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2019/5/16 22:00

アウディTTが誕生したのは1998年のこと。それから20年が経ち、

「アウディTT」と言えば、アウディらしいシャープで先進的なデザインを持つ2ドアクーペとして根強い人気を集めているクルマだ。そのアウディTTが誕生したのは1998年のこと。それから20年が経ち、それを記念した限定車『Audi TT 20years』が2018年に誕生。この度、ようやく日本でも発売されることになった。本記事では、歴代モデルやコンセプトのスケッチ画像なども合わせてTTを紹介していこう。

↑Audi TTの20周年を記念して発売される限定車『Audi TT 20years』

 

歴代TT、TTの源流をギャラリー形式でまずは紹介

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20周年モデルの中身は?

アウディジャパンのフィリップ・ノアック社長はアウディTTの20年の歴史を振り返り、「アウディTTはコンセプトカーをベースに誕生し、円をモチーフに直線と組み合わせたシンプルで先進的なスタイリングは当時の自動車デザインに大きな衝撃を与えた」とし、そのデザインは「世界的に有名なドイツの造形芸術学校、Bauhaus(バウハウス)のデザイン思想を彷彿させるものとして、今もなお語り継がれている」と説明。

↑『Audi TT 20years』をはじめ、新型Audi TTの説明をするアウディジャパンのフィリップ・ノアック社長

 

そのアウディTTは「3世代にわたって進化を続けており、これまでに世界で65万台を販売。究極のデザインアイコンとしてだけでなく、ピュアスポーツのDNAを宿すモデルとして今後もサクセスストリーを歩んでいく」(ノアック社長)とした。そうした背景の下、誕生したのが限定車『Audi TT 20years』というわけである。

↑ボディサイドに貼られた限定車『Audi TT 20years』のロゴマーク

 

この限定車は単なる特別仕様車ではない。全世界で999台しか作られず、日本に割り当てられたのはわずか20台!  それを証明するものとして、センターコンソールにあるエンジンスタートボタンの脇にはシリアルナンバーを刻印したバッジを装備する。これが限定であることを否応なしに実感させてくれるのだ。

↑エンジンスタートボタンの脇にはシリアルナンバーを刻印したバッジを装備

 

それだけに装備の充実度も半端ではない。ベース車は「TTクーペ 45TFSIクワトロ」。それにコンフォートパッケージをはじめ、B&Oサウンドシステム、マトリクスLEDヘッドライト、マグネティックライドなどを標準装備。インテリアではシートやステアリングなどに専用のイエロー コントラスト ステッチを施したモカシンブラウンのファインナッパレザーを採用する。また、ステアリングホイールとシフトノブには ”TT 20 years”エンブレムが貼られる。

↑エンジンはターボ付き2L 直噴ガソリンで、最大出力230PS/最大トルク370Nmを発揮する

 

↑シートやステアリングなどには、イエローのステッチを施したモカシンブラウンのファインナッパレザーを採用

 

エクステリアで見逃せないのは、テールランプにマトリクスOLED(有機EL)を採用したことだ。テールランプで一般的なLEDが点で発光するのに対し、有機ELでは面全体が均等に発光する。しかもOLEDの特徴を活かして曲面での表現も実現しており、これが三次元の階層に分かれた特徴的な発光パターンの演出につながっているのだ。実は量産車としてはアウディTTが初採用というのも興味深い。

↑テールランプには面全体が均等に発光するマトリクスOLED(有機EL)を採用した

 

↑R8のエッセンスを取り入れた立体的な3Dハニカムメッシュグリルを採用

 

ホイールはガンメタルエフェクトペイントを施した19インチサイズを装着し、ボディカラーは専用色のアローグレーのみが設定された。これだけの装備をして価格は759万円!6月10日より全国のアウディ正規ディーラーで発売がスタートするが、売り切れ必至の限定車とみて間違いないだろう。

↑限定車『Audi TT 20years』のボディカラーは専用のアローグレーのみが用意される

なお、これを機にアウディTTは大幅なマイナーチェンジを行い、FFモデルのエンジンを変更して全モデルのエンジンがターボ付き2L 直噴ガソリンとなった。これにより、FFのエントリーモデルである「TTクーペ 40 TFSI」のパワースペックは従来比で+17ps/+70Nmの197ps/320Nmへと大幅にアップすることとなった。

 

また、スタンダードモデルのエクステリアは、従来の「Sライン エクステリア」のデザインを採用して、バンパーやサイドスカートなどスポイラー系のデザインを変更。また、シングルフレームグリルはR8のエッセンスを取り入れ、マットブラックペイントの立体的な3Dハニカムメッシュグリルを採用し、よりスポーティな印象を高めている。

 

インテリアではオプションのスタイルパッケージ(40 TFSI)やコンフォートパッケージ(45 TFSI クワトロ)に、従来Sライン パッケージ装着車のみの設定だった、エクステンデッドアルミニウムルックインテリア(ウインドウスイッチ/ペダル)を新設定。レザーパッケージにはドアアームレストやセンターコンソールが同色となるカラーエクステンデッドレザーを新採用した。

 

スタンダードモデルの価格は、TT クーペ 40 TFSI(FF)/479万円、TT クーペ 45 TFSI クワトロ(4WD)/599万円、TTロードスター 45 TFSI クワトロ(4WD)/615万円、TTSクーペ(4WD)/799万円。

↑シリーズ中、最上位となるTTSクーペ。前後バンパーやサイドスカートなどにシルバー加飾が追加された
↑TTSクーペの運転席回り。アルカンターラ/レザーの「S スポーツシート」を標準装備する

 

ノアック社長はTTシリーズの誕生20周年の話題に加えて、2019年がドイツの造形学校「バウハウス」の設立100周年にあたることも報告。デザインをことのほか重視してきたアウディジャパンとしても、その記念行事である「bauhaus100 japan」プロジェクトに協賛すると発表した。会場にはプロジェクトの代表として武蔵野美術大学の名誉教授 柏木博氏が来場。柏木氏によるプロジェクトについてのプレゼンテーションが行われた。

 

↑プロジェクトの代表である武蔵野美術大学の名誉教授 柏木博氏がバウハウス設立100周年の巡回展について説明した

 

バウハウスは建築や美術を教えていた戦前のドイツにあった教育施設のこと。1919年に設立され、ナチスの台頭によって1933年に閉鎖されている。その短い活動期間にも関わらず、各領域の巨匠が関わって先進的な教育を行っていたことで知られ、今もなお美術や建築の世界で大きな影響力を残しているとされる。

↑バウハウス設立100周年を記念して実施する巡回展は、新潟/西宮/高松/静岡/東京の全国5カ所で開催される

 

柏木氏はその中で、「バウハウスは活動した期間はわずか十数年でしかなかったが、その後のデザインに関する基礎を築き上げた」と紹介。「そのデザインの素晴らしさを100周年を記念して実施する巡回展にぜひ注目して欲しい」と説明した。中でもTTシリーズのデザインについて、「TTシリーズはバウハウスが築き上げたデザイン哲学と類似性があり、一目見てボディの特徴がつかめるデザインとなっている。その意味で、TTシリーズはバウハウス的な理念に基づいてデザインされていると言ってもいい」と評した。

 

この他、発表会場には誕生20周年を記念して、1999年に日本で初めて導入された初代と、2代目のTTも展示され、注目を浴びていた。