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2019/6/1 17:30

花と山景色と最古の鉄道遺産が旅人を出迎える「山形鉄道」10の疑問

【長井線の疑問⑤】今泉駅からは米坂線・長井線どちらが便利?

木造駅舎が名物の西大塚駅(詳細後述)の次の駅が今泉駅。ここでJR米坂線(よねさかせん)と合流する。

 

長井線の沿線で赤湯駅を除き唯一、4番線ホームまである駅で両線の列車が接続する時には、乗り換え客が行き交う。それ以外は閑散としてしまう田んぼの中の静かな駅だった。

↑今泉駅はフラワー長井線とJR米坂線の乗換駅。とはいうものの駅の入口には山形鉄道の表示は無かった。駅業務はJR東日本で行っている

 

今泉駅からは長井線を使えば赤湯駅へ、JR米坂線に乗車すれば米沢駅へ出ることができる。地元に住む人たちはどちらの路線を使うことが多いのだろうか?

 

乗車時間は赤湯駅まで長井線で約20分。米沢駅までは米坂線がぐるりと遠回りしているため約30分かかる。

 

米坂線は朝夕を除いて列車が4時間近く、走らない時間帯があり(土・休日を除く)、長井線の沿線から東京方面へ向かう場合は、米坂線に乗換えずに、赤湯駅経由で新幹線に乗換える利用者が多いようだった。赤湯駅では新幹線への乗継ぎも便利なように長井線の時刻も設定されている。

 

さらに山形駅、新庄駅方面へは赤湯駅経由の方が運賃が安いことも長井線の一つの魅力にもなっている。

 

 

【長井線の疑問⑥】JR米坂線との共用区間が1.8kmほど続くが

今泉駅を出てから間もなく、鉄道好きにはちょっと気になる区間を通る。JR米坂線と長井線の線路が合流して、しばらくの間、両線が共用する単線区間を走るのだ。

 

具体的には今泉駅を出て、白川橋梁を渡り、その先の白川信号場までの1.8kmがJR米坂線と長井線の共用区間となっている。

↑今泉駅〜時庭駅(ときにわえき)間にある漆川踏切。同区間は単線でJR米坂線と長井線が線路を共用して運行させている。踏切名には「米坂線」とあり「フラワー長井線」という路線名は記されていなかった

 

↑白川橋梁を渡る長井線の列車。左上の写真のようにJR米坂線の列車も同じ線路を使っていることがわかる。同橋梁付近は朝日山地、飯豊連峰などの山景色が楽しめる

 

今泉駅〜白川信号場間の2社の共用区間。かつては同じ国鉄の路線だったわけで、こうした共用も不思議でないところ。ましてや、新線を造るほどの列車本数が多い区間でないだけに、このような区間が残っているわけだ。

 

とはいえ、共用区間の弊害もないわけではない。ちょうど目にしたのは次のような現象。米坂線の列車が10分ほど遅れ。そのために長井線の列車の時刻も調整され、10分ほどの出発時間の遅れが生じていた。

 

逆に長井線の列車が遅れて、米坂線の列車がそれに付きあう、ということももちろんあるのだろう。のんびりしたローカル線ならではの光景を目にすることとなった。

 

 

【長井線の疑問⑦】大正生まれの古風な駅舎が残る駅は?

長井線の駅は第三セクター鉄道となり、徐々に各駅の駅舎の改修が進められている。とはいえまだ古い駅舎がいくつか残っている。鉄道ファンにとってはうれしい状況だ。

 

3駅ほど例をあげよう。まずは西大塚駅だ。西大塚駅には国鉄標準形とも称される木造駅舎が残っている。素朴な建物で何とも味がある。

↑最上川にも近い西大塚駅。路線開業当初の木造駅舎が残る。ホーム一つで駅のすぐ横を通る道から列車とともに駅舎の写真が撮影可能だ

 

今泉駅から4つめの長井駅の駅舎も味わい深い。開業当初の駅ではなく1969(昭和11)年に建て替えられた駅舎で、昭和レトロの趣が香る。昭和初期の建築らしい重厚かつ細かく造られたその構造が興味深い。

↑ホーム側から見た長井駅。東北の駅百選に選ばれている。駅舎内にはギャラリーや図書館がある。また売店も設けられる。長井市は最上川舟運で栄えた町でもある

 

長井駅から2つ先の羽前成田駅も古風だ。路線開業当時の木造駅舎が残っている。国鉄標準形と呼ばれる造りの駅舎は今やお宝といった趣だ。徐々に減りつつある古い駅舎だが、今後もできれば残していただきたいと願うのみである。

↑木造の駅舎が残る羽前成田駅。改札口をはじめ、すべてに歴史を感じさせる造りだ。雪が多い地域だけに維持管理が大変だろうが、何とか今後も残ってくれればと思う

 

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