日本最大のキャンピングカーの展示会である「ジャパンキャンピングカーショー2020」が1月31日~2月2日の3日間、幕張メッセにて開催。年に1回行われていますが、近年の車中泊人気の高まりを受けてか、今年は過去最大の展示面積に300台以上のキャンピングカーが出展されました。キャンピングカーというと、充実の装備で何日も暮らせそうな豪華な(そして高価な)モデルがイメージされますが、最近は車中泊に的を絞って装備をシンプルにし、価格を抑えた軽キャンパーやコンパクトモデルが急増しています。そんな幅広い展示車の中から、筆者が気になったモデルを紹介します。
[軽キャンパー・コンパクトモデル編]
導入費用だけでなく、ランニングコストも抑えられることから人気が高いのが軽自動車ベースの軽キャンパー。限られたスペースを有効活用する工夫も見どころです。また、今年はコンパクトサイズの商用車に、シンプルな装備で車中泊だけでなく日常の使い勝手にも配慮したモデルが数多く出展されていました。
【その1】安価に導入可能な軽キャンパー
「マリナ’RV/キャビン2miniワゴン」
普段使いもしやすそうな4人乗りの軽ワゴンの軽キャンパー。ベース車はスズキの「エブリィワゴン」です。標準のリアシートを残したまま、「マルチフロア」と呼ばれるベッドキットを展開することで1700×1250mmサイズのフラットベッドが作れるので2名就寝が可能。装着されている家具は取り外しが可能なので、不要な際は外してしまえば広いラゲッジスペースを活用することができます。価格は192万3000円〜と格安ですが、写真の仕様はルーフボックスやソーラーパネル、サブバッテリーなどのオプションで装備を充実させています。
【その2】人気の「N-VAN」を選べる内装にカスタム
「ホワイトハウス/N-VAN COMPO」
軽キャンパーのベース車両として、人気の高いホンダの「N-VAN」。商用車っぽくないデザインのグレードが用意されている点や、車内をフラットにしやすい構造などが人気のポイントです。なかでもホワイトハウスのブースには「N-VAN COMPO」と名付けられたカスタムモデルが3種類展示されていました。シンプルな「Style-one」、少し装備を充実させた「Style-two」、キャンピングカーっぽい「Style-Cabin」と3パターンの内装が用意されているのがポイント。個人的には「Style-two」のバランスがいいと感じました。シンクが車外からも使えるようになっていたりと、快適空間を拡張できます。写真の仕様は4人乗車2人就寝が可能で価格は323万3000円です。
【その3】普段使いもしやすいコンパクトモデル
「フロット・モビール/シュピーレン」
トヨタのコンパクトな商用車「ライトエース」をベースに作られているのがフロット・モビールの「シュピーレン」。全長や車幅はコンパクトカーの「アクア」よりも小さく、奥さんと共用する場合でも運転しやすく、しかも4WDモデルが選べるのがポイントです。2列目シートは1人掛けと2人掛けが選べ、内装もシンプルなものと電子レンジや冷蔵庫まで充実したものも選択できます。個人的に気になったのは、車中泊に絞ったシンプルな仕様。写真は2人掛けシートで4人乗車2人就寝が可能で価格は2WDで215万9000円。
【その4】充実の装備ながらミニバン並の価格
「Stage21/Resort Duo LUXIO」
同じくトヨタの「ライトエース」をベースとしながら、商用車とは思えない外観となっているのがこちら。その名の通りリゾートっぽい雰囲気です。内装も木目調の素材を多用していて、同様の雰囲気にまとめられています。ソファーの部分はベッドに展開可能で、サイズは1800×1350mmと大人2人が十分に寝られるもの。サブバッテリーを搭載しており、電子レンジやシンク、車外で使えるシャワーまで装備されています。それでいて、価格は写真の冷蔵ボックスやソーラーパネルを装備した仕様で299万7500円と、ミニバンと同じ価格帯となっています。
【バンコン編】
出展数が圧倒的に多く、ショーの主役となっているのはミニバンやトヨタ「ハイエース」をベースとした「バンコン」と呼ばれるジャンルです。トラックをベースにキャビンを積んだ「キャブコン」に比べると運転がしやすいのがポイント。装備もシンプルなものから豪華なものまで選べて価格帯も幅広いので、様々な選択肢が揃っています。
【その5】走破性抜群のミニバンを車中泊仕様に
「西尾張三菱自動車販売/デリカ D:5 D:POP」
ミニバンの中でも走破性の高さでアウトドア好きに人気なのが三菱の「デリカ D:5」。その車体をベースにポップアップルーフを装備し、4人就寝を可能にしたのが「デリカ D:5 D:POP」です。ポップアップルーフとしながらも特徴である高剛性のリブボーンフレームを損なうことなく作られているのは三菱の販売会社ならでは。車内もシートは減らすことなく装着可能なベッドキットを用意しています。写真の仕様は回転シートなどのオプションを装備し、価格は551万4091円。運転席や助手席を回転させることでリビングスペースを作り出せるのがポイントです。
【その6】VAN LIFE的な雰囲気がオシャレ
「SEDONA/typeⅢ」
ベースはトヨタの「ハイエース」ですが、商用車には見えないオシャレな雰囲気に仕上がっているのがSEDONAの「typeⅢ」。同ブランドでは、vanlifeシリーズとして「ハイエース」をベースにいくつかのバリエーションモデルを展開していますが、これはその中の1台です。木目素材の内装で、海外で人気の「VAN LIFE(バンライフ)」的な世界観でまとめられているのがポイント。家具だけでなく壁面や天井も同じ雰囲気でまとめられています。テールゲートを開ければ、ベッドの下からテーブルを引き出し、コンロなども設置できるのがいい感じ。写真の仕様はルーフテントやサブバッテリーなども付いて536万9950円です。
【その7】維持費も安い4ナンバーのバンライフモデル
「トイファクトリー/Green Buddy A-TYPE」
同じくトヨタ「ハイエース」ベースで、バンライフ的な雰囲気で展示されていたのがトイファクトリーの「Green Buddy」。写真の「A-TYPE」は、その中でもエントリーモデルに位置付けられますが(写真の仕様はルーフキャリアなど様々なオプション付き)、382万6343円〜というリーズナブルな価格設定になっています。内装は床張りなども木目素材が多用され、リラックスできる空気感。2列目シートまでベッドに展開すれば3人の就寝が可能です。
【その8】キャブコン並の快適性を実現
「KATO MOTOR/DD」
バンコンとは思えないほどの大柄なキャビンを持つのがKATO MOTORの「DD」。天井部分にキャビンを増設することで、キャブコン並に車内で立って移動が可能な快適性を確保しています。室内も木目内装に仕上げられ、ログハウスのような雰囲気。リビングスペースも広く、リアのベッドと運転席の上の空間に設けられたベッドで4人の就寝が可能で、チャイルドベッドを展開すればさらに1人が寝られるになっています。価格は写真の仕様で686万8000円。
【その9】和の雰囲気で仕上げられた異色モデル
「MDNマドンナ/侍」
「侍」という名を与えられた異彩を放っていたのがこちら。トヨタ「ハイエース」をベースに迫力ある外装もさることながら、内装には檜や和紙が多用され、ベッド部分は畳になっているという凝りようです。2列目シートはレザーで「侍」の刺繍も目立ち度抜群。5人乗車で2人就寝が可能というスペックなど、どうでもよくなってしまうような迫力を持っています。残念ながら参考出品ということで価格は明らかにされていませんでした。
【その10】ラグジュアリーな内装はホテルのよう
「セカンドハウス/ウイングスプレミアム」
迫力あるブラックの外装(オプションの特装色)に、ホワイトレザーで仕上げられた豪華な内装が目を引く1台。そのラグジュアリーさは、もはやホテルの一室のような雰囲気で、「ハイエース」がベースでもここまでできるのかと思わされます。2列目シートはレザーのキャプテンシートで、オプションのコの字型ベッドを装備しており、8人乗車で3人就寝が可能。この仕様での価格は556万7000円です。
【キャブコン・バスコン・トレーラー編】
車内で立って過ごせるだけの空間を確保し、キャンピングカーと言ったときに多くの人がイメージするのがキャブコン。その分、高さもあるため運転には気を遣う必要がありますが、車内で何日も暮らせる快適性を持っています。ほかにも、バスを改造したバスコンや、クルマで牽引するトレーラーなどの注目モデルを紹介します。
【その11】広大な収納スペースも備える
「ローラーチーム/クロノス294TL」
海外でキャンピングカーのベースとして人気のあるフィアットの「デュカト」をキャブコンとしたモデル。イタリアからの輸入モデルのため、エントランスが右側となっていますが、内装の過ごしやすさは折り紙付きです。5人乗車4人就寝で、回転式のフロントシートによりテーブルを囲んで家族でくつろげます。キャンピングカーは大きな車体の割に、収納スペースが限られるものが少なくありませんが、このモデルは高さが可変するベッドの下に広大なスペースを設け、自転車なども積み込み可能。写真の仕様の価格は837万1000円です。
【その12】道なき道を冒険できそうな1台
「キャンピングカーオーゼット/バハアドベンチャー4×4」
会場でもひときわ大きな車体で目立っていたのが「バハアドベンチャー4×4」。メルセデス・ベンツの「スプリンター」の大柄な車体をベースに、さらに車高を上げてオフロードでの走破性を確保しています。車内も広大で、8人乗車5人就寝が可能。給排水タンクやFFヒーターなども完備しています。ベッドの下のラゲッジスペースも広いので、その名の通り冒険の道具を積み込んで、砂漠などを走るのが似合いそう。価格は1818万9000円とこちらも迫力たっぷりです。
【その13】家ごと移動できるバスコン
「RV BIGFOOT/ACSエテルノオクタービアM」
日野「リネッセⅡ」というマイクロバスをベースとしたバスコン。このサイズの車体で6人乗車4人就寝というのは、ある意味贅沢なスペースの使い方かもしれません。室内はリビングスペースも広く、車中泊にありがちな窮屈さを感じることは一切なさそう。ソファはベッドに展開できるほか、リアには余裕のある常設のダブルベットも装備しています。トイレとして使用可能なマルチルームやIHのキッチン、ソーラーパネル(合計4枚!)など、当然ながら装備も充実。写真の仕様はサイドオーニングや災害時に外部へ給電できるパワーアウトレットなども備えて1395万2240円です。
【その14】ビームスコラボのオシャレなトレーラー
「K WORKS/トレイルワークス520 Happy outside Beams」
K WORKSが展開するトレーラー「トレイルワークス」と、外遊びカルチャーを発信するHappy outside Beamsがコラボし、日本の環境に適したトレーラーハウスとしてリリースされたのがこちら。BEAMSのデザインチームが監修したという内外装はシンプルながらも落ち着いた雰囲気。テーブルを囲みながら家族で団らんが楽しめそう。リチウムイオンのサブバッテリーやソーラーパネルを備え、外部電源も使えるので室内ではエアコンも使用可能。キッチンも備え、車両本体価格は478万円となっています。
シンプルな車中泊仕様から豪華なバスコンまで紹介してきましたが、家族の人数やライフスタイルに合わせて選べるのがキャンピングカーのいいところ。基本がカスタムなので、用途に合わせてカスタマイズを依頼することも可能です。キャンピングカーショーは終わっても、各メーカーが出展車両のアンコール展示会を開催していたりしますので、気になったモデルがある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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