乗り物
鉄道
2019/12/1 18:00

西日本唯一の臨海鉄道線 —「水島臨海鉄道」10の謎

【水島臨海鉄道の謎⑧】沿線を彩る地元野菜は何だろう?

福井駅から浦田駅、そして浦田駅の先まで地上部分を走る。このあたりが、倉敷と水島の地域の境となる。路線の左右には連島(つらじま)山塊と呼ばれる標高の低い山が連なる。この山塊があることで、地元の人に言わせると、倉敷の市街地と、水島では気候が少し異なるそうだ。

 

沿線には住宅地点在する一方で、畑が広がる。訪れた時期には、ちょうど緑の葉が色づき、取り入れの真っ最中だった。この畑では倉敷特産の「連島(つらじま)ごぼう」を生産しているのだそうだ。

↑浦田駅〜弥生駅間を走るDE70牽引の貨物列車。植えられていたのは倉敷名産の連島ごぼう。緑の畑を左右に見ながら走る(写真は連島ごぼうの耕作者に許可を得て撮影)

 

連島ごぼうは農林水産省GIマーク取得農水産品で、岡山県の産品では初登録された。いわば、お国からのお墨付き産品というわけだ。連島ごぼうは、この地域でしか採れない。こうした産品の栽培を守るとともに、伝統的な食文化の継承をしていこうという取り組みが連島ごぼうを通して行われている。

 

ちなみに連島ごぼう、特徴は肌が白くアクが少ない、そして柔らかく甘味が強いとされる。秋に種をまいて、7〜10月に収穫するのが一般的。ほぼ1年がかりで生産されるそうで、何とも手間がかかる貴重な農産物なのである。

 

 

【水島臨海鉄道の謎⑨】水島駅前のバスターミナルの不思議

寄り道してしまったが、旅を続けよう。ごぼう畑を眺めつつ走ると、再び高架路線を走り始める。このあたりから水島の市街地へ入る。水島は三菱重工水島航空機製作所を誘致するにあたって、大規模な区画整理が行われた。

 

次の水島臨海鉄道の弥生駅から、栄駅(さかええき)、常盤駅(ときわえき)、水島駅にかけて、約2kmにわたり、ほぼ一直線に線路が延びている。この線路に沿うように道路も平行にしかれ、また直角に交わる道路が整備された。町内の道路はほぼ碁盤の目状になっている。そしてこの地域に、戦前は工場に勤める人たち向けに社宅が造られ、学校などが設けられた。

↑水島駅の目の前には大きなバスターミナルが設けられている。整備されてはいるものの、現在は、ほぼ使われていない。病院や介護施設などの公共施設も駅近くに複数が建ち並ぶが、やや寂しさが感じられる駅前風景だった

 

今もその名残が残る。街並みは栄駅、常盤駅周辺がより賑やかだ。倉敷市役所の水島支所も栄駅近くにある。

 

一方で、高架上を走る列車からは街の様子が良く見えるが、繁華街や駅近くに閉鎖され、今は使われていない様子の雑居ビルや、さら地化された土地が点在する。常盤駅の一つ先の水島駅付近は、歩行者もあまり見かけなかった。広々したバスターミナルも使われておらず、寂寥感が感じられた。

 

水島支所内の人口の推移を見ると2002(平成14)年から2019年まで各年の4月の人口を見ると、9万人前後でほぼ横ばいとなっている。また倉敷市全体の人口は2002年当時17万5533人だったのに対して、令和元年には20万399人まで増えている。にもかかわらず、筆者が以前訪れた5年前よりも人通りが少なくなり、街の賑わいが薄れているように感じた。

↑水島駅〜三菱自工前駅間で水島港を見て走る(写真右手)。水島港には海上保安庁の巡視船や、中小の貨物船が多く停泊していた。港に旅客待合所も設けられるが、現在、瀬戸内海の島々などへの定期船は出ていない。そのため待合所はひっそりとしていた

 

ひと気が感じられなかった要因として考えられるのは、基幹産業となる三菱自動車工業の不調があるかも知れない。また水島臨海工業地帯にある工場へ通う人たちも、鉄道よりも、クルマを利用して動く人が増えていることも原因としてあるのだろう。クルマでの移動が主となれば、駅周辺は必然的に寂れていく。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6