乗り物
2019/10/18 21:00

「布」でクルマが本当に止まるの?ノルウェーからやってきた古くて新しい滑り止めチェーン「オートソック」の実力

手軽に脱着ができ、持ち運びにも便利な布製タイヤチェーンとして口コミでも評判の「オートソック」。ノルウェーのオートソック・オペレーション社が開発し、昨年12月に国土交通省が定めたチェーン規制にも適合したことでその人気は急上昇。このほど一部メディア向けにオートソックの説明会が開催され、その模様をレポートします。

↑北欧ノルウェーで誕生した「AutoSock」は布製ならではの特徴を活かしたチェーン規制にも対応

 

この布製チェーン、本当に簡単装着できるんです!

日本の多くの地域では冬になれば雪が降ります。降雪地帯の人なら迷うことなくスタッドレスタイヤを装着するのでしょうけど、非積雪地域に住むユーザーにとっては「たまに降る雪のためにスタッドレスタイヤを履くことまでは……」と思っている人も少なくないでしょう。かといって、タイヤチェーンは装着に手間がかかる上に外すにもそれなりの労力を必要とします。簡単をウリにしているゴム製チェーンも説明書を読みながら悪戦苦闘してやっと装着、なんてことも私自身が経験しています。何か良い方法はないか……そんな想いを抱いている人に最適なのがこのオートソックなのです。

↑AutoSockの説明会は東京・麻布にあるノルウェー大使館で開催

 

↑説明会では日産のEV「リーフ」に装着してデモを行いました

 

オートソックはそんなチェーン装着の苦労を一挙解決しようとノルウェーで1998年で誕生しました。その最大の特徴は素材が特殊なポリエステル系の布でできていることです。そのため左右の両輪用合わせても重さは1kg未満。スチール製タイヤチェーンとは比べものにならないほど超軽量を実現しています。しかも、装着はタイヤを袋で被せるようにするだけという簡単さ。タイヤ全体を覆うためにタイヤを少しだけ回転させる必要はありますが、サイズさえ大きく違っていなければ特に締め付けることも不要です。初めての装着でも左右合わせて5分もあれば間違いなく装着できるでしょう。

↑AutoSockはボード・ロートベイト氏によって発明され、1998年にオートソック社を設立

 

何よりも驚かされるのは、その装着で多少のズレがあっても走行しているうちに、独りでに正しい位置にセンタリングされることです。この日もわざとずらした状態で装着し、近所を一回りするとそれだけで正しい位置に装着し直されていました。立ち会った報道関係者からは「目が届かないところで補正してきたんじゃないか?」といったジョークが飛び出したほど。この簡単さなら、女性の力でも十分に扱えそうです。このイージーさは初心者だけでなく、高齢者にとっても間違いなくありがたい存在となるでしょう。

↑2001年に欧州市場で展開し、2003年には日本でも発売を開始

 

では肝心の雪道での効果はどうなのでしょうか。残念ながら説明会当日は降雪はまったく期待できない10月初旬。そこで、開発者や体験者の説明でその効果を理解することとなりました。

↑降雪地である大半の国々でオートソックは発売されています

 

説明によれば、オートソックは素材を特殊なポリエステル系の布としています。オートソックを手にすると、見た目はツルツルとした繊維となっており、一見しただけではこれがチェーン代わりになるとは、とても思えません。しかし、布製であるだけに表面は細かな織り込みで構成されており、これが滑りの原因となる水を吸収してくれるというのです。これはスタッドレスタイヤが撥水と吸水によってグリップするのを同じ理屈なんだそうです。しかも、オートソックを使っていると布製だけに毛羽立ちが発生し、これが劣化なのかと思いきやそうではなく、むしろ吸水性を高めることにつながるとのことでした。

↑店頭に置かれるAutoSockの販売用什器

 

↑AutoSpckは2007年よりトラック用としても発売が開始されました

 

布製であることでメリットは他にもありました。オートソックは薄い布製でできていることもあり、装着してもタイヤ径はほとんど変化しません。そのため、デザインを重視してタイヤとホイールハウスのスペースが狭くなっている最近のクルマにも装着が可能なほか、径が変わらないことにより横滑り防止装置「ESC」をOFFにする必要がないというメリットも生み出しています。これは安全上の観点でも大きなポイントとなります。また、スチール製タイヤチェーンと違ってホイールを傷つける心配がないのも嬉しいですね。

↑NEXCO東日本/中日本でも布製カバータイプをタイヤチェーンの一つとして認定

 

では布製であるオートソックスの耐久性はどのぐらいなのでしょうか。開発者によれば「雪上での推奨速度域は50km/hまでで、試験では150kmを走っても使い方によっては200km程度は走行可能」とのこと。布製だけに雪のないところでもそのまま走ってしまいそうですが、体験者の話では「乾燥路でも50km程度は十分耐えて走ってくれた」そうです。また、「オーストラリアの試験条件に舗装路を100km以上走行した後でも効果を維持できないとダメというのがあり、それを満足させているので大丈夫」(開発者)とも話していました。加えて、布製であることで汚れたら洗濯機で洗うこともできるという点も見逃せません。洗った後は十分に乾かせば繰り返し何度でも使えるとのことでした。

↑2018年12月、国土交通省のチェーン規制の再定義により、アラミド系布製カバータイプが対象となりました

 

そして重要なのはオートソックは国土交通省が昨年12月に再定義した「チェーン規制」適合商品として布製カバータイプが認定されたことで、普及と販売増が見込まれている製品というわけです。つまり、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪時には、スタッドレスタイヤを履いていてもタイヤチェーンの装着が求められますが、オートソックならそんな非常時のタイヤチェーンとして役立てることができるのです。価格はサイズやショップによっても違いますが、6500円~1万5000円程度とのこと。オートバックスやイエローハット、JAFの通販などで販売されています。

↑JAFロードサービス隊も救援現場で活用していると言います

 

ちなみに世の中には布製タイヤチェーンを名乗る製品が他にもありますが、オートソックは純正にも採用されているだけに品質面では自信があると関係者は言います。確かにこの取り付けの簡単さは他の製品ではあり得ないほどでした。また、布製であるが故にオートソックはトランクの隅に置いておいても大した重量増になることもありません。出掛けた先のレンタカー用としてカバンの中に入れておくのもいいでしょう。その意味でもオートソックは、非降雪地帯でクルマを使う人にとっても、降雪地帯でいざという時の緊急脱出用としても幅広く使える画期的な“タイヤチェーン”なのです。

↑AutoSockを純正採用しているメーカー。かつてトヨタも純正採用しており、近々再び純正採用される見通し

 

↑洗濯機で洗える素材であることを示すタグも付いていた。アイロンは不可なので注意!

 

↑説明会にはノルウェーからAutoSock社のスタッフが来日。右から発明者のボード・ロートベイト氏、製品の品質管理を担当するコンスタンティーノス・ギアヌーシス氏、営業担当のステファン・ムッヘ氏

 

布製タイヤチェーン、オートソック装着の模様はこちら。

 

【フォトギャラリー(GetNavi webにてご覧になれます)】

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