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2020/5/24 18:30

【保存版】コロナ禍が終息したら乗りに行きたい「ローカル線」〈東海・北陸・西日本編〉

【九州地方のおすすめローカル線】

JR九州 大村線(早岐駅〜諌早駅47.6km)

↑大村線をこの春から走り始めた新型YC1系気動車。大村線は写真のように美しい撮影スポットが沿線に点在する

 

大村湾を眺める美景路線。新車導入で注目される国鉄形車両の今後

大村線は長崎県内の早岐駅(はいきえき)と諌早駅(いさはやえき)を結ぶ。歴史は古く1898(明治31)年、九州鉄道が長崎線として開業させたことに始まる。その後、昭和初期に、有明海沿いに造られた路線を長崎本線としたことから、大村線という名前に変更された。

 

列車は大村線内だけでなしに、佐世保駅と長崎駅を結ぶ列車が多いこともあり、県内の都市間の大切な移動手段として役立っている。そんな大村線だが、ハウステンボス駅〜松原駅間で、大村湾に沿って走る。車窓から穏やかな大村湾、そして海越しに西彼杵半島(にしそのぎはんとう)が望める。途中駅の千綿駅(ちわたえき)に立ち寄る人も多い。ホームの目の前が大村湾でその眺めが素晴らしい。

 

大村線も大きな時代の変化が訪れている。ハイブリット方式のYC1系気動車が3月のダイヤ改正に合わせて導入されたのである。近未来的な姿をした車両が大村湾を背景に走る様子が、見られるようになった。一方で、同線を長く走り続けてきた国鉄形のキハ66系気動車の今後が危ぶまれている。YC1系は徐々に増備の予定で、それに合わせてキハ66系が姿を消していくことになりそうだ。

 

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波穏やかな大村湾を眺めて走るローカル線「JR大村線」10の秘密

 

熊本電気鉄道 菊池線(上熊本駅〜御代志駅10.8km)
藤崎線(北熊本駅〜藤崎宮前駅2.3km)

↑藤崎線の併用軌道区間。車両は元都営地下鉄三田線の6000形。大形の車体が民家をかすめて走る様子は「くまでん」の名物となっている

 

東京の元地下鉄車両が熊本市内をのんびりと走る

「くまでん」の名前で親しまれる熊本電気鉄道。熊本市を中心に菊池線と藤崎線の2つの路線が走る。電車の運行は路線の区分けとは異なっていて、藤崎線の藤崎宮前駅と菊池線の御代志(みよし)駅間と、菊池線の途中駅・北熊本駅〜上熊本駅間で電車が往復する。菊池線を通して走る列車はなく、上熊本駅から御代志駅方面へ行く場合は、北熊本駅での乗換が必要となる。路線は市内電車および近郊路線という趣が強い。

 

そんな「くまでん」の名物となっているのが。藤崎宮前駅〜黒髪町駅間にある併用軌道区間。左右に家が建ち並ぶ市道の上に線路が敷かれ、そこをゆっくりと電車が走っていく。なぜ、こうした路線が残るのだろう。元々、この区間は路面電車用に線路が敷かれ路面電車が走っていた。その名残なのである。大形の電車と乗用車が平行して走ったり、すれ違ったり、ここならではの光景が目撃できる。

 

走る車両は現在、すべてがかつて東京の地下鉄の車両ばかり。車両数が多いのは都営三田線を走った6000形。さらに東京メトロ銀座線を走った01形、そして日比谷線を走った03形が走る。東京の“顔”だった電車が熊本で第二の人生を送っているわけだ。最近はくまモンの顔を大きくラッピングした電車も走っていて親子連れに人気となっている。

 

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JR九州 日南線(南宮崎駅〜志布志駅88.9km)

↑大堂津駅(おおどうつえき)〜南郷駅間の細田川橋りょうを渡る快速「日南マリーン号」。オレンジ色の車体カラーが目印で宮崎駅〜志布志駅間を1往復している

 

写真映えする風景が沿線各所に点在する南九州の名物路線

日南線は宮崎県の南宮崎駅と鹿児島県の志布志(しぶし)駅の間を走る。路線は日豊本線と接続する南宮崎駅が起点となっているが、列車の発車は一つとなりの宮崎駅からとなる。列車の多くが宮崎県内の油津駅、もしくは南郷駅どまりだ。終点の志布志駅まで走る直通列車は1日に4本のみと少ない。所要時間も全線乗車すると2時間30分から3時間と、乗車時間はかなりかかる。

 

この路線で見どころといえば、車窓から眺める日南海岸の眺め。日南海岸には鬼の洗濯岩と呼ばれる独特の波状岩が連なる海岸線が複数個所で見られる。その規模は大きく日南線の車両からも確認できるほどだ。さらに南国らしい亜熱帯植物が海岸に繁り、独特の旅情を生み出している。鹿児島県に入れば志布志湾を望むことができる。

 

普通列車にはキハ40系(キハ40形・キハ47形)が使われている。また週末を中心に特急「海幸山幸」が宮崎駅〜南郷駅間を走る。同特急に使われる車両は元高千穂鉄道のTR-400形で、高千穂鉄道が災害で廃線になった後に、JR九州に引き取られ改造、今はキハ125形400番台となった。「海幸山幸」は観光列車らしく、ビューポイントではスピード落として走る。日南線の魅力を楽しむのにぴったりの列車だ。

 

JR九州 指宿枕崎線(鹿児島中央駅〜枕崎駅87.8km)

↑指宿枕崎線の西大山駅には「JR日本最南端の駅」という標柱が立つ。駅の目の前に標高924mの開聞岳がそびえる

 

開聞岳がそびえる九州最南端の駅をぜひ訪ねてみたい

 鹿児島県の西南に突き出た薩摩半島。指宿枕崎線は鹿児島中央駅と薩摩半島の南岸にある枕崎駅を結ぶ。路線名にも入る指宿駅までは鹿児島湾(錦江湾)に沿って走り、その先の山川駅で西へ進行方向を変える。秀麗な開聞岳を眺めつつ走り、列車は東シナ海に沿って枕崎駅へ向かう。

 

JRグループの路線の中では日本最南端を走る路線で、途中、西大山駅は「JR日本最南端の駅」の標柱が立つ。ちなみに2003年に沖縄県を走る沖縄都市モノレールが誕生するまでは正真正銘「日本最南端の駅」だった(現在の最南端駅は沖縄都市モノレールの赤嶺駅)。

 

指宿枕崎線では、鹿児島中央駅〜山川駅(もしくは指宿駅)間を走る列車が圧倒的に多い。それだけ同区間の利用者が多いことが分かる。特急「指宿のたまて箱」も鹿児島中央駅〜指宿駅間を走っている。山川駅から先は利用者が減り、急にローカル色が強まる。鹿児島中央駅から終点の枕崎駅間は所要2時間30分〜3時間かかる。このように時間がかかることもあり、全線を走る直通列車は1日に3往復のみと少ない。

 

とはいえ普通鉄道では最南端の路線であり、鉄道好きならばぜひ乗ってみたいローカル線である。

 

 

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