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2020/6/14 19:05

今も各地で働き続ける「譲渡車両」に迫る〈元JR気動車の場合〉

【注目の譲渡車両⑤】ちょっと残念な錦川鉄道のキハ40

◆キハ40形(JR東日本→錦川鉄道)

↑導入された当時のキハ40-1009。座席はロングシートながら、テーブルが設けられ、観光列車として走れるように改造された

 

山口県を走る錦川鉄道にも、元JR東日本のキハ40形が譲渡され、在籍している。同車両は1982(昭和57)年製で、栃木県内を走る烏山線(からすやません)を2017年3月まで走っていた。3300万円で購入(輸送費込み)と発表されている。

 

譲渡車両の金額は、明らかにされないケースが多いが、同鉄道会社は第三セクター経営で、自治体が経営に加わっていることもあり、公にされた。新型車両は1両が1〜2億円とされているだけに、この金額ならば、地方鉄道にとっても手を上げやすい金額と言えそうだ。

 

この錦川鉄道のキハ40系は、内部を改造、レトロ調車両としてイベントや貸切列車として運行されている。

 

ただ、この鉄道会社のキハ40は他社の譲渡車両に比べて注目度が低いように思える。その理由としては、錦川鉄道が大都市圏から遠いこと。中国地方を走るJR西日本のローカル線には、まだ同形のキハ40が多く走ること。そうした理由もあって、譲渡されたキハ40があまり目立っていないように見える。ちょっと残念だ。とはいえ、烏山線当時の塗装は、同線の現役のころを知る者としては懐かしく感じることも事実だ。

 

【注目の譲渡車両⑥】装いを一新した道南いさりび鉄道のキハ40

◆キハ40形(JR北海道→道南いさりび鉄道)

↑濃緑色のキハ40形1810号車。道南いさりび鉄道に引き継がれたキハ40すべてが塗装変更され多彩なオリジナルな車体色が楽しめる

 

新幹線の路線延長により、JRの在来線が第三セクター鉄道に引き継がれるケースが多い。こうした路線では、それまで走り続けてきたJRの車両がそのまま新会社へ引き継がれるケースが目立つ。

 

2016年3月26日に開業した道南いさりび鉄道。元JR津軽海峡線の五稜郭駅と木古内駅間を引き継いだ。

 

引き継がれたのはキハ40形で計9両。すでに新会社発足から4年たった。キハ40形はすべて同社オリジナル色に塗装し直され、一部の車両は内装も変更している。塗装は山吹色、濃緑色、白、赤ほか、国鉄首都圏色、国鉄急行色とバラエティに富む。

 

外観こそキハ40だが、こうしてバラエティに富んだ姿を見ると、JRと異なる鉄道会社らしくなりつつあることが実感できる。塗り替えにより新たなイメージの発信をし続ける同社に好感を覚える鉄道ファンも多いのではないだろうか。

 

【注目の譲渡車両⑦】種車はキハ40形という会津鉄道の展望車

◆キハ40形(JR東日本→会津鉄道)

↑会津鉄道のお座トロ展望列車。会津若松駅側に展望タイプのAT-400形が連結されている

 

会津鉄道の観光列車「お座トロ展望列車」。使われるのはAT-400形とAT-350形だ。AT-400形は展望タイプの車両で、AT-350形はガラス窓が取り外せるトロッコタイプだ。このAT-400形、正面と側面が大きなガラス窓となっている。この車両は果たして元は何だったのだろう?

 

AT-400形は2003年にJR東日本のキハ40形を購入、改造を施した車両だ。観光用の展望型車両に大改造したのである。

 

3分の1ほど床を高くしたハイデッカータイプに、3分の2がお座敷席の一般室と改造された。当時、国鉄形車両を改造したジョイフルトレインが流行したこともあり、そうした大胆に改造した車両も多かった。一見しただけでは、この車両がキハ40とは分からないが、AT-350形と連結する側に、キハ40の面影が残る。

 

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