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2020/3/3 21:30

発売から7年目でも売れ続けるホンダ「ヴェゼル」はどこがすごいのか?

コンパクトSUVカテゴリーで常に販売台数上位に入るホンダ「ヴェゼル」。スタイリッシュなデザインと走りの質、コストパフォーマンスが高評価の一台です。そのスゴさをプロが改めて検証してみました。

 

私が診断します!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

あらゆるカテゴリーのクルマを幅広く、深く網羅します。これまで25台の愛車を乗り継いでいます。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ホンダ
ヴェゼル
211万3426円〜361万7900円

ホンダの世界戦略車として2013年にデビュー。リアドアノブをCピラーに組み込むなど斬新なデザインがスタイリッシュです。NAとターボのガソリンエンジン、ハイブリッドなど幅広いラインナップも人気の理由。

SPEC【ハイブリッドRS】●全長×全幅×全高:4340×1790×1605mm●車両重量:1310kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC+モーター●システム最高出力:161.5PS(119kW)/6600rpm●システム最大トルク:216Nm(32.2kg-m)/4600rpm●JC08モード燃費:25.6km/ℓ

 

売れる理由が満載のオールラウンドプレイヤー

コンパクトSUVの人気がますます高まるなか、2013年末にいち早く登場したヴェゼルは、翌年以降3年連続してSUVのベストセラーとして君臨。2017年〜18年こそトヨタの刺客、C-HRにその座を譲ったものの、2019年に再びベストセラーに返り咲くという快挙を成し遂げました。

 

一般的には時間の経過とともに新鮮味が薄れて売れ行きは下降線をたどるところ、ヴェゼルはその動きが緩やかで、安定して売れ続けているのがスゴい。それにはもちろん理由があります。最大の要因は、まず価格とサイズが手ごろなこと。特に日本ではこれが重要です。さらにデザインも大事。受け入れられやすい点もヴェゼルの強みです。

 

そのうえ、さらに以下に挙げたようないくつものバリューを持っています。要するにヴェゼルは、価格が手ごろで見た目が良くて、快適で便利に使えて、安全で走りも良いクルマ。全方位にわたって高い実力を身に付けているわけです。

 

しかも、登場から6年が経過しても毎年のように進化し、装備が充実して走りも洗練されてきました。加えて、昨年は1月にツーリングを、11月にModulo Xを追加するなど、飽きさせることもありません。

 

知れば知るほど、ヴェゼルはすべてが売れる理由のカタマリです!

 

ヴェゼル発売以来の販売台数……累計42万2993台

●日本自動車販売協会連合会のデータによる

2014年2015年2016年2017年2018年2019年
販売台数9万6029台7万1021台7万3889台6万4332台5万9629台5万5886台
SUVでの順位1位1位1位2位
1位はトヨタC-HR
2位
1位はトヨタC-HR
1位

●2013年は2207台

 

【プロが診断! 】ホンダ「ヴェゼル」、10のスゴいところ

【スゴ1】誰にでも受け入れられるデザイン

↑クーペを彷彿とさせるリアのデザインも特徴。他メーカーSUVのお手本ともなっています

 

オーソドックスなデザインのなかにもクーペ的な要素を取り入れていて、スタイリッシュで存在感があります。老若男女を問わず誰が乗っても似合うのです。

 

【スゴ2】コンパクトなのに広い室内空間

↑フィット譲りのセンタータンクレイアウトを採用。リアシートスペースも余裕があります

 

全長わずか約4.3mながら、ひとクラス上に迫る居住空間を実現。身長185cmの人でもゆったり座れることを念頭に置いて設計された後席の広さも十分です。

 

【スゴ3】クラスのわりに質感高いインテリア

↑手に触れるところに柔らかな素材を採用。ソフトパッドに施されたステッチラインも特徴です

 

インパネまわりの随所にソフトパッドや合成皮革を採用し、本革シートの仕様も選べるなど、この価格帯のクルマとしてはかなり充実しています。

 

【スゴ4】多彩なシートアレンジ

↑リアシートはチップアップ&ダイブダウン機構付き。自由なシートアレンジを実現します

 

リアシートの座面を跳ね上げられるのが特徴で、背の高い荷物も積めます。背もたれを前に倒すと連動して、フラットな積載スペースが出現します。

 

【スゴ5】広くて低いラゲッジスペース

↑背の高いSUVですが、リアゲートの開口部の地上高は低く、大きく開くので使いやすい

 

通常は後席下にある燃料タンクを、前席下に配した独自のセンタータンクレイアウトを採用。広くて低いラゲッジスペースを実現し、大きな荷物もラクに積めます。

 

【スゴ6】コストパフォーマンスの高さ

↑ヴェゼルの価格はほとんどのモデルが200万円台。どのモデルも先進安全装備を採用します

 

これほど充実した内容ながら、質感の高い上級グレードでも200万円台で手に入ります。ハイブリッド車とガソリン車の価格差が小さめなのも◎。

 

【スゴ7】走りの軽快さと良好な燃費

↑高い運動性能と乗り心地、操縦安定性の向上に寄与する2種類のダンパーを採用します

 

フィットに通じる軽やかなドライブフィール。JC08モード燃費(2WD)はハイブリッド車が最高で27.0km/ℓ、ガソリン車が21.2km/ℓと良好です。

 

【スゴ8】好みに応じて選べるエンジン

↑VTECターボエンジンを搭載した「ツーリング」。伸びやかな加速が楽しめると好評です

 

i-VTECの自然吸気、VTECターボのガソリン、1モーター式のハイブリッドという計3タイプ。すべて排気量が1.5ℓでおトクなレギュラー仕様です。

 

【スゴ9】AWD性能も侮れない!

↑リアトルク配分を強く設定する専用セッティングの4WD。安定した走りを実現します

 

登場時と最新版は別物。2018年のマイナーチェンジで「リアルタイムAWD」の制御が大幅に進化し、滑りやすい路面でのアンダーステアが軽減しました。

 

【スゴ10】充実した先進安全装備

↑先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備。より安全性が高まりました

 

ミリ波レーダーと単眼カメラで前方の状況を認識し、ブレーキやステアリングの制御と協調。歩行者の検知も可能で、ペダルの踏み間違いにも対応します。

 

より走りと質感の高さを実感できる「ヴェゼル Modulo X」登場!

ホンダ
ヴェゼル Modulo X
346万7200円〜

 

ホンダの純正部品を手がけるホンダアクセスが開発したコンプリートモデル。同社の熟練エンジニアによって「人の感覚」にこだわったセッティングが施されています。

 

↑専用チューニングされたサスペンションを装備。乗り心地とドライビングプレジャーとの両立を目指してます

 

↑アルミホイールもModulo X専用のものを履いています。4WDモデルは17インチ、FFモデルは18インチを採用

 

↑運転する楽しさを演出する専用スポーツシート。見た目の雰囲気だけでなく、シートヒーターなど快適性も高い

 

文/岡本幸一郎、海野大介

 

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