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2020/5/3 18:30

【保存版】素敵なニックネーム付き!事業用「検測車両」をずらり紹介〈私鉄編ほか〉

【検測機器を付けた旅客車両】

検測車両以外でも検測は行われている。近年は検測機器がコンパクトになり、通常の旅客車両に取り付けての検測も行われるようになっている。そんな検測機器を付けた旅客車両を見ていこう。

 

JR九州 800系新幹線電車

↑新800系と800系を見分けるポイントは赤ライン。先頭部でカーブしているのが新800系だ。写真はU007編成で軌道検測用機器の搭載が可能

 

旅客車両だが検測車両としても活躍する

ドクターイエローは東海道・山陽新幹線の路線内のみ検測を行っている。線路が通じているものの九州新幹線内の検測は行っていない。九州新幹線ではどのように検測を行っているのだろう。

 

九州新幹線ではJR九州の800系が主力車両として使われているが、検測は2009年以降に増備された「新800系」と呼ばれる編成により行われている。3編成が機器を積め、U007編成と、U009編成(ともに800系1000番台)は軌道検測用の装置を、またU008編成(800系2000番台)は電力(架線)・信号・通信関係を検測する装置を積んでの検測が可能となっている。

 

検測を行う時には専門スタッフが同乗し、回送列車として運行される。

 

JR東日本 山手線E235系電車ほか

↑山手線を走るE235系の一部にもすでに線路設備をモニタリングする機器が搭載され、常日ごろから検査が行われている

 

2020年度中、70%の路線の線路設備のモニタリングを開始

前回のJR編で紹介したようにJR東日本では在来線の検測用にE491系、キヤE193系という専門車両を所有している。とはいえ2車両しかなく、在来線の全路線を頻繁に走り回ることが難しい。そこでJR東日本では2012年から一般の旅客車両に検測装置を積んで、線路の状況などが常に監視できないか研究を進めてきた。

 

「線路設備モニタリング装置」と呼ばれる遠隔監視システムで、すでに山手線を走るE235系の一部の車両には搭載されている。2020年度にはカバーできる線路を50線区までに広げて、走る車両に機器を搭載してモニタリングを始める。このことで70%の路線をカバーできるとされる。

 

同装置は例えば時速130kmで走りながら枕木1本1本の状態を確認、画像データが集められる。こうした装置により日ごろから軌道のチェックを行い、保線作業に有効に役立てているわけだ。

 

JR九州 811系電車「RED EYE」

↑811系リニューアル車(写真)の2編成を利用する。4Kカメラを搭載した車両は「RED EYE」と名付けられた

 

この春から鹿児島本線を中心に検測作業を開始

JR九州が2020年4月1日から使用開始した検測システムも画期的だ。「列車巡視システム」と「電車線路モニタリング装置」が鹿児島本線などを走る近郊形電車811系に取り付けられた。同機能を利用して、線路のチェックや建築限界の確認、電力(架線)検測を行う。

 

2編成のうち後者の「電車線路モニタリング装置」を積む車両は、車上4Kカメラを搭載して架線や電気設備のチェックなどを行う。搭載する車両は「RED EYE」という愛称が付けられた。通常の811系リニューアル車とは、デザインがやや異なり、正面の「CT」マークが赤に、また運転席下に「RED EYE」の文字が入る。走ることにより得られた動画などのデータは専門のオフィスに自動転送、机上でのチェックを可能にしている。

 

JR東日本、JR九州とも専門スタッフが乗車しなくとも、旅客車両で検測を行うことができる。また電気計測車両「はかるくん」を利用する近畿日本鉄道も、2019年からは「新型軌道検測装置」を一部の列車に搭載。装置からレーザーを照射して線路のゆがみを検測している。検測車両とともに、こうした旅客車両が集めたデータを多く利用することにより、安全な運行に役立てようというわけである。

 

こうした設備が今後は各鉄道会社に多く導入されていくことになりそうだ。

 

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