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2020/4/26 18:30

【保存版】出会えたらラッキー!? ドクターイエローだけではない事業用「検測車両」をずらり紹介〈JR編〉

〜〜JR各社の検測車両図鑑(その1)〜〜

 

電車や列車が走り続ける限り、線路や架線の状態を定期的に調べて保守管理することが必要になる。そうした線路や架線の状況を効率良く調べるために「検測車両(検査車両)」が働いている。

 

東海道・山陽新幹線を走る「ドクターイエロー」がその代表格にあたる。このドクターイエロー以外にも、各社で多くの専用車両が使われている。珍しい車両ということもあり、出会えたらラッキーと注目する人も多い。今回はその1回目としてJR各社で使われている検測車両(検査車両)を紹介する。

 

*ご注意:保線用の軌道検測車は除外しました。運行に関して、各社へのお問い合わせはご遠慮ください。撮影および見学は新型感染症の流行が終息した後に楽しみましょう。

 

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【新幹線電気軌道総合試験車】

JR東海・JR西日本923形「ドクターイエロー」

↑東海道新幹線の掛川付近を下る923形T4編成。923形電車は定期的に東京駅〜博多駅間を往復して架線と線路などの検査を行う

 

新幹線の“お医者さん”の運行にはのぞみ検測とこだま検測がある

「ドクターイエロー」の名前でおなじみの車両で、正式には東海道・山陽新幹線用「新幹線電気軌道総合試験車」だ。形式名は923形で、7両×2編成が製造された。JR東海の編成は2000年に登場した923形0番台でT4編成と呼ばれる。JR西日本の編成は2005年に誕生した923形3000番台で、T5編成と呼ばれる。0番台と3000番台では、機器などに若干の相違点がある。

 

◇運行の状況

ほとんどの検査用車両を同じように、朝夕の列車が多い時間帯は避け1〜2週間おきに日中の時間帯を利用して運行される。通称「のぞみ検測」と「こだま検測」と呼ばれる運用があり、「のぞみ検測」はのぞみと同じように途中駅では通過線を走る。「こだま検測」はこだまと同じように各駅を停まりつつ走る。

 

両検測のダイヤは異なるが、1日目は東京駅を11時台に、2日目は博多駅を10時台(こだま検測は新大阪駅発15時台)に発車する。923形の運行日は公表されておらず、予想する個人のホームページに頼らざるをえない。こうした情報は結構あたるものの、あくまで予測なので注意したい。

 

ドクターイエローはすでに引退した700系を元に開発されただけに、今後の動向が注目されている。近年は検査機器が高度化、さらにコンパクトになり、ドクターイエローのような専門車両が必要としないとされる。一方で、2020年1月に、T5編成が全般検査を行ったこともあり、ここ数年は少なくとも走り続けそうである。

 

JR東日本E926形「East i(イーストアイ)

↑上越新幹線の長岡駅〜浦田駅間を走るE926形。運行時間はホームページ等で予測が出ているが、時間どおりに走らないこともあり注意したい

 

JR東日本の新幹線の路線と北海道・北陸新幹線を走る

E926形電車は「ドクターイエロー」のJR東日本版で、「East-i(イーストアイ)」という愛称が付く。E3系を元に2001年に造られた。運行は東北・上越新幹線のほか、JR北海道が運営する北海道新幹線や、JR西日本が運営する北陸新幹線の検査も行う。さらにミニ新幹線のサイズを生かして、山形新幹線と秋田新幹線の検査を行う。

 

◇運行の状況

宮城県利府町にある新幹線総合車両センターに配置されているため、運行はこの車両センターに近い仙台駅からのスタートとなる。本線検測と副本線検測という検測行程があり、本線検測は1〜2週間おきの頻度で、副本線検測は2か月に1回程度行われる。

 

本線検測は3日にわたり、1日目は仙台駅 →(東北新幹線)→ 東京駅 →(上越新幹線)→ 新潟駅 →(上越新幹線)→ 上野駅 →(北陸新幹線)→金沢駅。2日目は金沢駅 →(北陸新幹線)→ 東京駅 →(東北新幹線)→ 仙台駅。3日目は仙台駅 →(東北・北海道新幹線)→ 新函館北斗駅 →(東北・北海道新幹線)→ 仙台駅という行程で走る。

 

出動する日は、個人のホームページを頼るしかないが、予測の方法を記したものもあり参考になる。筆者の経験では、予想される時間の前を走る定期列車が通過したあと、間もなく走る傾向がある。何度か慌てて失敗しかけたのでご注意を。

【JRの地上設備検測車両】

JR西日本443系 電気検測電車

↑和歌山駅近くの待避線に停車する443系電車。すでに45年にわたり西日本の路線の電気系検査に使われている

 

今や貴重な国鉄時代の姿を色濃く残す交直両用の電気検測電車

国鉄時代の1975年に電気検査を目的に製造された交直両用「電気検測電車」。特急形車両485系をベースにしていることもあり、高運転台の正面の形は、今や走らない国鉄形特急電車の姿を今も色濃く残している。2編成が造られ、国鉄分割民営化の後にJR東日本とJR西日本に引き継がれたが、JR東日本の車両はすでに廃車されている。

 

◇運行の状況

吹田総合車両所京都支所を拠点に運行される。JR西日本の電化路線はもちろん、JR四国、JR九州、そして西日本の第三セクター鉄道や私鉄までに借り出され、運行が続けられる。活動範囲が広く、動きがとらえにくい車両となっている。今や国内で唯一の国鉄形電気検測電車でもあり、末長く使われてほしい車両だ。

 

JR東日本E491系「East i-E(イーストアイ・ダッシュイー)

↑東海道本線の早川駅〜根府川駅間を走るE491系。この日は伊東線と伊豆急行線を走り、伊豆急下田駅までの検査を行った

 

JR東日本と在来線電化区間と私鉄路線などの検査を行う

JR東日本の在来線の電気、信号・通信、軌道の検査を行う交直流両用の検査電車。2002年に誕生した。新幹線用のイーストアイと同じように白地に赤の正面デザインと帯という配色で目立つ。電車で、電化区間の検測業務がメインということもあり、愛称は「East i-E」。「イーストアイ」に加えてElectricの頭文字「E」を加えた「ダッシュイー」となっている。通常は3両編成で検査が行われているが、建築限界測定車のマヤ50形(後述)を連結して4両で走ることもある。

 

◇運行の状況

茨城県の勝田車両センターに配置され、JR東日本の電化路線と、直通運転が行われる第3セクター鉄道と私鉄各社の路線の検査を行う。その動きは月刊「鉄道ダイヤ情報」誌(交通新聞社刊)に掲載されている。

 

JR東日本キヤE193系「East i-D(イーストアイ・ダッシュディー)」

↑八戸線を走るキヤE193系。撮影した2018年当時は中間車が脱線事故で損傷したために2両で検査を行っていた。現在は3両で運用される

 

JR東日本と第三セクター鉄道の主に非電化区間の検査を行う

主に非電化区間の検査用に2002年に造られた。E491系電車とほぼ同じデザインで、愛称は「East i-D」。気動車であることから、「イーストアイ」という愛称の後ろに「ダッシュディー」(「Diesel」の「D」)が付けられた。3両編成で運転され、中間車には架線を測定するパンタグラフが付く。そのため、電化区間の検査も行うことができる。2017年5月、わたらせ渓谷鐵道線内で起きた脱線事故により、中間車が損傷。そのためほぼ1年にわたり、中間車をのぞき、2両で走っていた。現在は3両編成での運行に戻っている。

 

◇運行の状況

キヤE193系は秋田総合車両センターに配置されている。JR東日本の在来線(山形新幹線・秋田新幹線の標準軌間を除く)すべての路線での検査が可能。またJR北海道の路線、JR貨物の専用線や、第3セクター鉄道の路線の検査にも使われている。その動きはE491系と同じく月刊「鉄道ダイヤ情報」誌(交通新聞社刊)に掲載されている。

 

JR東海キヤ95系「ドクター東海」

↑紀勢本線の四日市付近を走行するドクター東海。筆者も10年間で2回ほど出会ったのみでなかなか巡りあえない

 

気動車だが軌道と電気関係の検査が可能な便利な車両

JR東海が在来線用に製造した検査車両。1996年に第1編成のDR1が、2005年には第2編成のDR2が登場した。その後、第1編成は、一部の搭載機器を新しいものに積み替えている。ステンレス車体だが、正面と車体下部の帯が「ドクターイエロー」と同色の黄色で、「ドクター東海」という愛称が付く。気動車ではあるが、検査用のパンタグラフを積んでいて、架線の検査も行う。

 

◇運行の状況

JR東海の在来線全線と、線路がつながる城北線や、第三セクター鉄道の伊勢鉄道や愛知環状鉄道、天竜浜名湖鉄道などの路線の検査を行う。出動する頻度は少なく、検査時の運行パターンが読みにくいとされる。そのためかなりレアな車両として鉄道ファンの注目度も高い。

 

JR西日本キヤ141系「ドクターWEST(ウェスト)」

↑黄色の配色が目立つキヤ141系。東海道本線沿いの吹田総合車両所京都支所に配置されていることもあり、目撃されることも多い

 

西日本を広くカバーするJR西日本のドクター

2006年にJR西日本の在来線の軌道と、電気検査用に2両×2編成が導入された。元となった車両は特急用のキハ187系気動車と山陰本線などを走るキハ126系で、特急並みの走行性能を持つ。当初、愛称はなかったが、いつしか鉄道ファンの間では「ドクターWEST」の名前で呼ばれた。その後、京都鉄道博物館で「ドクターWEST」の名前で展示されたことがあり、この愛称が一般化しつつある。

 

◇運行の状況

2編成とも吹田総合車両所京都支所に配置。そのうち1編成は、ほとんど下関総合車両所山口支所を常駐しているため、両車両基地から出動することが多い。JR西日本の全路線と、JR四国、JR九州、線路がつながる第三セクター鉄道、私鉄の路線を幅広く検査をして回る。運転日の情報は掴みにくいが、利用者が多い東海道本線を行き来することが多く、Twitter等にも頻繁に目撃情報が報告されている。

 

JR九州マヤ34形 高速軌道検測車

↑DE10形ディーゼル機関車に連結され大村線の線路の検査を行うマヤ34形。同検査は「マヤ検」と鉄道ファンに呼ばれている

 

検測車両の元祖的な車両が今も九州で活動を続ける

JRとなる前の国鉄では、長い間、保線作業員が目視による線路の検査を行っていた。列車本数が増え、列車が高速化するに従い、人の検査だけでは限界になっていた。

 

そのために1959年に開発されたのがマヤ34形「高速軌道検測車」だった。事業用客車のため自走はできない。そのため機関車により牽引され、検査を行ってきた。全国に10両ほど増備され、長年にわたり使われたが、各社が検査車両を新造したこともあり、ほとんどが廃車となった。現在、残るのはJR九州のマヤ34形-2009(2009は車両番号)で1978年に製造された車両だ。

 

◇運行の状況

JR九州では架線の検査、線路の検査にJR西日本の443系や、キヤ141系を借りて検査を行うことが多くなっている。そのためにマヤ34形の出動機会が非常に減っている。希少なためか、その動き自体が鉄道趣味誌のニュースに掲載されるほどになっている。出会ったら本当に珍しい車両になりつつある。

 

JR北海道マヤ35形 軌道検測車

マヤ34形に代わりJR北海道が導入した新型事業用客車

JR北海道では、国鉄から引き継がれてきたマヤ34形客車を線路の検査に使用していた。とはいえ製造から約40年が経ったこともあり、機器の古さ、そして部品が調達できないことが問題となっていた。そこで2018年に導入したのがマヤ35形軌道検測車だ。車両はJR東日本のE491系「East i-E」をベースにしたアルミニウム合金製で、北海道新幹線のH5を思わせる緑ベースに白帯が巻かれて登場した。

 

◇運行の状況

マヤ35形はJR北海道の全路線の検査に使われる。自走できないために、前後にキハ40系気動車を連結され走る。廃線直前の札沼線(さっしょうせん)を検測するために運行されたが、そのほか目撃情報があまりファンの間から上がってこない。窓が無く客車というよりも貨車に近い印象がある。残念ながら鉄道ファンの間では人気が薄い検測車両なのかも知れない。

 

JR東日本マヤ50形 建築限界測定車

↑EF81形電気機関車に牽かれるマヤ50形。同写真は回送中のものだと思われる。機器が付く部分の構造はかなり複雑だ(写真右上)

 

建築限界を調べる測定車。ファンが付けた愛称は「光オイラン」

線路の周りには、安全に車両が通り抜けることができるかどうかの限界がある。この限界のことを「建築限界」と呼ぶ。この限界を調べるために使われるのが「建築限界測定車」だ。国鉄時代に用意された建築限界測定車は、客車のまわりに矢羽根が付けられ、建築限界を越えた障害物に触れると、矢羽根が折れ曲がる仕組みになっていた。

 

この形が花魁(おいらん)のかんざしに似ていたことから、同測定車は「おいらん車」と呼ばれた。現在は、こうした造りの車両はJR西日本にオヤ31形が1両残るのみで、JR東日本ではレーザー光線を利用して計測する「レーザー式建築限界測定車」を導入している。マヤ50形5001がその建築限界測定車だ。同車両はかつての呼び名にちなみ、鉄道ファンから「光オイラン」の名で呼ばれている。

 

◇運行の状況

運行はE491系「East i-E」か、キヤE193系「East i-D」の中間車として連結され、運行されることが多い。そのため、マヤ50形と探す時は、E491系とキヤE193系の動向に注目すれば良いことになる。とはいえ、両編成が走る時すべてにマヤ50形が連結されているとは限らない。そのために非常に出会いにくい車両になっている。

 

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