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2019/11/24 18:00

東京の地下鉄電車が熊本で大活躍!気になる「くまでん」12の秘密

おもしろローカル線の旅56 〜〜熊本電気鉄道(熊本県)〜〜

 

熊本市内と郊外の合志市(こうしし)を結ぶ熊本電気鉄道。熊本の電車らしくくまモンがラッピングされた「くまモン電車」が走る。

 

「くまでん」もしくは「熊本電鉄」の名で親しまれる熊本電気鉄道だが、乗ってみると、興味深いことが多い。使われる電車は東京を走った地下鉄の車両ばかり。第二の職場で頑張っている。まるで東京の地下鉄の博物館という趣さえも……。なかなか楽しい「くまでん」の旅に、さあ出発進行!

 

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↑藤崎宮前駅〜黒髪町駅間にある、熊本電鉄名物の併用軌道区間。くまモンラッピングの01形電車が走る。なぜ、このような路線が残るのかは、のちほど

 

 

【くまでんの秘密①】地元で今も親しまれる「菊池電車」の名称

初めに熊本電気鉄道の概要を見ておきたい。

路線と距離熊本電気鉄道・菊池線/上熊本駅〜御代志駅(みよしえき)10.8km、藤崎線/北熊本駅〜藤崎宮前駅2.3km *全線単線・直流600V電化
開業1911(明治44)年10月1日、菊池軌道により池田駅(現・上熊本駅)〜千反畑(現・藤崎宮前駅)が開業。1913(大正2)年8月27日、池田駅〜隈府駅(後の菊池駅・現在は廃駅)間が全通
駅数菊池線16駅、藤崎線3駅(ともに起終点駅を含む)

 

路線が誕生した当時の会社名が菊池軌道株式会社だった。熊本電鉄の元となった菊池軌道は菊池市を目指し、熊本市内から路面電車の路線を開業させた。1942(昭和17)年に地方鉄道法に準拠した鉄道に変更され、会社名も菊池電気鉄道に変更。さらに1948(昭和23)年に熊本電気鉄道と名を改めた。

 

1986(昭和61)年2月16日に御代志駅〜菊池駅間が廃止され、終点は合志市内の御代志駅までの路線となっているが、路線名は菊池線と「菊池」の名が残る。

 

菊池市は、熊本平野の北部に位置する都市。おいしい米で知られる菊池米の産地であり、日本名湯百選にも選ばれた菊池温泉がある。

 

熊本市民、そして沿線の人たちは、熊本電鉄のことを今も「菊池電車」と呼ぶ。菊池まで走っていないにも関わらず、路線名に菊池の名が残るように、菊池へ向かって走った電車への強い郷愁があるのかも知れない。

 

 

【くまでんの秘密②】今は藤崎宮前駅〜北熊本駅間が“本線扱い”に

熊本電鉄の路線名でちょっと不思議に感じるのは、菊池線の名だけではない。菊池線は上熊本駅〜御代志駅の路線を指す。一方、菊池線の途中駅・北熊本駅〜藤崎宮前駅間は藤崎線と呼ぶ。今はほとんどの列車が、藤崎宮前駅と御代志駅の間を行き来している。上熊本駅と御代志駅を直接に結んでいる電車はない。

 

列車の本数は、藤崎宮前駅〜御代志駅間が日曜日をのぞき、朝夕が15分おき、日中が30分おきに運転される。藤崎宮前駅発の最終電車は日曜日をのぞき23時0分発となる。

 

↑熊本電気鉄道のターミナル駅・藤崎宮前駅。熊本市の中心、熊本市電の通町筋電停から徒歩で約10分、750mほど離れている。ビルは熊電ビルという名で、以前はパチンコ店や温泉施設があったが閉店し、館内の多くのフロアが駐車場として利用されている

 

一方の菊池線の北熊本駅〜上熊本駅間の列車はすべて、北熊本駅〜上熊本駅間を往復する。列車の本数は時間帯の例外なく30分おきに走る。こちらの路線の上熊本駅発の最終電車は平日21時50分発と早めだ。

 

路線名から推測すると、藤崎線は分岐する北熊本駅からの支線扱いなのだが、実際には本線扱いとなっている。利用者も圧倒的に多い。上熊本駅〜北熊本駅間は藤崎線を比べると利用者が少なく、こちらが支線となっている。利用客の大半が地元の人たちということもあり、路線名を変えずとも、さしたる問題が起きないということなのだろう。

↑通町筋電停付近から復旧が進む熊本城を望む。同電停から熊本電鉄の藤崎宮前駅へは上通(右上)のアーケードなどを歩き10分ほど。利用促進のため熊本電鉄のLRT化と、路線延長も検討されたが、その後、計画が進んでいないのが現状だ

 

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