【注目はここ!⑫】ライバルだったバス会社と連携を図るJR四国
JR四国では徳島県内を走る牟岐線(むぎせん)でライバルだったバス会社と連携を図り、利用者の利便性を高める動きが見られ注目される。
牟岐線ではまず徳島駅〜阿南駅(あなんえき)間の列車を8便増やして利用しやすくなる。さらに日中に走る列車は、例えば徳島駅発が0分と30分というようにように時刻をパターン化、覚えやすくなる。
とはいえ、利用者の減少が著しい阿南駅から先の状況は厳しい。徳島駅〜牟岐駅(むぎえき)間を走る特急「むろと」は3往復から1往復に減便される。阿南駅〜海部駅(かいふえき)間を走る普通列車は7本の減便、また運転区間が短縮される。
そこで牟岐線の阿南駅〜海部駅間では列車と、平行して走る徳島バスとの乗継ぎを密にしようというのだ。不便になる区間の運行を補完してもらうべく今回、徳島バスの協力をあおいだ。牟岐線の阿南駅、牟岐駅などで、列車から高速バスへ乗継ぎしやすい時刻に設定されている。
今回の鉄道とバス路線の連携。四国経済連合会の呼びかけで開かれた「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇親会Ⅱ」の提言に合わせて導入された一つの方策でもある。鉄道やバスといった地方の公共交通機関が人口の減少で窮地に陥りつつある。そうした状況のなかで、高速バスを途中で乗換えてまで鉄道を利用するかどうか、ちょっと疑問にも感じる。
さらに海部駅から先、第三セクター経営の阿佐海岸鉄道が高知県の甲浦駅(かんのうらえき)まで走っている。同鉄道では2020年からJR北海道が開発したDMV(デュアル・モード・ビークル)を3台導入して、走らせる予定だ。列車として線路を走りつつ、線路の無い先の区間はバスとしても運行させようという試みだ。こうした阿佐海岸鉄道を含めて牟岐線を取り巻く状況が、今後どのように推移していくのか気になるところだ。
【注目はここ!⑬】香椎線に新型蓄電池電車が導入される
JR九州で最も注目されているのが香椎線(かしいせん)の車両の変更だろう。九州一の大都市でもある福岡市の近郊路線ながら、長年、非電化路線だった香椎線。非常に鉄道ファンとしては興味深い路線でもあった。
そのあたりの状況を本サイトでも紹介した。
かつては同じ会社の路線だった – 数奇な運命をたどった2路線を巡る旅【香椎線編】
これまで国鉄時代生まれのディーゼルカー、キハ40系の天下だった香椎線に3月16日から近代的なハイテク電車が走り始める。
導入されるのは819系蓄電池電車で、「DENCHA(デンチャ)」の愛称が付く。香椎線と鹿児島本線の接続駅である香椎駅構内に集電装置を設置。ここで集電した電気を蓄電池にため、非電化区間である香椎線の西戸崎駅〜香椎駅〜宇美駅(うみえき)間を走らせる。
やはりディーゼルカーよりも電車の身軽だ。よって西戸崎駅〜香椎駅間は平均2分の短縮、また香椎駅〜宇美駅間は平均で3分の短縮となる。電車の威力を見せつけられる時間短縮となりそうだ。
JR九州では他に工事が進められていた折尾駅の改良工事のうち、若松線(筑豊本線)の新ホームが高架化が完成する。新駅舎の完成は2023年ごろになる予定だが、駅の開業が1891(明治24)年とJR九州の中でも老舗の駅。どのように変っていくか気になるところだ。
【注目はここ!⑭】三陸鉄道久慈駅〜盛駅間を直通する列車も登場
最後は岩手県を走る第三セクター鉄道・三陸鉄道のダイヤ改正の話題を見ていこう。
東日本大震災により大きく傷ついた三陸海岸の鉄道網だが、元JR山田線の釜石駅〜宮古駅間が8年の歳月を経て3月23日に復旧される。同時に、この区間は三陸鉄道に運営が移管されることなる。
これまで三陸鉄道は南リアス線(釜石駅〜盛駅・さかりえき)と、北リアス線(久慈駅〜宮古駅間)に分かれて営業してきたが、釜石駅〜宮古駅間が結ばれることから、総距離163kmの「リアス線」と路線名を改める。それと同時にダイヤ改正が行われる。
注目は163kmを通して走る直通列車だ。時刻表を見ると久慈駅発、盛駅行きの上り列車は日に3本、盛駅発、久慈駅行きの下り列車は2本の直通列車が走る。所要時間は4時間21分〜38分となり、“乗り甲斐”のある列車となりそうだ。
合わせて盛駅〜釜石駅間、釜石駅〜宮古駅間、宮古駅〜久慈駅間を走る列車も運行され、平均して1〜2時間に1本の割合で列車が運行されることになる。
東日本大震災により大きな痛手を受けた三陸沿岸。ようやくその痛手から立ち直りつつあることを象徴するような三陸鉄道リアス線の全線開業。半日かけてでも、じっくり乗り巡りたい路線が誕生したことを歓迎したい。
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