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2020/6/20 18:00

カロッツェリアのDA(ディスプレイオーディオ)、使ってみたら至れり尽せりでドライブが120%楽しくなる逸品だった

パイオニアがこの夏商戦に向け発売した、「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応したディスプレイオーディオ(以下、略DA)。ラインナップは9型HDディスプレイを備えた「DMH-SF700」と、2DINサイズ内にピッタリ収まる6.8型ディスプレイの「DMH-SZ700」の2機種です。発売したばかりのDAに触れた感想をさっそくレポートしたいと思います。

↑9型ディスプレイを備えた「DMH-SF700」で、本体自体は1DINサイズ。右側はハンスフリー通話や音声コマンドを入力するマイク

 

スマホ接続でアプリも楽しめる

DMH-SF700は、9型HD液晶モニターを搭載した大画面仕様のDAです。本体を1DINサイズとしながら、ディスプレイ部だけが前に出るフローティング構造を採用しているので、より多くの車種で大画面が楽しめるのがいいですね。

 

しかもディスプレイはハイビジョン画質が楽しめる1280×720ドットの高解像度設計。もちろん、タッチ操作に対応していますから、接続したスマートフォンのコンテンツもスムーズに操作できるのは言うまでもありません。

↑DMH-SF700のメインメニュー。ウインドウは最大3つまで表示可能で、Bluetoothオーディオ再生中はジャケット写真の表示ができる。通信中は欧米の野球やサッカーチームのスコアをリアルタイム表示するユニークな機能も備える

 

↑ディスプレイの位置(上下/左右/前後)や角度などを使いやすい位置に調整可能。ただし、取り付けた後はアングルのみ変更できる

 

本機と接続できるスマートフォンは、iPhoneならApple CarPlay、Android端末ならAndroid Autoに対応します。どちらもスマートフォンを接続するだけでこのアプリは自動起動し(最初だけはアプリの使用許可を求められる)、スマートフォンで普段使っているコンテンツをDA上で使えるようになります。電話をかけるにも連絡先が呼び出せるし、SiriアイズフリーやGoogleアシスタントなどの音声認識にも対応。スマートフォン内にある音楽やナビアプリをDA上から操作して再生することもできます。

↑iPhoneと有線接続時はApple CarPlayに切り替えられる。ディスプレイオーディオに戻すときは「Main Unit」のアイコンをタッチすればOK

 

↑CarPlay時はiPhone内のコンテンツが自由に楽しめる。写真はMusicのライブラリを表示した画面

 

さて、本機の機能はスマートフォンと連携させることで初めて成り立ちます。DAにはそもそも通信機能を備えていないからです。今回はもっとも一般的なスマートフォンのインターネット共有機能であるテザリングを使ってインターネットに接続しました。

 

また、通話のためのハンズフリー機能やBluetooth Audioを使うためにBluetooth接続も行いました。それと、DMH-SF700のブラウザ機能を使うことを目的に、スマートフォン側には「CarAVAssist」をインストールします。これらの作業はDAを使うのには欠かせませんので必ず実行してください。

 

DMH-SF700の機能として注目はやはりブラウザ機能を搭載したことです。これをスマートフォン側のCarAVAssistを連携させてテザリングすることで、YouTubeを楽しんだり、インターネットの好みのサイトを表示したりできるのです。最初は戸惑いますが、CarAVAssist上で表示させたいサイトを登録し、これをDMH-SF700を転送するという流れです。作業自体は一度覚えてしまえば難しいものではありません。

 

一つのウインドウにひいきのスポーツチームを登録しておくと、最新のスコアを常に表示しておくことも可能というユニークな機能も搭載されました。ただし、元々DMH-SF700がアメリカ市場向けに開発されたことから、野球はアメリカのナショナルチーム、サッカーも欧州のチームだけが対象です。日本のチームへの対応も期待したいですね。

↑ブラウザ機能。スマートフォン側のCarAVAssistと連携させて使うもので、YouTubeを見るためにもあらかじめ登録が必要。Amazonも登録できたがビデオサービスには非対応だった

 

↑YouTubeに接続してメインメニューを表示(著作権保護上、画像は加工済み)。画面上でタッチ操作でき、スマートフォンとの連携した便利さを実感できる

 

一方、ディスプレイでは、メインのウィンドウ以外に小さなウィンドウが二つ表示されます。この表示は好みのメニューを選択できるほか、ドラッグ&ドロップすることでその位置を自由に移動させることができます。

 

たとえば天気予報や現在時刻をサブウインドウで表示してもいいですし、表示させる背景を好みの画像と差し替えることもできます。また、イルミネーションは多彩な色から選べ、連続して変化させることも可能です。

↑メインメニューのウインドウは、配置をドラッグ&ドロップしながら好みに応じて変えられる

 

続いてナビゲーションです。今回はiPhone 8 Plusを接続したので、Apple CarPlayで展開できるアプリは、標準のアップルマップに加え、あらかじめインストールしてあった「Google Maps」「Waze」「Yahoo!カーナビ」。

 

どれもスムーズに起動し、目的地は音声アシスト機能を使って検索。音声操作でルート探索はアッという間に終えることができました。やはりスマートフォンを使うと目的地検索は驚くほど効率がいいですね。曖昧なワードを入力しても即座に候補をリストアップしてくるんです。これが音声入力でできてしまうのは極めて魅力的と言っていいでしょう。

↑iPhoneにインストールしてあるナビアプリを活用することが可能。Appleマップ以外に、GoogleマップやYahoo!カーナビ、NAVITIMEなどが利用できる

 

さらにそれぞれのアプリが持つ独自機能を利用すれば、Google Mapsには航空写真や地形マップを利用できますし、Yahoo!カーナビなら充実した案内機能に加えてJARTIC(日本道路交通情報センター)による交通情報が反映されています。

 

いずれも独自に収集したプローブ情報も活用しており、交通情報を考慮したルートガイドを体験できるのです。ただ、経験上、案内されるルート品位のレベルはあまり高くありません。さらに、測位は基本がGPSだけとなるため、推測航法によってトンネル内などでの一時的なロストには対応できますが、特にビル街や山間では測位が不安定になりがちということは知っておきたいですね。

 

市販ディスプレイオーディオ製品として国内初となる「Amazon Alexa」を搭載したことも注目点です。「アレクサ」と話しかけるとアプリが起動するので、思いついたキーワードを発するとそれに応じてくれます。音楽を聴きたいときはアーティスト名や曲名を読み上げればAmazonミュージックに用意されている楽曲が再生される仕組みです。DMH-SF700はCDドライブを搭載していませんが、Amazon Primeに加入していればかなり幅広い楽曲に対応してるはずです。これは走行中でも可能なので、ぜひ試してみて下さい。

 

オーディオソースでも多彩な機能を搭載しました。USBメモリーに収録したハイレゾ音源を再生したり、Bluetoothオーディオで手軽にスマートフォン内の音楽が楽しめます。タイムアライメントや13バンドグラフィックイコライザーなどのオーディオチューニング機能も充実しており、そのクオリティはドライブを楽しむには十分なレベル。外部アンプを接続することもでき、システムを発展させられるのも本機ならではの魅力となるでしょう。

↑HDMI入力にも対応。スマートフォン内に収録したコンテンツをそのままディスプレイオーディオの大きな画面上に映し出せる

 

↑DMH-SF700本体の背面。HDMIは「mini」での入力端子を備え、ポータブルHDDに保存したフルHD動画の再生も可能。USBは「タイプC」を備えた

 

↑外部アンプやサブウーファーを組み合わせたシステムアップに対応。リアモニターとはRCAピンによる接続となる

 

最後に本機の姉妹機、DMH-SZ700についてお伝えしましょう。このモデルは画面サイズを6.8型として2DINスペースに収まるサイズにしながら、ほぼDMH-SF700と同等の機能を備えます。

 

“ほぼ”としたのは、ディスプレイの解像度が800×480ドットのWVGAであるため、表示能力からメニューの一覧性が低くなっているからです。それ以外はDMH-SF700と同じと考えて構いません。

 

なので、表示能力が低いディスプレイが気にならないなら、DMH-SF700(実売:9万円前後)よりも価格が圧倒的に安い(同:5万2000円前後)本機はかなりオススメとも言えます。この2モデルがどうユーザーに受け入れられるか、今後の動きに注目です。

↑DMH-SZ700はディスプレイのサイズを6.8インチとし、2DINスペースにそのまま収まる。機能はDMH-SF700と同じだ

 

↑一通りの操作が可能になるワイヤレスリモコンはDMH-SF700、DMH-SZ700双方に付属する

 

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