボディを載せ替えられるという「スナップ」の基本コンセプトを踏襲しながら、大幅に小型化してシャシーとボディを同時充電する機能も追加。これにより、ボディ単体での利用も可能となり、移動オフィスとしても使えるとのことでした。
ボッシュもMaaS対応の自動運転車「Shuttle Mobility」を出展しました。そのイメージコンセプトは動画を見ていただくとすぐにわかります。
スマートフォンから予約すると、指定場所までシャトルが自動的に迎えに来てくれます。乗車時は本人確認を行うので目的地が違う人が乗ることもありません。仮に同じ方面に向かう人がいた場合は乗員の許可を取って乗り合いすることで料金を定額化することも可能になるのです。
また、充電もシャトルは必要に応じて自動的にスポットへ向かいます。ボッシュは世界最大のサプライヤーでもあり、プレスカンファレンスではその実現へ向けてすべて自前でできるというのも大きな強みになっているとも話していました。
そして、プレスカンファレンスで意表を突かれたのが同じサプライヤーのコンチネンタルでした。無人運転のシャトルを使うコンセプトは同じなのですが、ある一定のエリアに到達すると車内からロボット犬が飛び出し、最終目的地まで荷物を運んでくれるというわけです。
無人でモノを運んだ場合、届けたものの、どうやって玄関先まで運ぶかが大きな課題となります。コンチネンタルはこのロボット犬でその役割を果たすというわけです。コミカルな動きは会場でも大きな人気を呼んでいました。次の動画でもその様子をご確認いただけます。
より低コストでMaaSシャトルの実現を目指したのが日本のヤマハです。同社はゴルフカートで世界ナンバーワンのシェアを持っており、そのノウハウを生かして、実現間近なシャトル「Public Personal Mobility」をCES会場で実際に走らせていました。
誘導は路面に設置した電磁ワイヤを使い、センシングはフロントに装着したステレオカメラのみ。技術的にはすでに工場やゴルフ場などで実用化され、石川県輪島市でも実証実験を行った結果生まれたもの。これに専用アプリ「AI車掌」によって乗員の認証を行って目的地へと運びます。走行中は乗員のジェスチャーによって出発・停止をコントロール。まさに身近な技術で自動運転を実現するデモだったと言えるでしょう。
今回出展されたものはすべてコンセプトに基づくもので、実際に実現されるかどうかはいまの段階では何とも言えません。しかし、自動運転をどうすれば実用化できるか、どうすれば社会に受け入れられるのか、その辺りを各社が真剣に考え始めたことを今回の展示では実感することができました。自動運転は身近な部分からスタートしていき、気がつけば自動運転の恩恵にあずかっていた。そんな時期がもうすぐ来るのかもしれません。