乗り物
2019/12/17 17:00

「ナビにできることはまだあるかい」カロッツェリア・サイバーナビにできることを有村 昆さんと語り合った

近年、カーナビにおけるミッションは、2019年流行った「天気の子」風にいえば、「ナビにできることはまだあるかい」である。一文目からスベって恐縮だが、各社ともにナビでできることを真摯に追求してきたことは確かだ。大画面化あり、ハイレゾ対応あり、リアモニターあり、音楽サブスクあり、あの手この手でナビの付加価値を産み出してきた。

 

今季発売になった新型サイバーナビは、これからのナビの方向性を決定づける一打となる製品ではないかと考えている。

 

「オンデマンドカーナビ」

 

カーナビ自体が通信装備を持ち、月額料金を払えば、容量を気にすることなく通信ができ、手持ちのスマホをWi-Fi接続できる。これによる恩恵は大きい。特にエンターテイメントコンテンツと結びついたときに。そして、新型サイバーナビはそこを見据えて、エンタメ機能も従来の比でないほどに充実させてきた。

 

そこで、新型サイバーナビの実力を明らかにするため、今回は、映画コメンテーターの有村 昆さんにお話を持ちかけてみた。有村さんは映画をはじめ、サブスク系のオリジナル作品など、日々膨大なコンテンツを視聴するエンタメコンテンツのエキスパート。同時に、ご自身もかつて所有していたデロリアンにサイバーナビを搭載していたカーガイである。

 

取材は私、GetNavi webの山田との対談形式で実施し、その模様は下記の動画にまとめた。本記事では、動画の内容をおさらいしつつ、動画では触れられなかったポイント、そして山田の私見なども含めて言及していきたい。

 

【有村 昆さんプロフィール】

映画コメンテーター・ラジオパーソナリティー。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。テレビ番組や雑誌などで映画コメンテーターとして活躍しているほか、長年ラジオ番組のパーソナリティとしても活動。妻は元キャスターの丸岡いずみ。

 

通信し放題の魅力

冒頭でも申し上げたが、新型サイバーナビの最大の特徴は、本体に通信機能を持たせた点だ。具体的には、車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応し、ドコモの高速データ通信(LTE通信)を1日500円、30日1500円、365日1万2000円から利用可能。通信量は無制限であり、スマホやPCをWi-Fi接続して使うこともできる。

このサービスを聞いた有村さんのリアクションは明快。「サイバーナビで人類は通信制限から解き放たれました!」とのコメントもいただいた。というのも、有村さんは仕事柄、クルマでの移動が多いうえ、収録の合間の待ち時間もある。その間に、作品をスマホでキャッチアップするのだが、そうなるとパケ死は必至である。それを避けるために、常にWi-Fi環境を気にする生活を送っていたそうだが、そんなストレスからも解放される。

 

これは有村さんのような職業に限った話ではない。クルマをよく使う職業、タクシー運転手やトラックドライバーはもちろん、フリーランスやいわゆるノマドワーカー的な働き方をしている人にも有効だ。これまではカフェやコワーキングスペースという固定の場所を転々としていたわけだが、より場所に縛られずに働くことができる。

 

と言うと、「いやいや、自由に移動できるといっても、地方や郊外ならまだしも、都心部だとパーキング代や駐車場代がカフェより高くつくでしょ」というツッコミもあるだろう。確かに正論であるが、人とクルマの関わり方はここ数年で激変しており、近い将来にこうした問題を解決するサービスも登場してくるはずだ。カフェでもファミレスでもコワーキングでもない「選択肢」が登場したことに価値があると捉えることで、ワクワク感が広がるのではないだろうか。

 

 

YouTubeやアマプラをカーナビで見るのが当たり前の時代に

通信し放題の次に注目したいのが、本製品は専用YouTubeアプリケーションを本体に組み込み、ストリーミングサービスを広く見れるようにした点だ。もちろん、通信はナビ本体が担うから月額利用費以外は気にする必要がない。さらに、サイバーナビはHDMI端子を装備しているからAmazon Fire TV Stick(別売)を接続すれば、Amazon Prime Videoに会員契約している人なら、Amazonの提供しているサービスも楽しむことができる。

有村さんにとっては夢のような空間の出来上がりである。作品も見切れないほどあるし、奥さんとお子さんがいらっしゃる有村さんにとって、夜に大音量を出すのはなかなか難しい環境。クルマであれば(もちろん音漏れなどの配慮は必要だが)、ある程度の大きさまでならボリュームアップして作品を鑑賞できる。

 

対談のなかでは、近年流行中の「音楽映画」がおすすめと教えてくれた有村さん。確かに、音楽映画であれば「聴く」に特化してドライブミュージックとしても相性が良い。深夜の高速を「ボヘミアン・ラプソディ」をかけながら走る。文字にするだけで楽しそうだ。

 

 

クルマが「リビング」になるときが来た

新型サイバーナビには「レコーダーアクセス」という機能を新搭載した。これは、専用スマホアプリ「DiXiM Play for carrozzeria」を設定することで、自宅で録画した番組をカーナビで観ることができるというもの。

YouTubeやAmazon Prime Videoに触れたものの、こうしたストリーミングサービスでは観られない作品はまだまだ多い。かつ、忙しい現代の人々、せっかく観ようと思って録画したけれど、HDDの肥やしになっている番組もひとつやふたつではないはずだ。それらも堪能することができる。

 

有村さんの言葉を借りるなら「それもう完全に自宅じゃないですか」である。リビングでくつろいで番組を観ることが、クルマの中でもできる。しかも、前席と後席で分断されがちな車内空間だが、リアモニターを導入すれば、全乗員が同じ番組体験を共有できる。そんな時代がやってきている。

 

 

 自動運転時代のカーナビの役割

まとめに移っていこう。上記の動画では、惜しくもカットしてしまったのだが、有村さんが非常に興味深いお話をしてくれた。

「これから自動運転時代がやってくるといわれるなかで、目的地をセットすれば自動で到着してくれます。が、その到着までの時間をどう過ごすかが今後重要になってくると思うんです。そのときにカーナビが目的地まで快適に楽しく過ごすためのエンターテイメントを提供してくれる。カーナビの役割は今後重要になっていくはずです」

 

完全自動運転が普及し、かつ移動時でも映像を観て問題ない時代まではまだ少しかかりそうではあるが、おっしゃることはまさにその通り。景色を楽しむもよし、同乗者と会話を楽しむもよし、音楽を聴くもよし、そこに映像を楽しむというエンターテイメントが加わるーーこのことは、カーナビの未来の役割をおぼろげながら描いているように思う。

 

思い返すと、最初に本製品をパイオニアの担当者から解説してもらったとき、「サイバーナビかというとある意味でサイバーらしくない進化を果たしました……」と切り出したが、誕生以来、サイバーナビがやってきたのは「カーナビの常識を塗り替えること」。新型サイバーナビはまたひとつ常識を変えてくれたわけだ。

 

【商品概要】

カロッツェリア

サイバーナビ

(写真はAVIC-CQ910-DC)

今回紹介した「docomo in Car Connect」に対応するのは、9V型、8V型、7V型の200 mmワイドメインユニットタイプと2Dメインユニットタイプの全4タイプ。いずれも型番の末尾にDCがつく製品には、「docomo in Car Connect」に対応した通信ユニットが同梱される。通信機能を持ったことで、地図データのバージョンアップも容易に。最大3年分(最大年6回:2019年10月~2022年10月末まで)が無料で付いてくる。

 

これまで通りスマートループによるプローブで取得した交通情報や天気予報、駐車場の満車・空車情報といったドライブに必要な情報取得にも対応。オンデマンドVICSを加えて、目的地までより高精度なルート探索を可能だ。

 

スタイリング:山崎康洋、ヘアメイク:林田凛