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2020/3/13 21:30

【豆知識】「ガチSUV」と「街乗りSUV」ってどこが違うのかを簡単に解説

最近は、使い勝手に優れてデザインも洗練された都市型SUVがトレンド。しかし、せっかくのSUVなのですから、過酷な条件での走行を第一に考えられている本格的なモデル、という選択肢はどうでしょうか。オフロードを攻めてこそ、その真価がわかるモデルもきっとあるはずです。

 

非日常の世界を体感できる本格的SUVを狙ってみたい

SUVのなかでも、最近特に人気なのが乗用車の車高を少し上げたクロスオーバーモデル。乗用車がベースとなっているため乗り心地が良く、操縦安定性も高いですが、実際に未舗装路や悪路を走るとボディがよじれてしまうため、得意分野とまではいえないモデルも多いのが現状です。

 

その逆に、都会的な雰囲気を持ちながらも本気で悪路を走るためのモデルも多数存在します。代表格が、ここで登場するトヨタ「ランクル」、スズキ「ジムニー」、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、ジープ「ラングラー」の4台。いずれも基本骨格にラダーフレームを持つなど、クルマの構造からしても本格派です。その実力は、見るからに登れなさそうな泥の坂道を登る、柔らかい砂地をクルージングする、たっぷりなサスストロークを生かして岩場を乗り越えていくなどエクストリーム。街中だけでは味わえないSUVとしての真の走りを体験できます。

 

“攻め”のSUVを検討するならば、4WDで最低地上高200mm以上がおおよその目安。カタログにアプローチアングルなどを記載しているクルマが安心です。

 

岩の乗り越えも楽勝!

強靭なラダーフレームと、ストロークの長いサスペンションがあってこそのロックセクションチャレンジ。本格派SUVだからこそ攻められます。

 

川だって突き進める!

エンジンへの空気流入口が高い、SUVならではの渡河走行。モデルによって異なりますが約50〜70cmの水深に対応します。

 

攻めの走りを可能にするヒミツはラダーフレームにあり!

ラダーフレームとは…

文字通り梯子状のフレーム。この構造のクルマは、それにエンジンやサスを組み込んで最後にボディを載せます。メリットはサスストロークを長くとれたり、フレーム自体の重さでトラクションを稼いだりできること。箱(ボディ)にエンジンを入れていくモノコック構造に比べると、悪路走破性ではこちらの方がメリットが多い。

 

【その1】世界が認めた走行性能と信頼性を持つSUV

トヨタ
ランドクルーザー
482万6800円〜697万4000円

 

現行モデルは2007年デビューと10年以上経過していますが、いまも世界中で支持される1台。特に海外では、走行性能に加えて高い信頼性にその人気の秘密があります。攻め込めるSUVはもっとも信頼できる相棒でもあるのです。

SPEC【ZX】●全長×全幅×全高:4950×1980×1870mm●車両重量:2690kg●パワーユニット:4608ccV型8気筒Dual VVT-i●最高出力:318PS(234kW)/5600rpm●最大トルク:460Nm(46.9kg-m)/3400rpm●JC08モード燃費:6.7km/ℓ

 

↑高級セダンのような室内(左)。4ゾーン独立エアコンの吹き出し口を全部で28か所備えています。シフト脇のダイヤルひとつで、オフロード走行時のトラクションやブレーキを最適に制御するマルチテレインセレクト(右)を採用

 

【その2】納車1年待ちも覚悟の本格軽オフローダー

スズキ
ジムニー
148万5000円〜187万5500円

 

20年ぶりにフルモデルチェンジしたジムニーは、攻め込めるSUVの最右翼。伝統のラダーフレームは健在で、軽規格のコンパクトなボディが狭い林道では強い武器になります。また高められたギア比は、高速走行時の静粛性に貢献します。

SPEC【XC・5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●車両重量:1030kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm●最大トルク:96Nm(9.8kg-m)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/ℓ

 

↑左右輪を1軸で結ぶジムニーのサスペンション。悪路などで片輪が持ち上がっても、片方は接地する構造です

 

↑パートタイム式4WDを採用する、同車の副変速機の切り替え装置。先代のボタン式からレバー式に変更されました

 

↑シンプルなジムニーのインパネ。直線基調のラインは、悪路での車両姿勢を把握するときに役立つ機能美でもあります

 

【その3】進化し続ける高級SUVの代名詞

メルセデス・ベンツ
Gクラス
1192万円〜1623万円

 

1979年のデビュー以来、改良に改良を重ねて進化し続けるGクラス。現行モデルは2018年に大幅な改良が施されたW463型です。NATO軍正式採用の実力は伊達でなく、ストロークの長いサスペンションは走る道を選びません。

SPEC【G500】●全長×全幅×全高:4660×1930×1975mm●車両重量:2450kg●パワーユニット:3982ccV型8気筒DOHCツインターボ●最高出力:422PS(310kW)/5500rpm●最大トルク:610Nm(62.2kg-m)/4750rpm●WLTCモード燃費:7.4km/ℓ

 

↑モニターには勾配や傾き、方位、舵角、デフロックの作動状況など悪路をクリアするために必要な情報を表示

 

↑耐荷重性が求められる場所はスチールを、ドアなどにはアルミニウムを採用。従来比で約170kgの軽量化を実現

 

↑2014年に5台のみ発売された究極のGクラス、AMG6×6は6輪駆動。走る場所を選ばない走破性能を持ちます

 

【その4】車名は過酷な岩場道に由来する超本格派

ジープ
ラングラー
490万円〜612万円

 

ラングラーの最強モデル、ルビコン。岩場が続く世界有数の悪路、アメリカのルビコントレイルがネーミングの由来です。その道を走破する独自の4WDシステムはサスストローク確保のため、フロントスタビライザーの切り離しが可能。

SPEC【ルビコン】●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●車両重量:2325kg●パワーユニット:3604ccV型6気筒DOHC●最高出力:284PS(209kW)/6400rpm●最大トルク:347Nm(35.4kg-m)/4100rpm●JC08モード燃費:9.0km/ℓ

 

↑ラングラーに用意されたエンジンは、2ℓの直4ターボと3.6ℓのV6の2種。いずれもレギュラーガソリン対応です

 

↑電子制御のセンターデフを採用。シフト脇のレバーで各種4WDへの切り替えを行います。操作は走行中でも可能です

 

↑快適装備も充実。左右独立調整可能なエアコンやステアリングヒーター、シートヒーターなどを備えます

 

文/海野大介

 

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