【再発見の旅①】御殿場駅をピークに急に登って下る路線
さて御殿場線の旅を始めることにしよう。
まず路線各駅の標高図を見ていただきたい。起点の国府津駅と終点の沼津駅ともに海が近いこともあり、標高が低い。一方、路線のピークとなる御殿場駅は標高が455mもある。
路線距離60.2kmのうち、国府津駅〜御殿場駅間は35.5km。沼津駅〜御殿場駅間は24.7km。この距離で徐々に標高をあげているわけではなく、標高107mの山北駅、反対側は標高123mの裾野駅から共に4駅の間に一気に登っている。
実際に列車に乗っていても、山北駅と御殿場駅との間。御殿場駅と裾野駅の間が非常に険しいことがわかる。
同じように険しい区間なのだが、山北駅〜御殿場駅間と、御殿場駅〜裾野駅間では、路線の造りががらりと異なる。このあたりの変化が御殿場線の最もおもしろいところだろう。
山北駅〜駿河小山駅間はトンネルと橋梁が多い。一方の南御殿場駅〜裾野駅間は富士山のすそ野という趣が強く、かつては急傾斜区間にスイッチバックを複数設けて勾配を緩める工夫をして、列車を上り下りさせた。
【再発見の旅②】国府津駅ごしに美しい相模湾を望む
起点駅となるのは国府津駅。ここでの乗換えは東海道本線からホームを移動すれば良い。乗換えもラクだが、JR東日本の路線から御殿場線へは交通系ICカードが通して使えない。
ICカードを利用すると、御殿場線内の降りる駅で清算が必要になる。無人駅では清算ができない。ワンマン運転の列車を利用するとさらに手間がかかる。JR東日本の駅から訪れる場合には、目指す駅まで通しての切符を購入するか、また国府津駅で改札をいったん出て切符を買い直したほうが賢明かも知れない。
御殿場線の列車は、ほぼ30分〜1時間間隔で発車している。筆者は待ち時間を利用して、まず相模湾が見える駅近くのポイントを訪れた。
駅を出て国道1号を渡り、海岸へ下れば、すぐに国府津海岸へ出ることができる。近いのが良い。だが、海岸上を西湘バイパスという有料道路が通っているために雰囲気はいまひとつ。
「面白みに欠けるな」と思いつつ、駅の裏側を見ると、駅の裏手がすぐに丘となっている。あそこはもしやして景色が良いのでは。
ということで登ったのが上の写真。国府津駅を一望でき、さらに相模湾と三浦半島が望めた。逆側を見ると御殿場線を眼下に望み、その先には小田原の市街と伊豆半島、伊豆大島などの大パノラマを眺めることができた。
【再発見の旅③】足柄平野の大眺望と鉄道諸施設を見てまわる
いよいよ御殿場線に乗って、国府津駅から松田駅を目指す。国府津駅からは東海道本線と分かれ、右に大きくカーブする。最初の駅、下曽我駅までの間には、左側にJR東日本の国府津車両センターが広がる。ここには東海道本線で活躍中のE231系はE233系、珍しい2階建て構造の205系が留められている。
曽我梅林が近くにある下曽我駅から相模金子駅までは、ほぼまっすぐ。足柄平野を一気に駆ける。酒匂川(さかわがわ)の支流、川音川を渡れば松田駅だ。
この松田駅、ホームが異様に長い。2・3番線の端に南口駅舎があり、駅を出ると小田急小田原線の新松田駅の目の前に出る。一方のホームの北端、跨線橋を渡った1番線ホームに北口駅舎がある。北口と南口の出口がかなり離れている。知らないで違う口に出てしまうと、厄介なことになるので注意したい。
松田駅の先、御殿場線の線路に沿って引込線の跡が残っている。調べるとかつて酒匂川まで、引込線があった。酒匂川の河原で砂利を採取、引込線を利用して運び出していた。松田駅の構内には当時のホッパー施設の遺構が残っている。
この松田駅、足柄平野の北の端にあたる。駅のすぐ北側には丹沢山地の最南部、松田山がそびえる。駅からも展望台らしき建物が確認できる。前々から気になっていたこともあり、駅を降りた機会に立ち寄ってみた。
駅から歩くこと約15分。近いが標高差があるので結構きつい。松田山ハーブガーデンの入口に到着。ここからはさらに急な登り道に。1合目、2合目と息を切らしつつ登って行く。
後ろを振り返ると…まさに絶景! 足柄平野そして相模湾が遠くに光っている。登る大変さもこの眺望を見ると吹き飛んでしまうかのようだ。
松田山ハーブガーデン(西平畑公園)は早春ともなると斜面の河津桜、そして菜の花が満開となり見事だ。ちなみに今年の桜まつりは2月9日〜3月10日に開催されている。同期間は松田駅前からバスが運行されている。園内を巡る1/6スケールの「ふるさと鉄道」も運転され、親子づれで賑わう(土曜・日祝10時35分〜15時35分/冬期休)。