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2019/11/2 20:00

画像多めで改めて振り返る「東京モーターショー2019」の注目モデル【後編】

今回は後編として引き続き各社のブースを紹介。GetNavi web編集が注目するモデルたちを改めて振り返っていきます!

 

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巨人“トヨタ”で注目を集めた未来のMIRAI Concept

分散化された展示会場を有効に使っていたトヨタでは、青海会場では日本が誇るミニバンの最高峰となる「グランエース」を発表。高級ホテルの送迎、法人の移動車、ハイエンドユーザーの趣味車として機能する贅沢なインテリアを持ち、全長5300×全幅1970×全高1990㎜というフルサイズボディが与えられ、室内長は3290×幅1735×高さ1290㎜を実現。ホイールベースは3210㎜を確保し、余裕の室内空間を実現しました。

 

そのインテリアは贅沢さを全面に押し出した「リゾートツアーコンセプト」では、対面4座のコンパートメントはセパレーターを使えば独立した空間へと変化させることが可能。また、「ビジネスライナーコンセプト」ではシートバックにスーツを収納することができ、交互に設置された余裕のシートはビジネスクラスを思わせる仕立てに。フルサイズワゴンと言う名のリムジンは富裕層の憧れになることは間違いないです。発売時期は年内を予定。

そして、同社の情報発信基地であるMEGAWEBに展示された新型「MIRAI Concept」は、現行モデルとはデザインの方向性を一変しシンプルなスタイルへと刷新され、より現実的なモデルへと生まれ変わりました。良く言えば量産型に、悪く言えば普通になったようにも思えます。

 

しかし、その内容は先進の技術をテンコ盛りにしたもので、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)によるプラットフォームに、最新の燃料電池や水素タンクを搭載。航行距離を現在のモデルよりも30%も伸ばすことに成功し、カタログ上では約850kmへと変更されています。

乗車店員も5人乗りとなり、より現実的なFCV(燃料電池車)へと生まれ変わったのも大きなトピックです。近未来の自動車としてEVが注目を集める中で、FCVを採用した同車の存在にトヨタの志の高さを感じずにはいられません。

 

遊びの世界をサポートする“走る道具箱“に感涙!

ダイハツブースで注目したのが、遊びの世界を広げる軽クロスオーバーとして展示された「WakuWaku(ワクワク)」です。そのスタイルはまさに“走る道具箱“と思える楽しさが満載され、クルマを遊び道具として特化した思い切りの良さは大きく評価。

ボディサイズは軽自動車枠に収まるコンパクトなものですが、グリルレスのフロントや樹脂パーツをふんだんに使用したキャラクター性の高いフォルムが強烈なインパクトを放っています。インテリアはビタミンカラーのオレンジ色を主体としたポップな仕上がりとなり、二重構造のポップアップ式のルーフパネルを与えることで収納スペースを確保。

 

さらに、横開きドアと膝下部分まで開くバックドアなど、新たなチャレンジ精神が随所に盛り込まれています。コンセプトモデルとしての展示ではありましたが、このモデルが市販化されれば、アウトドアやレジャーシーンなど趣味の世界がより広がること、間違いないでしょう。

また、同社では軽トラの新たなるカタチとして「TsumuTsumu(ツムツム)」を提案。実用一辺倒であった軽トラックに新たな風を吹き込むコンセプトモデルも注目を集めていました。

 

日本のハイエンドユーザーを虜にするレクサスの挑戦

ハイブランドの象徴として諸外国の高級車と肩を並べるレクサス。そのコンセプトモデルとして登場した「LF30 Electrified」は、同社の電動化ヴィジョンを具現化しています。未来を創造するアグレッシブなデザインと自動運転をメインとする先進の技術を結集した世界観は唯一無二の存在感を放ち、新たな世界への第一歩をイメージさせる仕上がりを持っています。

インホイールモーターを採用し、110kwhのバッテリーによりWLTP航続距離として500kmを目指しているといいます。また、ショーファーモード(自動運転)とガーディアンモード(高度安全運転支援)を有した、最新の自動運転支援機能とともに、自動駐車機能、自動運転迎車機能を搭載。

今回のTMSでは華やかなコンセプトモデルが少なかったこともあり、同社は近未来を予感させるスタイルがより際立って見えました。開口部を大きく取ったフロントセクション、天を突くように開閉するガルウイングドア、センター部分を突起させたリアエンドなど、夢と希望を感じさせるデザインに未来に期待するレクサスの強い思いが込められていますね。

 

王者メルセデスが最強のEVモデルを出展!

ドイツの雄、メルセデス・ベンツのブースでは最強のEVモデルと噂される「VISION EQS」が披露。そのスタイルは直線的なライバルモデルとは異なり、柔らかなカーブを描く曲線で構成されエレガントな雰囲気を醸し出しています。次世代のSクラスと噂されるように堂々とした体躯は存在感を漂わせ、大口径の24インチホイールはキラキラとした輝きを放っていました。

 

ホログラフィックを採用したヘッドライトやコンビネーションランプはシームレスな作りとなり、ボディと一体化した見事な造形を披露。インテリアも次期Sクラスとして最高級の装いを有し、贅沢なクルーザーやヨット、高級サロンを思わせる仕上がりとなっていました。

総合出力は350kwを越え、0-100km/h加速はわずか4.5秒を記録。航続距離はWLTPモードで700kmをマークするといいます。21世紀の100%電動ラグジュアリーセダンとして登場したVISION EQSは、時代を担う電動自動車のフラッグシップであり絶対的な存在として君臨することでしょう。

 

スマートなSmartが「EQ for two」をブラッシュアップ

メルセデス傘下であるスマートがアジア圏では初公開となる「EQ for two」のマイナーチェンジモデルを展示。コンパクトなサイズの2シーターモデルは、電動モーターをリアセクションに搭載したシティコミューターとして高い人気を誇ります。

そんな同車にリニューアルが加えられ、82hpの最大出力と16.3kg-mの最大トルクを発揮。最高速度は130km/hとなり、1充電で最大159kmの航続距離を誇ります。また、充電時間は230ボルトのソケットを使用して約3.5時間。急速充電機能を備えた専用のチャージャーを使えば約40分で80%の充電が可能となりました。スマートは2019年にすべてのガソリンエンジンを廃止し、2020年からはEV専門のブランドとして再スタートを切るといいます。

 

ALPINAは日本でワールドプレミアを敢行

BMWのエンジンを1/1000の精度へと研ぎ澄ます精緻な技術力を誇るアルピナが、2台のモデルをTMSでワールドプレミアを行いました。まず、最初に紹介するのはS54型と呼ばれる3リッターの排気量を持つ直列6気筒DOHCエンジンにビターボ(ツインターボチャージャー)を搭載した「B3 Limousine Allrad」。そのパフォーマンスは素晴らしく、462PSの最高出力と71.4kg-mの最大トルクを発揮。パワーの拡大に合わせてインタークーラーの大型化やアンダーボディにNASAダクトを追加するなど冷却系の強化も行われています。

 

また、サスペンションやスタビライザーにも手が加えられシャープな運動性能を実現。駆動方式はBMWのx-DRIVEを使ったAWDとなり、左右後輪のトルクを電子制御することでトラクションを向上させています。

もう一台は「XD4 Allrad」と呼ばれるミドルサイズのSUV。心臓部にはB3ビターボと同様のS54型エンジンをベース使用し、クワッドターボと呼ばれる4基のターボチャージャーで武装。その最高出力は388PSを叩き出し、最大トルクは78.5kg-mを発揮します。組み合わせるトランスミッションはスイッチトロニック付きの8ATとなり、駆動方式はx-DRIVEを使ったAWDを採用。サスペンションには減衰力を手元のスイッチでコントロールできる電子制御ショックアブソーバーを与えています。

 

見せるだけのモーターショーから「考える」、「感じる」TMSへ

今回の東京モーターショーで感じたことは、見せるためのモーターショーが終焉を迎え、新たに「考える」、「感じる」というコンセプトがメインストリームとして構築されたことです。今までの新型車のお披露目ではなく、日本が牽引する世界の自動車産業の方向性、そして新たな時代への著線として試行錯誤する技術力の開示は、新たなモータリゼーションの進むべき道を考えさせてくれる良いチャンスになっているのだと思います。

化石燃料の枯渇、地球温暖化など数々の問題を乗り越え、新たな時代へと取り組む自動車メーカーの姿勢をこのTMSから感じ取ることができました。次回の2021年の開催では自動車の姿が、さらに大きく変わっている可能性があります。そんな「大きな期待」を抱かせてくれた、東京モーターショー2019にサンキューです!

 

 

撮影/中田悟、野田楊枝郎

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