“スマアシ”を筆頭に運転支援システムも最新モデルらしく充実
コンパクト級とはいえ、装備も充実しています。衝突回避支援ブレーキや車線逸脱警報などがセットになった「スマートアシスト」はロッキーの全グレード、ライズでは「X“S”」グレード以上で標準化。それぞれの上位グレードでは、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールも標準で装備されています。また、オプションにはなりますが上位グレードの2WD仕様では縦列駐車時のステアリング操作をアシストする駐車支援システム(スマートパノラマパーキングアシスト)もラインナップされています。
また、最新モデルらしいのはベーシックグレードを除いてメーターが“画像化”されているところ。スピードメーターこそLEDのデジタルで表示は1種類ですが、タコメーターや各種情報はグラフィックが4タイプから選択可能。このあたりは、よりサイズが大きなプレミアムSUVに匹敵する装備のひとつです。また、SUVといえば4WDを中心とする主要グレードで前席のシートヒーターが標準装備される点もユーザーには嬉しいポイントでしょう。
なお、オーディオ類についてはグレードを問わず全車オプション。とはいえ、スマートフォンと連動するメーカーオプションの9インチディスプレイオーディオを筆頭に選択肢は豊富に用意されています。このあたりは、好みと予算に応じて必要な仕様を選択すれば良いでしょう。ちなみに、コネクテッド機能はロッキーが「ダイハツコネクト」、ライズでは「Tコネクト」が用意。ロッキーでは車内で使用できるWi-Fiサービスも提供されています。
軽量ボディと相まって、2WDは軽快といえる動力性能を実現
さて、DNGAに基づいた高剛性にして軽量なボディに搭載されるロッキー&ライズのエンジンは、1Lの直列3気筒ガソリンターボ一択。トランスミッションも、スプリットギアを組み合わせたダイハツ独自のD-CVTのみとシンプルです。今回の試乗車はFF仕様のみでしたが、その動力性能は1トンを切る車重とあって活発と表現できるものでした。高回転まで回すと相応にノイズを筆頭とする“雑味”が気になりはじめますが、そもそも日常域では高回転まで回す必要性がないので大人しく走る人なら不満を抱くことはないでしょう。
アクセル操作に対するリニアリティ、レスポンスに問題を抱えやすいCVTの悪癖も、もはや実用域では気にならないレベルに抑えられていますから、コンパクトSUVを選ぶ大半のユーザーはシームレスな変速マナーや穏やかなアクセルレスポンスに好感を抱くはずです。
フロントがストラット、リアはトーションビームとなるサスペンションもコンパクトSUVとしては穏当な味付けです。乗り心地は路面からの余計な入力が抑えられ、日常域から高速域までおおむね快適。ハンドリングも背の高さを意識させない自然な仕上がりで、常識的な速度域までなら軽快な身のこなしを実感できます。もちろん、マニア視点でうるさいことを言い始めると路面への絶対的な追従性やロール時の姿勢などに注文をつけたくなってきます。とはいえ、この種のモデルを日常生活のパートナーとして選ぶ人なら、そうした部分を気にする場面は皆無に近いでしょう。
と、ここまでお読みいただければロッキーとライズが人気の理由はおわかりいただけるはず。コンパクトでもSUVらしい姿カタチに、サイズ以上のユーティリティを実現。運転支援システムを筆頭とする装備は最新モデルに相応しく、走りも実用的なコンパクトカーとして不満のない出来栄え。そこに、既存のSUVと比較してオトク感が際立つ価格とくれば、支持を集めるのは当然ということができるでしょう。
SPEC【ロッキーX(2WD)】●全長×全幅×全高:3995×1695×1620㎜●車両重量:970㎏●パワーユニット:996㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:98PS/6000rpm●最大トルク:140Nm/2400~4000rpm●WLTCモード燃費:18.6㎞/L
撮影/宮門秀行
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